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フーパーさんのエディー評が的確。フミさんは福田推し。日本×オーストラリアの展望+あれこれトーク
左からファシリテーターの村上晃一さん、オンライン参加のマイケル・フーパーさん(オーストラリア代表キャップ125)、田中史朗さん(日本代表キャップ75)。(撮影/松本かおり)
2025.10.07
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フーパーさんのエディー評が的確。フミさんは福田推し。日本×オーストラリアの展望+あれこれトーク

ジャスラグ編集部

 オーストラリア代表キャップ125で、そのうち69試合でキャプテンを務めたのは歴代最多。レジェンドと言っていいマイケル・フーパーさんのエディー・ジョーンズ評がおもしろかった。

 現在は日本代表ヘッドコーチを務める世界的指導者に自分が指導を受けたのは「1試合のテストマッチだけ」と前置きした上で、その人の印象を話した。

「オンフィールドでのフィードバックが非常にはやい。こういったラグビーをプレーしたいという期待値があるから、実際にグラウンドで見たことに対して、即座に求めているものを伝えることができる人。(チームや選手が)何ができていてできていないのか、それを伝える能力に、非常に高いスキルがある。チームへのアプローチや考え方がクレバーな指揮官であり、選手たちがより良くなるために私たちをプッシュしてくれます」

『リポビタンDチャレンジカップ2025、日本代表×オーストラリア代表』の告知映像。©︎JRFU(※音が出ます)


 10月4日の朝、『リポビタンDチャレンジカップ2025 日本代表×オーストラリア代表』に向けたトークセッションが実施された。
 前出のフーパーさんは同日開催されたワラビーズ×オールブラックスのコメンテーターをシドニーで務めるため(試合はパースで開催)、シドニーからオンラインで参加。日本代表のレジェンド(キャップ75)、田中史朗さんと、10月25日に国立競技場でおこなわれる試合の展望や両代表チームの現状について話した。

 ちなみに田中さんは現在、NECグリーンロケッツ東葛のアカデミーディレクターを務め、同職を通して子どもたちの指導にあたり、他にもメディアへの露出や講演を通して、ラグビーの魅力を広く伝える活動を展開している。

 グリーンロケッツがリーグワンからの撤退を決めたことについては「ニュースで知りました」と答えた。そして、現在チームは譲渡先を探している途中にあるものの、それが叶わず現在の活動を続けられなくなったとしても、「子どもたちを指導し、世界に出ていくとか、夢を持つ大切さを教えることは続けていきたい」とした。

 ファシリテーターの村上晃一さんの司会により、田中さんとフーパーさんは、両国代表が対戦した過去の思い出や、今回の対戦の展望についていろいろ話した。
 両氏は2017年に日産スタジアムで対戦した試合に出場。そのときは、63-30でワラビーズが勝った。

好きだったワラビーズとの対戦が叶った2017年のフミさん。(撮影/松本かおり)

 田中さんは、ジョージ・グレーガンとスティーブン・ラーカムのハーフバックスがチームをコントロールするワラビーズのことが好きで、高校時代はグリーン×ゴールドのジャージーを頭に浮かべながら練習をしていた。
 2017年の一戦は、いつか対戦したいと思っていた夢が現実のものとなった80分。あらためて世界の強豪の充実と、個々の強さを体感したそうだ。

 また、その試合ではワラビーズの9番で出場したニック・フィップスと試合後にジャージーを交換したそうだ。
 そのフィップスは2022-23シーズンにグリーンロケッツに加入。その際、田中さんがジャージーを見せて「覚えている?」と言うと、とても喜んでいたという。

 フーパーさんは、その試合で日本代表にデビューした姫野和樹(LOで先発!)の当日のプレーは記憶にないが、当時からその将来性を耳にしており、2019年のワールドカップで同選手が日本代表の躍進に貢献する姿を見ていた。2021年にトヨタ自動車ヴェルブリッツ(当時/トップリーグ)に所属した際には一緒にプレーし、その成長を体感できて良かったと話した。
 またフーパーさんは、現在ヴェルブリッツのスポットコーチ(ブレイクダウン)も務めており、10月10日過ぎからは大分での合宿に参加するそうだ。

 両者は最近の日本代表の印象についても話した。
 パシフィックネーションズカップでのパフォーマンスを見て、「フィジー戦でも分かるように、トライを取る能力が上がっている」と評価したのは田中さんだ。ディフェンスについては「簡単に(トライ、得点を)取られている」と厳しい目を向けるも、速い展開での「アタックの能力は世界でも通じる」とした。

田中さん(左)は2011年、2015年、2019年のワールドカップに出場したSHで現在40歳。フーパーさんは2015年、2019年のワールドカップに出場したFLで現在33歳。(撮影/松本かおり)


 フーパーさんは、ワールドクラスの選手たちが日本国内でプレーしていることなどもあり、リーグワンのレベルが引き上げられて日本代表にもいい影響を与えていると見ている。
「日本代表はフィットネスが高く、ブレイクダウン周辺も強い。さまざまなエリアからランでアタックを仕掛ける」と強みを評価する一方で、タイトファイブに世界レベルで通用する選手が求められると言った。

 選手個々について話した時間には、田中さんがスクラムハーフの視点から「日本代表のハーフたちはレベルが高い」と評価し、藤原忍、福田健太、北村瞬太郎の競争が楽しみと目を細めた。
 その中でも福田の成長について言及し、PNCのカナダ戦でのプレーを「覚醒した」と表現。
「トヨタ(ヴェルブリッツ在籍)の時は周りについていっている感じがあり、サントリーでも同じような気がしていましたが、カナダ戦ではチームを自分の言葉とプレーで引っ張っていました」
 体幹もあってディフェンスも強いと期待を寄せた。

 福田に関してはフーパーさんも、ヴェルブリッツでともにプレーしていた頃から「いい選手と感じていました」。フィットネスレベルの高さ、フィジカル面、ディフェンスの強さを認め、「スペースを見つけ、球さばきもいいですね。ワールドクラスの9番になっていくと思います」。
 ヴェルブリッツに戻ってきてほしいと、ユーモアを交えて話した。

 一時の低迷期から抜け出し、最近のぼり調子にあるワラビーズに関して田中さんは、ここでもSHに注目。ジェイク・ゴードンについてチームを前に出せる存在とした。
 フーパーさんも、ジョー・シュミットHCのもとチームが自信を取り戻しつつあるとの手応えを持っており、日本との対戦について、「2027年の大会で対戦する可能性があるチームと戦うことは有益。若い選手の中には日本と初めて戦う選手もいるが、その経験を得ているかどうかは、次に対戦するときに重要」と試合の価値を述べた。

2017年の対戦時、試合終了後にリーチ マイケルへ歩み寄るフーパーさん。(撮影/松本かおり)


 12月3日には11月いっぱいまでの試合結果を反映させたワールドランキングを使い、2027年ワールドカップのプール分けが決まる。
 フーパーさんはその事実も踏まえ、両チームにとって負けられない試合と言い、「異なったカルチャーのチーム同士の戦いは面白い」と言った。

 試合展開の予想を田中さんはロースコアの勝負になるとして、「もっと走って攻めて相手を疲れさせてほしい」。フーパーさんの予想はハイスコアゲームで、「ワラビーズはキックを使い、セットプレーでペナルティをとりたい。ハイテンポで攻めたい日本に対してキック、ブレイクダウン(の圧力)でスローダウンさせ、(自分たちは)バックスリーでトライを取る。最終的にワラビーズ勝利」と具体的だった。

 試合のチケットは好調な売れ行きという。田中、フーパー両氏の予想はロースコア、ハイスコアの違いこそあれ接戦。
 10月25日は暑さも収まっているはず。スタジアム観戦に適した天候下でのプレーは、ファンの声援が多ければ多いほど選手たちの好プレーを呼ぶだろう。









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