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落胆の1日だった。
東芝ブレイブルーパス東京は12月14日、東京・味の素スタジアムで3連覇がかかるジャパンラグビーリーグワンの初戦を迎えた。
「4万人プロジェクト」と銘打ち約2万人を招待するなど集客活動に励んだ結果、スタンドに集まったのは3万2613人。大盛況だったとも、わずかに目標に達しなかったとも取れるなか、チームは完封負けを喫した。
初代王者で前年度4位の埼玉パナソニックワイルドナイツに0-46で敗れた。ハーフタイムまでに0-33と大差をつけられた。
2019年就任のトッド・ブラックアダーヘッドコーチは言う。
「要所を抑えられ、80分間、流れを掴めなかった。何回かあったボールを持つチャンスでもプレッシャーを感じ、特別なことをしなくてはならないと思ってしまいながら細かいエラーを犯した。パナソニックさんは単発ではなく、絶え間なくフィジカルにプレーしていた。感謝したいです。毎週、このレベルに仕上げて戦わないといけないと教わりました」
ワイルドナイツの誇る堅守を前にミス、反則を繰り返した。与えた「PK」の数では、先方が「7」だったのに対し自軍は「21」。特に、防御時の立ち位置がオフサイドと見なされがちだった。

フルバックの松永拓朗ゲーム主将は悔やむ。
「自分たちのペナルティが多くなった時の合言葉を使い、レフリーにクリーンな絵を見せられるように改善しようと(意思)統一していたんですけど、なかなか…。レフリーにオフサイドと言われ、『半歩、下がろう』と(周知)。それでもラックが前に動いた(前進を許した)時に、僕たちが(所定の境界線よりも)前にいるように見えてしまっていた」
この日は日本代表でもリーダー格のリーチ マイケル主将が欠場。昨季ナンバーエイトとして全試合に出た37歳の不在について、松永はこう付け足す。
「試合に関して、メンバーがどうこうというのは全く関係ない。チームもいい準備ができていましたし、同じ方向を向けていた。ただ、この試合を通して一番感じたのは、マイケルさんに頼り過ぎていたこと。(自身がリーダーとして)どんなメッセージを送れるのか、どうチームを変えられるのかは、自分にとって難しい部分でした」
何より、2季連続MVPの名手が本調子に映らなかった。
0-0だった前半4分頃。司令塔のスタンドオフで先発のリッチー・モウンガは、自陣22メートル線付近右で相手のキックを受けると、前方中央へ蹴り返す。球は向こうの捕りやすいバウンドで跳ね、強烈なカウンターアタックを許してしまう。
まもなく自陣深くまで攻め込まれ、7分にペナルティキックを与えた。0-3とされた。

大量失点のきっかけとなる痛恨のワンシーンを、本人はこう振り返った。
「狙ってそこに蹴ったわけではないです。最悪なミスキックでした」
身長176センチ、体重83キロの31歳。ニュージーランド代表56キャップのプレーメーカーが、取材エリアで語った。
——そもそも、ご自身の体調はいかがでしたか。
「いい感じでした。きょうは追う展開となり無駄走りが多くなりましたが、最後まで駆け回れた。ある程度、いい状態にはなった」
——システム上ではワイルドナイツの防御を崩せそうな瞬間もいくつかありました。しかし、実際には跳ね返された。
「すごくよいディフェンスでした。僕たちも何回かはボールを持てましたが、そこでは無理して獲り切ろうとし、もがけばもがくほど深みにはまってしまいました。昨季優勝したかどうかは置いておいて、パナソニックさんはリーグワンのベンチマークとなるクラブです。素晴らしいコーチングを受けています。彼らに対してミスを重ねてしまうと、痛い仕打ちを受けます」
——過去に完封負けの経験は。
「8歳以下、10人制の試合です。寒い日で、悲しくなったのを覚えています!」
——12月21日には敵地のヤマハスタジアムで、前年度レギュラーシーズン4強の静岡ブルーレヴズとぶつかります。次戦への展望は。
「スマイル! ボブ・マーリーも『きっと全部、大丈夫』と言っていますから(名曲Three Little Birdsの一節か)」

——ブルーレヴズには昨季2敗を喫しています。
「いいチームなのはわかっています。そこへの準備は(翌週の)火曜朝から始めます。きょうはまず、家で自分の帰りを待っている3人の子どもの顔を見ます。
こういう(今回のような)負け方をすると、全部のうまくいかないところを見ていってしまう傾向が選手にも、コーチ陣にも生まれます。ただ、次週はまた違う試合展開になる。まず、いまより良くなっていくことを意識すべき。開幕したばかり。まだタオルを投げるには早いです。
考えすぎないことが大事。皆さんが想像しているよりは悪くなく、悲壮感も漂っていない。伸びしろをあぶり出し、学べるところを学びたい」
来季から古巣のクルセイダーズに戻って代表復帰を目指すため、ブレイブルーパスの一員としてプレーできるのは長くてあと半年程度。「1戦ずつやるだけ。『あと何試合…』なんて、指折り数えているわけではありません」と展望した。