![丸尾崇真[国スポ2025/成年男子・秋田県主将]の挑戦と描く未来。](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2025/10/9ca7f7d929fea8bf2d1e15e9a9dd4724.jpg)
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滋賀県で開催中の国民スポーツ大会。セブンズが実施される男子成年の部は10月6日、7日で、野洲市が舞台だ。
そこに秋田も参加している。パリ五輪にも出場した丸尾崇真(2020年度早大主将)がキャプテンを務めている。
今大会に向けて強化を進めていた秋田チームを7月6日に鹿児島で見た。同地でおこなわれていた『九州アイランドセブンズ』に参加し、8月に控える東北総合スポーツ大会(国スポ予選)を睨んでいた。
2日間に渡る戦いを終えた後、グラウンド脇で組んだ円陣の中からは「日本一」の言葉が何度も聞こえてきた。
中心にいる丸尾主将は、それぞれの選手の言葉を聞き、チームの進むべき方向を示し、メンバーたちの士気を高めていた。
早実、早大に学び、都会育ちの丸尾が秋田に暮らし始めたのは、2025年の春からだ。秋田7sチームを立ち上げ、ゼネラルマネージャー兼選手を務めている。

同チームは秋田ノーザンブレッツ(トップイーストリーグBグループ)と提携して活動する。セブンズで日本代表、オリンピックを目指す意志のある選手、15人制ではトップに行けなくともセブンズの才に恵まれている選手に、未来を切り拓くためのチャンスを提供する。
ノーザンブレッツとの関係性により、選手のこころざし次第ではリーグワンでのプレーを目指すことができる環境にもなる。
丸尾自身は秋田県南部の東成瀬村に住み、同地を拠点にする東成瀬テックソリューションズに所属。村の地域おこし協力隊の一人として、地域が抱える課題の改善業務に就いている。
1年前のオリンピアンが秋田を拠点に活動しているのは、自分自身がセブンズ代表へ復帰するための活動拠点を得るとともに、同じような意志を持っている選手たちの受け皿を作りたいと思ったからだ。
それが一人ひとりの未来とともに、セブンズという競技の将来も明るくすると考えた。
早大卒業後、英国留学を経てセブンズ代表としての活動に取り組み、五輪出場を果たした。
そこで芽生えたのはセブンズ愛。オリンピック競技になっているため、世界規模でプレーされている。しかし、日本国内では太陽生命ウィメンズセブンズシリーズなど女子セブンズの基盤はあっても、男子セブンズの環境整備はまだされていない。そんな現状を変えていきたい。
簡単ではないけれど、秋田という土地、ノーザンブレッツというパートナーとの出会いによって、自分たちから行動を起こした。ファーストペンギンの心意気だ。
初年度の今季は、「国スポでの優勝、日本一を目指します」。そして、その後は世界を舞台に挑戦できるチーム作りを目指す。
丸尾主将自身は日本代表への復帰、その先にある2028年ロサンゼルスオリンピックへの出場をターゲットとしている。
東成瀬村から約80キロ、おおよそ90分かけて火曜、木曜と秋田市に通って練習し、週末の土日も同様。都会での暮らしと比べれば不便さもあるが、敷かれたレールの上を歩んでいたら知るはずもなかったことを知り、そこに面白さを感じている自分がいる。
覇権を手にすることに必死だった早大時代、主将の経験を思い出し、「ここにはここで、日本一を目指している人たちがいて、みんな、(学生時代の仲間と)同じように熱いんですよ」と言葉に力が入る。

チームには、自分のように代表や五輪出場を目指している者もいれば、子どもに自分がラグビーをしている姿を見せたいという人もいたり、15人制でのプレーを終えてセブンズに軸足を移した人もいる。そして、これから秋田でのチャレンジに加わりたいと思っている人もいる。
「いろんな人がいていいと思っています。それぞれが持っている考えや目的を表す円(円形のイメージ)が少しでも重なっているなら」
現在の活動を、アスリートしての挑戦とする。オリンピアンの称号を得ることができたから終わり、ではなく、パリで残した結果を受け入れられない。次回五輪こそ納得できる結果を出したい。そして、セブンズをもっとメジャーにしたい。
「そういった内容にこだわる日々にしたいんです」
国内にセブンズシリーズを起こす準備も進めていきたい。
早大卒業後も挑戦し、まだ実現していないオックスフォード大で学ぶ目標も掲げたままだ。ロサンゼルス五輪へのチャレンジが実り、秋田7sチームの根幹を作り、日本にセブンズのカルチャーが根付くような環境を作って、憧れる学びの世界へ向かうつもりだ。
まずは滋賀の地で、求めている結果をつかみにいく。結果を残した者の言葉には力が宿り、説得力が増すものだ。
地方から日本を変えていくストーリーを完結させたい。