
舞台は中国・内モンゴル自治区呼和浩特(フフホト)市。9月13日、14日、同地で『アジアラグビー エミレーツ U18セブンズ2025』が開催された。
日本からは男女のU18セブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)が出場し、女子は準優勝、男子は優勝した。

◆女子決勝・日本×中国/組織vs個
巨大なスタジアムでおこなわれた大会。4〜5万人は収容可能と見える大スタジアムだが観客は50〜60名程度だったか。
しかし決勝直前に人がどんどん入って来た。観戦者はあっという間に300〜400人程度に膨らんだ。
決勝で日本と対戦する中国チームの応援のための動員か。女子決勝は完全アウェイの雰囲気の中で始まった。
組織でディフェンスする日本はプール戦を含め、相手を完封、あるいはトライ1本のみに抑える堅守を誇って勝ち上がってきた。
一方の中国は組織こそ未完成感があったが、個々の強さで突破するアタック能力で決勝に駒を進めた。
試合は、日本がディフェンスで中国を押し込み、敵陣にとどめる。良いペースで始まった。
1分、中国のスクラムからのアタックにも激しいタックルを見舞い、ぺナルティを誘う。速攻から⑥伊藤ちひろがポスト横にトライを挙げた(7-0)。
日本は1トライを返されたものの、前半終了間際に得た中央でのペナルティからスクラムを選択。⑦原田唯衣が右に出て縦を突き、大きくゲインする。さらに右展開後、左に振り戻した。⑧中野亜胡→①浅利那未とボールは渡り、最後は⑫河邊ひなたが左隅にフィニッシュした。前半を12-5とリードして終えた。

後半、先に2トライを挙げた中国に12-17と逆転されるも、残り1分、ピッチ中央でマイボールを確保した。
左右に振って5〜6フェイズを重ねる。相手の足も止まりかけ、逆転勝利のシナリオが見えて来た瞬間、ラックでターンオーバーを喰らってしまう。そのまま突破される。中央にトライを奪われ、12-22でゲーム終了となった。残念ながら準優勝に終わった。
敗戦したものの、確かな手応えをつかんだ日本の選手たちは笑みを浮かべ、観客席に大きな声で「ありがとうございましたぁっ!」と挨拶した。
これにはアウェイの観客席からも拍手が贈られた。
◆男子決勝・日本×香港/赤白ジャージー、カップファイナルで完勝
中国女子の勝利で客席は安心したのか、香港への応援は控えめ。スタンドには中国国歌が響き渡る中で男子決勝が開始された。
こちらも『組織vs個人』の戦い。あるいは『技術vs力』と言うべきか。香港チームの個の強さと組織された日本のセブンズが正面からぶつかった。
女子ほどの体格差はなく、むしろ日本の整備された防御が香港に前進を許さない。丁寧なダブルタックル、即座に起き上がっての防御線構築が効果的に香港のミスを誘った。
2分、防御時に得たペナルティから③宮下隼が素早いリスタート。パスを受けた④福田恒秀道は巧みなステップワークでマークを外し、ハーフウェイ付近から50メートルを駆け抜けて先制した(7-0)。
続く4分 、再び④福田がラック際を突き、2トライ目をあげる(14-0)。
6分にはターンオーバーから⑨田中ジェイス海吏が50メートルの勝利への疾走。前半で19-0とし、試合をほぼ決定づける。ここまですべて、防御からの攻撃で得点を挙げたことが印象的だった。

後半も日本の攻撃は緩まなかった。
3分、ハーフウェイ右から⑨田中−⑧東佑太−⑩髙梨太吾とつなぐ。その球を⑦池田健心が左隅に押さえ、グラウンドを端から端まで有効に使ったトライを奪う。難しい角度のコンバージョンキックを③宮下がきっちりと決めたところで勝負あった(26-0)。
その後も2トライを追加。試合終了直前にカードが出て6人となったところで一トライを献上も、最後まで激しい防御に務めたお釣り、といったところか。42-5の圧勝でカップを勝ち取った。
残念ながら男女ペア優勝とはならなかったが、U18での金と銀。若者たちが今後さらに、世界へ羽ばたいていくことが期待される。