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寂しくなる。
が、おつかれさま。今季最後まで走り抜いて。
東京サントリーサンゴリアスが2016-17シーズン、2017-18シーズンと、トップリーグ、日本選手権を連覇した時にチームのど真ん中にいた。2019年ワールドカップで日本代表が8強進出を果たした時も、そうだった。
サンゴリアスのCTB中村亮土(34歳)、SH流大(33歳)が2025-26シーズン限りで現役を引退する。1月5日、チームから発表があった。
ふたりは1歳違い。帝京大学時代はともに主将を務め、大学日本一を経験している。
中村は2013年度の主将で全国大学選手権5連覇を達成。サンゴリアスでは2014年から12シーズンを過ごしてチームを離れる。
流は帝京大の2014年度主将。チームを6連覇に導いた。2015年から11シーズン、サンゴリアスのジャージーを着ている。
中村は鹿児島実業高校に入学後、ラグビーを始めた。日本代表キャップ39を持ち、2019年と2023年のワールドカップにも出場した。
サンゴリアスではトップリーグ2021とリーグワン2022の2シーズン、キャプテンを務めた。
流は小2の時、りんどうヤングラガーズ(福岡・久留米)で楕円球を追い始めた。荒尾高校(熊本)でラグビーを続けた。日本代表キャップ36。2019年と2023年のワールドカップに出場している。
サンゴリアス入団2年目の2016-17シーズンから4季連続で主将を務めた(2019-20シーズンは、マット・ギタウ、ショーン・マクマーンと共同主将)。今季はバイスキャプテンを務めている。

両選手はチームからの発表後、それぞれのSNSを通して、自分たちの声で今回の決断について話している。
中村は、「みなさん、こんにちは。今回、ご報告があります」と切り出している。
「今シーズンをもって、ラグビーの引退を決意しました。一番の理由としては、次、新しい道へ挑戦したいという思いが強くなってきて、このタイミングで、20年間続けてきたラグビーをやめる決断をしました」
発表のタイミングがシーズン序盤になったことについては、「応援してくれている方々に早く知ってもらって少しでもプレーを見てもらい、より多くの声援をいただけたらなと思っております」としている。
「これまで12シーズン、サンゴリアスでプレーさせていただきました。その中でも本当に人として成長させてもらい、人間として大きくなれました。本当にこのチームは愛があって、僕にとって大事なチームで、大切な場所でもある。このチームを離れることを思うと寂しくはありますが、最後、自分らしいプレーでサンゴリアスに貢献したいと思いますので、ぜひ会場に来て、僕のプレーを目に焼きつけてください。あと半年間、応援よろしくお願いします」
流も次のように話している。
「みなさん、こんにちは。チームから発表があった通り、今シーズンをもって、ラグビー選手の現役を引退することを決めました。8歳から始めた大好きなラグビーを、この、ずっと憧れていた東京サントリーサンゴリアスで終えられることを本当に嬉しく思います。ただシーズンはまだ続いて、今シーズンやり残したことがまだありますので、必ず勝って、みなさんに優勝を届けたいと思っています。感謝の気持ちをもって一試合一試合、全力でプレーしますので、ぜひ会場にて最後、僕のチャレンジを見届けてほしいなと思います。今シーズンもこれからも、よろしくお願いします」
恩師たちも労いの声をかける。
中村が高校時代はコーチで、現在は鹿児島実業の監督を務める富田昌浩さんは、「本当に努力の選手。努力する才能があった」と教え子を愛でる。
今回の決断を知らせてくれた時、本人に「鹿児島県のラグビーのため、日本のラグビーのため、タックルし続けてくれてありがとう」と伝えたそうだ。
「体も大きくないのに、センターで、あそこまで体を張れる選手はなかなか出てこないと思います。感謝の気持ちでいっぱいです」
高1の時のことを覚えている。
「太ももが太くて、最初はフォワードにと思ったのですが、キック力もあった(のでバックスになりました)。最初の試合で相手チームのナンバーエイトが(スタンドオフの中村に)当たりにきたのを一発で仰向けにしました」
鹿児島に帰省した時にはいつもグラウンドに顔を出してくれる。「後輩たちからも尊敬され、愛されています」と話す。

流が荒尾高校時代に指導を受けた徳井清明さんは、現在、熊本西高校の総監督を務めている。引退の報告を受け、「おつかれさま」と労った。
「いろいろと考えがあってのことでしょう。次のステージに向けての人生設計もあるでしょうから、そちらのほうでの活躍を応援したい。しっかりした人間なので、おそらく、これまで自分がしてもらったこと、得たものを、ラグビー界にお返ししていく立場で頑張っていきたいんだろうな、という気がしています」
教え子は、高校時代からしっかり者だった。
「常に先を見て目標を立て、それに対していま自分が何をすべきか理解して行動できる人間です。(その過程で)いろんなことが起こりますが、すべて前向きにとらえて自分のエネルギーにし、その時々を一生懸命頑張り、積み重ねていくことができる。プレーヤーとしても評価されましたが、違う立場でも自分らしさを発揮しながら貢献していってくれると思います」
時代を築いた者たちは、次代が豊かになることにもきっと力を注いでくれる。
今シーズン最後までのベストエフォート、その後の新たなチャレンジを見つめよう。