約1か月前同様、巨大スタジアムで好パフォーマンスを出した。
1月2日、MUFGスタジアム(国立競技場)でおこなわれた全国大学選手権の準決勝で、明大の6番、4年生フランカーの最上太尊(もがみ・たいそん)が先制トライを挙げるなどチームの勝利に貢献した。
京産大に37-19と勝った紫紺のジャージーは、1月11日のファイナルで早大と戦う。
最上は2025年12月7日の関東大学対抗戦、早明戦では2トライを挙げた(25-19)。
その時の舞台も今回と同じ。チームの5年ぶりの対抗戦A制覇が決まった同日は、3万9084人のファンが揺れた。
大学日本一の座を懸けた好敵手との一戦にも大観衆が足を運ぶと予想される。

京産大に快勝した準決勝で明大は試合序盤、相手の堅守をなかなか崩せなかった。
その中で最初のトライスコアラーとなったのが最上だった。
前半12分過ぎ、相手がスクラムでアーリーエンゲージ。そこから攻めた。
速攻を仕掛けたバックスが前進。PKを得て、敵陣深い地域へと蹴り込む。ラインアウト→モールで押した後、トライラインに迫った。
最上は9フェーズ目に鋭く、そして力強くボールを手に前に出て、ボールをインゴールに置いた。その直前までのピック・ゴーで前に出るタイミングを変えたのが効果的だった。
「トライライン前5メートルに近づいたら、フォワードにこだわるというプランでした」とし、「みんなで取った」と話した。
スコアを動かすトライを挙げた最上は、試合も締め括った。
フルタイム直前、京産大は力を振り絞って明大陣に攻め込み、攻撃を繰り返す。その積み重ねは二桁を超えた。
13フェーズ目だった。ボールを持って前に出た相手の自由を奪って反則を誘ったのが紫紺の6番だった。
「関西のチームらしく激しかった」と相手をリスペクトしてから最上は、「どの試合でも常にフォワードで圧倒しようとしています」と言った。自信を持って準決勝に臨めた理由について、「日頃の自分たちの練習」が根拠になっているとした。
神鳥裕之監督が普段から言う「凡事徹底」を守り、「いつも練習でやっていることを80分間出し続けようと思っています」。
「試合ではあまり緊張しない」のは、そのマインドのお陰だろう。

筑波大に24-28と敗れて始まった今季。シーズン序盤のその頃と、ファイナルまで10日弱となった現在を比較し、チームの「まとまりがまったく違う」と言う。
当時を、「(一人ひとりの考えが)ばらばらでした」と回想する。
3か月半前はどの試合でも「(各選手が)自分たちのアタックを理解できていなかった。ディフェンスでも自分勝手な動きをしていました」。
そんな状況だったチームに変化が出てきたのは、11月に入った頃からだったと感じている。慶大に競り勝ち(24-22/11月2日)、帝京大から21-17と勝利を得た頃(11月16日)が転機となった。
ミーティングの質が高まった。
「夏合宿の頃からちょくちょくやってはいたのですが、自主的にミーティングをやるようになりました」
その効果で「まとまりが大きくなっていった」と実感している。「みんなが理解できるように、事細かに話し合っている」成果だ。
準決勝前の1週間にも3回ミーティングをおこなった。試合メンバーが決まると、まず5人ほどのグループをいくつか作って話し合い、最後に全メンバーで、各グループで揉んだ内容を出し合う。
各グループは複数ポジション、複数学年で構成されているから、最終的に全員がゲームプランを細部まで理解する。1回のミーティングは2時間超、3時間に迫ることもあるという。
例えばフォワードなら、セットプレーでの一人ひとりの役割を明確にする。
「僕ならラインアウトでモールをどうやって組むのか。スクラムではどの方向に押すのか。そういったことを意識して話しています」
それをバックスの視点も入れて話し合うから、試合で実際に起こる局面への対応を全員で共有できる。

シーズン中に進化し、目指す頂点まであと少しのところまで歩を進めた明大。最上は、「勝っても負けてもあと数日。4年間やってきたチームが終わるのは寂しい」と話し、仲間との日々をハッピーエンドとするためにも、「悔いが残らないように絶対勝ちたい」と言葉に力を込める。
ライバルの早大と決勝で再度激突することを喜ぶ最上は、京産大との試合を振り返り、ディフェンス面に課題が出たとした。
留学生に前進を許したことについて、「(キーマンを)止められないと、きょうのような展開になる」と肝に銘じ、「早稲田は外に振ってくると思います。ディフェンスのコネクションを改善しないといけない」と、改善すべき点を話す。
相手の布陣に関係なく、「誰が出てこようと、自分たちがやってきたラグビーを体現し続けるだけ」。
2019年度以来、6大会ぶりの早明頂上決戦を勝ち切るためのミーティングは、すでに始まっているだろうか。