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デカいぞ、速いぞ、クラブチームからも。『Bigman & Fastman Camp』を3年ぶりに関西開催。
12月19日~21日の3日間、大阪府泉南郡熊取町の大阪体育大学でおこなわれた。(チーム提供、以下同)

デカいぞ、速いぞ、クラブチームからも。『Bigman & Fastman Camp』を3年ぶりに関西開催。

伊藤矢一

『Bigman & Fastman Camp/ビッグマン・アンド・ファストマンキャンプ』(以下、B&Fキャンプ)が3年ぶりに関西で開催された。
 8年目を迎えたB&Fキャンプは今回が14回目だった。ラグビー界隈でお馴染みになってきた同キャンプは、体格や身体能力に優れた高校生世代の選手に焦点を当て、有能なタレントを確実に優秀なタレントへ育成することを狙うもの。
 簡単に言えば、全国から「とにかくデカい」、「とにかく速い」を自薦・他薦で集めている。

今回は日本代表の伊藤鐘史コーチが参加。ブレイクダウンやラインアウトのセッションを担当した。
【写真左上】Team BIGMAN、【写真右上】Team TALLMAN、【写真左下】Team FASTMAN、【写真右下】キャンプを支えたメディカルチーム。ヘッドトレーナーの崎濱星耶トレーナー(左端)は大阪体育大学の講師ということもあり、崎濱ゼミの学生たちのサポートも得た。平田史哉トレーナー(右から2人目)、長谷川淳ドクター(右端)と共に


 記念すべき2018年の第1回も、寒い12月に同志社大学で開催された。
 当時の参加者は現在の約半分の22名。キャンプに参加していた松本光貴(明大中野八王子)はこれをきっかけにU20日本代表に選出され、明大を経て、現在はリーグワンD1の三菱重工相模原ダイナボアーズで活躍している。

 他にもU17日本代表、高校日本代表をはじめ、U20、U23各代表などに選ばれる選手が、このキャンプから多く誕生してきた。

 その中でも突出した成長のスピードを見せているのは、今秋のテストマッチで2キャップを獲得したコベルコ神戸スティーラーズの植田和磨(報徳学園)だ。
 植田は2019年夏の菅平で実施されたキャンプに参加。その後、近大で活躍、昨年は大学選手権にも出場し、アーリーエントリーでスティーラーズの一員になった。
 始まったばかりの今季も、12月21日の三重ホンダヒート戦でもトライを挙げてチームの勝利に貢献した。

2025年11月の日本代表の欧州ツアーで2キャップを得たWTB植田和磨。写真はジョージア戦。(撮影/松本かおり)
5月20日に大分でおこなわれたJAPAN XVとNZUの試合に能勢涼太郎は出場した。右から5人目。©︎JRFU


 同じ近大の後輩には4年生、197センチの能勢涼太郎がいる。
 川西北陵高校出身の能勢はB&Fキャンプに参加したことをきっかけに進路も切り開き、U20、U23日本代表、JAPAN XVへ。順調に階段を昇るOBのひとりだ。

 今回のキャンプに参加したメンバーにも190センチ超が5名、115キロ超が8名いた。近年はここで評価されたメンバーが翌年の高校ジャパン候補やコベルコカップのトライアウトにも招集されている。

 今回のキャンプではラグビーのトレーニングはもちろん、田原茂行S&Cコーチも参加し、GPSを用いて最大加速度や回数、総移動距離なども測定した。ジャパンや昨年の高校JAPANメンバーとの対比などで、わかりやすくフィードバックもされる。

「GPSは自分の動きや走りを数字として可視化できることがなにより強みだと思います。キャンプ内で自分が注目した選手と自分の結果を比べることもできるため、自分自身の意識を変えることができました。なかなか普通の高校生では体験できないことなので良かったです」と、渋谷インターナショナルラグビークラブの谷口愛蘭(あらん)は話した。

クラブチームから高校ジャパンが誕生する日も近いかもしれない。キャンプ終了後の一枚。右から2人目が谷口愛蘭


 その谷口は、「渋谷インターナショナルラグビークラブは週1で練習していて、このキャンプのように3日間連続でラグビーをできる環境ではありません。また全国から選ばれた人たちが集まるため強度もクラブと比べて高く、より自分をレベルアップさせることができました」と話した。
 いわゆる「高校」ではないチームから参加も、練習で存在感をアピールしていた。

「この密度の高い3日間で、自分の強みの再確認や新しいスキルの習得、そして何よりラグビーを全力で楽しむことができました」と笑顔で話す16歳は、190センチ、85キロ。
 このキャンプからまた、未来のJAPANが誕生する予感がした。

大阪体育大学のグラウンドから見る夕焼け
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