![【Just TALK】「こんなプレーもできるんだ、こういう選手になりたい、と思ってもらえたら」。リッチー・モウンガ[東芝ブレイブルーパス東京]](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2025/10/IMG_4772-1.jpg)
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リッチー・モウンガが日本で戦うのは、ひとまず今季限りだ。
身長176センチ、体重83キロの31歳は、オールブラックスことニュージーランド代表として56キャップを獲得。出身国で在籍したクルセイダーズでは、国際リーグのスーパーラグビーを7シーズン連続で制覇した。
2023年度には現在所属する東芝ブレイブルーパス東京へ入り、今年5月までの2024年度シーズンまでに国内リーグワン2連覇を達成した。スペースをえぐる判断と各種技能が冴え、リーグのMVPも続けて獲った。
直近のプレーオフファイナルでは、その前の準決勝で右手を骨折しながらチームの全得点に絡んだ。クボタスピアーズ船橋・東京ベイを18-13で下した。
ブレイブルーパスで働くのは、今年12月からの新シーズンが終わるまで。2026年以降は古巣に戻り、2027年のワールドカップオーストラリア大会への出場を目指す。国内勢から代表選手を選ぶ母国のルールに沿ってのことだ。
9月25日の練習公開後、報道陣に話した。

——あらためて、決断の背景を聞かせてもらえますか。
「シンプルに(自身が優勝していない)ワールドカップでもう 1 回やりたかった。現状の制度ではニュージーランドでプレーしていないとそれが叶わないので」
——退団を発表した気持ちは。
「過去に所属したチームでも、次に何が起ころうといま心血を注ぐべきはその時に所属している場所だと感じていたからです。(次のことを)早く決めたからといって、個人のプレーやチームへのコミットメントは揺らぎません。それは僕を間近で見てきた人ならわかってくれるはずです。
ひとつ違いがあるとしたら、家族に帰国予定を早めに伝えられることくらいでしょうか」
——ブレイブルーパスにはいつ合流しましたか。
「(取材日より)1週前の月曜日に。まだまだコンディションを仕上げなければならないのが正直なところですが、そのためにプレシーズンがある。また、いいプレシーズンを送るためにもいいオフシーズンのリフレッシュが必要でした。(ニュージーランドで)家族とも、しばらく会っていない友人とも、いい時間を過ごせた。身体への褒美ではないですが、食べることも楽しんだ! ここからはラグビーへ、ギアを上げていきます」
——昨季終盤に骨折した右手の状態は。
「よくなっています」
——3連覇へは何が必要か。
「常套句ですが、3連覇を意識しすぎないことです。いまは目の前に試合がないですから、どれだけスキルレベルを上げられるか、細かいところも含めて我々のラグビーの質をどう上げていくかに注力すべきです。
例えば自分はまだコンディションが100パーセントの状態ではないので、身体を整えてからスキルを磨く。すでにフィジカルのできている選手は、スキルを身につけていってもいい。
私は過去、(スーパーラグビーで)3連覇をかけたシーズンを戦ったことがあります。これは2連覇をしないとできない恵まれた立場です。そう認識しながら、目の前のことに取り組んでいきたいです」

——ひとまずこの国でのラストシーズンです。
「プロでやっている以上、成否は優勝したかどうかで測られます。極論すれば2位以下は失敗と見られる世界にいます。だから、どんな形で終わりたいかと問われれば、3連覇して終わりたいと答えます。
それと、もうひとつ…。
まだラグビーを見たことのない人にも、『こんなプレーもできるんだ』と興味を持ってもらえたら嬉しいです。
すでにラグビーをしている子どもたちには、『こういう選手になりたい』と思ってもらいたいです。
少しでも、ラグビーはいいスポーツだとわかるきっかけになれればいいですね。
私や家族を温かく迎え入れてくれたこの国への恩を、まだ返し切れていないと感じています。もっともっと、日本のラグビー関係者以外のコミュニティにインスピレーションを与えたいです」
この話をする前には、同時期に入ったニュージーランド代表33キャップのシャノン・フリゼル、チームの主将で日本代表89キャップのリーチ マイケルとグラウンド周りを走った。
理由を聞かれた。腹を触って笑った。
「オフシーズンにお肉が乗ってしまった。ノニ(フリゼル)と一緒に、マイケルさんに『入門』しました。『ファットクラブ』です!」