Keyword
12月5日、今年度のインベステック・チャンピオンズカップが開幕した。この大会は、フランスのトップ14、イングランドのプレミアシップ、そしてユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ(URC)の各リーグから、昨季の上位8クラブが参加する。URCには、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、イタリア、南アフリカが参加している。
参加する24のクラブは6クラブずつの4つのプールに分けられ、各クラブは、自国のリーグのクラブとの対戦を避けながら、異なる4つの対戦相手とホームで2試合、アウェーで2試合を戦う。
勝利すれば4ポイント、引き分けで2ポイントを得る。さらに、4トライ以上獲得した場合、また7点差以内の敗北でもボーナスポイントとして1ポイント与えられる。
プール戦終了後、各グループの上位4クラブが決勝トーナメントに進出する。総合順位は、プール勝者が1位から4位、2位クラブが5位から8位、といった具合に、16位のクラブまで順位がつけられる。2つ以上のクラブが同数のポイントで並んだ場合、順位は以下の基準で決定される。
(i) プール戦で記録された得失点差が最も大きいクラブ。
(ii) それでも同点の場合は、プール戦で記録されたトライ数が多いクラブ。
(iii) それでも同点の場合は、抽選によって決定される。

ラウンド16では、総合順位1位のクラブが16位のクラブと対戦、2位は15位、3位は14位…というように、より順位の高いクラブが、より順位の低いクラブと対戦する。
ラウンド16、準々決勝では、プール戦の順位が高かったクラブがホーム開催のアドバンテージを持つ。準決勝はプール戦の順位が高かったクラブのホームテリトリー(所在する地域)にある収容規模の大きなスタジアム(過去の例では3万から5万人規模)で行われる。
トップ14が10か月かけて26試合のレギュラーシーズンとプレーオフを戦うマラソンであるのに対し、プール戦4試合で明暗がほぼ決まるチャンピオンズカップは短距離走だ。優勝を狙うクラブは、より優位に戦える組み合わせと準決勝までのホームアドバンテージを確保するために、総合順位で2位以内に入ることを目指す。そのため、プール戦4試合すべてでボーナスポイント付きの勝利と、大量得点を狙う必要がある。
参加クラブによっては、選手層の厚さが十分でないため、主力選手を自国リーグのために温存し、若手に出場機会を与える場として活用するケースもあり、そんなチームとフルメンバーの強豪チームの対戦は、点差が大きく開く傾向にある。昨年度の例では、トゥールーズは61-21でアイルランドのアルスター、64-21でイングランドのエクセターを粉砕し、80-21でイングランドのレスターを打ちのめしている。
それでも、トゥールーズが昨年度優勝できなかった一因として、南アフリカのシャークスとの敵地での対戦で勝利(20-8)はしたものの、ボーナスポイントを取りこぼし、同じプールのボルドーに1位の座を奪われたことが挙げられている。
その反省からトゥールーズは、今季初戦で南アフリカのシャークスをホームに迎え、開始24分で4トライを奪い、ボーナスポイントを獲得した(28-0)。その後、2トライをシャークスに与え、49分には28-12まで点差は縮まるも、フレッシュな戦力をベンチから投入し、ペースを取り戻すことに成功する。4トライを追加し、最終スコア56-19で勝利した。

ユーゴ・モラHCは試合後の記者会見で、「ボーナスポイントは25分で獲得した。それがおそらく、前半の最後の15分間と、後半の最初の15分間の質を下げてしまう要因になったかもしれない」と述べた。また、「シャークスのフィジカルの強さに苦戦し、ボールを思うようにキープできなかった。ベンチメンバーが入って、私たちが描いていたような試合展開に戻すことができた」と語っている。さらに、「ボーナスポイント付きの勝利で、この大会で50点挙げるのは些細なことではない。全てのポイントが重要だ」としつつ、「ただ、もう一つトライを獲って、失トライを一つ減らすことができていたかもしれない。できるはずのレベルに達していない個人のパフォーマンスもいくつかあった」と渋い表情を見せた。
次戦のアウェーでのグラスゴー(スコットランド)戦で、より集中力を高め、プレーに継続性を持たせることが求められる。
チャンピオンズカップから話は逸れるが、この試合の2日前会見で、モラHCが興味深いことを述べていた。ワールドカップ2027年大会の抽選の後だったこともあり、「日本代表のエディー・ジョーンズHCは『斎藤のおかげで、アントワンヌ・デュポンのすべてを知ることができるだろう』と言っていますが…」と記者が質問を終えるのを遮って、モラHCは以下のように見解を述べた。
「それは間違ってはいないでしょう。彼の分析や視点において、ある程度の情報を持っているということだと思います。さらに、すべてが順調に進めば、ブルーのジャージーを着るのはアントワンヌ・デュポンだけではありません。他にも何人かいます。ですから、彼はかなりのことについて情報を持っているということです。そして、それらの選手と一緒にプレーすることで、選手を神聖化しなくなるというのもあるでしょう」
続けて、「彼が準決勝に進出すると言っていたのも見ましたが、それについてはそこまで確信が持てません。ただ、私は彼らにそれを願っています。というのも、日本は本当に素晴らしい国であり、そして何よりも、エディー・ジョーンズは本当に素晴らしいコーチだからです」と語った。
2022年11月、モラHCにお話を聞く機会をいただいた。その時にも彼は「日本代表が2015年のW杯で南アフリカを倒したのは長い年月の努力によるものでしょう。エディー・ジョーンズは日本代表で考え方を変革し、何よりも彼は、日本は強豪国に勝つことができると信じたのです」と讃えていた。さらに、インタビューの数日前にトゥールーズで行われたフランス×日本を見て、「日本は無理にニュージーランド式のラグビーをしようとしているように感じました。日本人に合ったプレーをしていないのが残念に思えました。日本チームのプレーはとても構築されています。エディー・ジョーンズがHCだった頃も、とても構築され、システム化されていましたが、『おおおおお!』と熱狂し、目を見張るプレーがありました。それがなくなってしまった」と印象を述べていた。
チャンピオンズカップに戻ろう。
昨年度チャンピオンのボルドーは、冬のフランスから、夏の南アフリカのプレトリアへの長距離移動というハンディを克服し、さらに試合が行われたロフタス・スタジアムのピッチへ続くトンネルの入り口の「標高1350メートル。これは効くぞ」とビジターチームに警告する看板にも怯むことなく、ブルズからボーナスポイント付きの勝利を奪った。
SOマチュー・ジャリベールがディフェンスを突破し、モメンタムを創り出す。この試合で、CTBヨラム・モエファナが戦列復帰し、今季初めてフランス代表が勢揃いしたボルドーのBKが躍動した。しかし、この試合の勝敗を決めたのはスクラムであった。

64分、スコアは34-33でボルドーがリード。ボルドー陣内に入ったあたりで組まれたスクラムは、どちらも新しいフロントローが投入されたばかりの状況だった。特にブルズは、ヨハン・グロベラー、ゲルハルト・スティーンカンプ、ウィルコ・ロウのフロントローとLOルアン・ノルキアと、この秋の代表戦で活躍し、この2週間前にアイルランドのスクラムを苦しめたメンバーを揃えていた。ブルズがグッと押し込み、レフリーの手が上がったがプレーは続行され、ブルズがキックでボルドーのゴール前まで攻め込んだ。ボルドーはかろうじてキャリーバックで逃げた。
それに続く5メートルスクラムでボルドーのFWは耐え抜いた。ダブルプッシュを受けても8秒間、微動だにしなかった。ブルズはボールを出したが、ボルドーのディフェンスに後退させられる。苦し紛れにブルズのSOハンドレ・ポラードが蹴ったドロップゴールは的を外した。ボルドーは窮地を凌ぎ、その後、勢いを盛り返してさらに2トライを追加、46-33で勝利した。もちろんボーナスポイント付きである。
ヨーロッパのクラブが南アフリカで勝利を挙げるのは容易ではない。南アフリカが参加して4大会目になるが、過去に4勝のみ。2024年のラウンド16でラ・ロシェルがストーマーズに勝利(22-21)、昨季のプール戦でトゥーロンがストーマーズに勝利(24-14)、イングランドのノーサンプトンがブルズに勝利(30-21)、トゥールーズがシャークスに勝利(20-8)しただけである。ちなみに、南アフリカのクラブのヨーロッパでの勝利も4勝にとどまっている。移動の負担と、負担が大きいが故に、主力を温存するクラブが多いのが実情だ。
ボルドーは今季の最難関を見事に突破し、タイトル防衛の理想的なスタートを切ったと言える。

2022年、2023年とこの大会で優勝しているラ・ロシェルもタイトル奪回を目指している。トップ14では現在10位と低迷しているが、「チャンピオンズカップを全力で戦う」と宣言していたキャプテンのNO8グレゴリー・アルドリットは、さらに「前週、トップ14の試合でポーにモールで押され、FWで支配されて負けたから挽回したかった」、その思いも加わり、オスカー・ジェグーとレヴァニ・ボティアの両FLと共に、力強い突進とアグレッシブさでチームに勢いを与え続けた。
スクラムでも4つのペナルティを奪い、ラ・ロシェルのFWがゲームを支配。イングランドのレスターを39-20で破り、ボーナスポイントも獲得して好発進した。
この試合で、負傷していたPRウイニ・アトニオが6か月ぶりに復活した。58分に交代でピッチに入ったアトニオを、この日もスタッド・マルセル・ドゥフランドルのスタンドを埋めた1万8000人の観客が拍手と「ウイニ!」コールで迎えた。前週のトゥールーズで復帰したアントワンヌ・デュポンに劣らない歓声の大きさだった。ピッチを横切るアトニオの顔には笑みが浮かんでいた。入ってすぐに自陣ゴール前5メートルでのスクラムで、ぐいぐい押して前進した。

復帰戦を終えて、「思っていたよりスムーズだった」とアトニオは記者のマイクに答えた。最初のスクラムについては「怪我をしている間、スクラムコーチ役を務めていた。6か月間、右プロップたちには前に出ろと言い続けてきたから、もし僕自身が前に進む姿を見せられなかったら、笑いものになっていたでしょう。だから、ある程度のレベルを見せ、模範を示す必要があった」と嬉しそうに語る。
ただ、ラ・ロシェルはラウンド2で南アフリカのポート・エリザベスでストーマーズと対戦するが、すでに若手中心のチームが現地に到着していると伝えられている。やはり12月20日のトップ14のバイヨンヌ戦のために主力を温存することを選んだか。
チャンピオンズカップと並行して、チャンピオンズカップに参加できなかった各リーグの昨年度下位クラブとジョージアのブラックライオンの18のクラブで競われるチャレンジカップも行われている。
この大会で、今季トップ14でまだ白星がないペルピニャンが、ウェールズのドラゴンズから今季初勝利を挙げた。ペルピニャンは連敗が止まらず、11月の初めにフランク・アゼマHCが退き、ロラン・ラビットが後任に就いていた。ラビットはカストル、ラシン92をトップ14優勝に導き、2020〜2023年フランス代表アシスタントコーチを務めた後、スタッド・フランセでディレクター・オブ・ラグビーになったが、成績不振で昨季終了前に退任していた。
ラビットHCの初戦となった11月22日のトップ14のモンペリエ戦では0-28と厳しい敗北を喫し、翌週のカストル戦でも奮闘は感じられたが、ペナルティを繰り返し7-23で敗れ、連敗記録が11となった。
人選ミス、結束力の欠如、プレーの不正確さなど、連敗の理由について現地メディアで毎週のように論じられてきた。そんなところにチャレンジカップは、名誉を挽回し、ラビットHCが目指すいくつかの原則を確立するための理想的な機会となった。
ホームのスタッド・エメ・ジラルのまばらな観客の前で、スコットランド代表FLジェイミー・リッチーがキャプテンとしてチームを率いる。メンバー同士で、ほんのわずかな前進や、連携プレー、ポジティブなアクションの度に称え合い、励まし合い、士気を高め合った。今季加入したFBジョーダン・ペタイアも、プレーが切れるごとに最後列からFWのところまで駆け寄り、励ましている姿が見られた。正確なパスと完璧なタイミングでハーフウェイラインから巧みに遂行されたプレーから、この日最初のトライが生まれ、スタジアムは歓喜に沸いた(11分)。

直後にCTBダンカン・パイアアウアがレッドカードで退場となったが、精力的に動き回り、自分たちのアタッキングラグビーを積極的に仕掛け、1トライと1PGを追加、数的不利にもかかわらず17-0とリードして前半を終えた。
後半はさらにスクラムでも圧倒し、パリ五輪の7人制金メダリストのWTBジェファーソン=リー・ジョゼフの独走トライなど4トライを追加、41-17と大差での勝利を掴み取った。ペルピニャンの選手に笑顔が戻った。安堵の表情だ。
アタックコーチのニコラ・ナドーは「まだ取り組むべき課題は残っているが、ネガティブな連鎖を断ち切ることが重要だった。少しコンタクトプレーが増え、スピードも出てきたのが見えた。これはポジティブなこと」と語った。
LOマテオ・ルコルヴェックは「試合に勝ったのは5か月ぶりで勝った時の喜び方を忘れてしまった」と言いながら、「内容を伴って勝てて、メンタル面でも感情面でも、そして家族やサポーターのためにも良かった。チャレンジカップの期間を最大限に活用するために新しいシステムの練習を最大にしてきた。これまでは、どこかでプレーにブレーキをかけていたけど、これからはこの道を突き進んでいかなければ」と述べた。
そして、この勝利の3日後にオールブラックスのWTBセブ・リース(28歳、37キャップ)との来季からの3年契約が発表された。ペルピニャンのフランソワ・リヴィエール会長は、今季初の勝利を待っていたことを『レキップ』に明かしている。「1か月前に発表することもできましたが、敗戦後に発表するのは不器用でしょう。サポーターがそれを快く受け入れるかどうか確信が持てませんでした」と説明した。
リヴィエール会長は、「この契約はペルピニャンが非常に魅力的なクラブであることを示している」と説明する。「なぜなら、彼自身が望まなければ、彼のような選手を連れてくることはできないからです。ペルピニャンは常に多くのアイランダーを惹きつけてきた土地です」。
来年から3年間、フランスのクラブと契約するということは、リースは2年後のワールドカップ出場を断念するということになる。最近はスコット・ロバートソンHCの第一の選択肢の座を維持するのに苦労しているようにも見えた。「彼とは3か月間話し合っていました」とリヴィエール会長は明かしている。おそらく、このオファーはリースにとって絶好のタイミングで届いたのだろう。
また『レキップ』は、ペルピニャンとの契約により、クルセイダーズで受け取っている2倍から3倍の給与を得ることになるだろうと推測している。これに対しリヴィエール会長は、「我々にはそんな余裕がないため、価格競争に巻き込まれることはありませんでした。クラブの賃金総額に見合った、一貫性のある交渉を行いました。この選手にとって、何よりも個人の、そして家族のライフプロジェクトだったのです。ペルピニャンは、まさに彼が望んでいた生活と合致していたのです」と強調する。
ペルピニャンが最後に優勝した2009年のダン・カーター以来のオールブラックスのビッグネームの加入になる。たとえクラブがプロD2に降格することがあったとしても、それは変わらないとリヴィエール会長は確信している。「契約には降格条項がありますが、それは義務的なものです。しかし、たとえ核災害が起こったとしても、彼はクラブに忠実であり続けてくれると私は信じています」と会長は述べた。

この契約は、チームの士気を高めてくれるだろうか?
「いずれにせよ、これは、『このクラブに関わるすべての人々』に対し、我々がトップ14に残るために断固として戦い抜くという強いシグナルです」と会長は訴える。「リースは単なる名前ではなく、ブランドであり、レジェンドです。これは良いことです。なぜなら、ここピレネー・オリエンタル県において、USAP(クラブの正式名称「Union Sportive Arlequins Perpignanais」の略称で「ユサップ」と読む)は旗印だからです。希望を与えるものは何でも歓迎すべきです」
果たして、この契約がその場しのぎの話題作りで終わるか、それとも、ダン・カーターやジェローム・カイノ、ヴィクター・ヴィト、タウェラ・カーバーローのようにフランスで羨望されるような成功を収めることができるだろうか?
リヴィエール会長は、「まず私が彼に期待するのは、ジェイミー・リッチーのようなリーダーシップを発揮することです」と語る。「そして、敵陣22メートルゾーンで効果的であることです。この1年以上にわたる我々の苦境を考えると、ここぞという時にトライを決められる選手の存在は極めて重要です」。