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【Just TALK】「集まる時、先に話す。いい癖になっている」。梶村祐介[横浜キヤノンイーグルス]
レオン・マクドナルド新ヘッドコーチのもと、より自分たちで道を切り拓くチームとなっていく。(撮影/松本かおり)
2025.09.25
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【Just TALK】「集まる時、先に話す。いい癖になっている」。梶村祐介[横浜キヤノンイーグルス]

向 風見也

 横浜キヤノンイーグルスの梶村祐介が、新体制下で思いを語った。

「まだ基礎的なことしか落とし込んでいないんですけど、大きく変わっていきそうな雰囲気は感じます。ボールの動かし方、セットピースからの攻撃あたりは。ミーティングでは、『ベストなアタッキングチーム』を目標に掲げています」

 イーグルスは一昨季まで2シーズン連続で4強入りも、前年度は上位6強によるプレーオフ行きを逃した。それまで約5年間チームを率いた沢木敬介前監督は辞任し、レオン・マクドナルド新ヘッドコーチが就いた。

 日本代表7キャップを持つ梶村は、身長181センチ、体重95キロの30歳。報徳学園高で大型センターとして注目され、明大の下級生だった頃に年代別代表に参加して肉体強化への意識を変えた。2018年に現東京サンゴリアスへ入り、1年目から活躍した。

 イーグルスには2021年に加わった。年代別代表、サンゴリアスでも指導を受けた沢木前監督のもと、移籍2年目からは主将を務めた。

 現在は防御面のリーダーを担う。新指揮官のかようなスタンスに倣う。

「主将にはコーチたちと一緒になって戦ってもらわなくてはならない。(選択は)重要な決断になります。もう少し選手のことを人として知らなきゃいけない。選ぶにはまだ早いです。プレシーズンがもう少し進めば、適切なタイミングで発表します」

 公開練習のあった9月19日、マクドナルドの会見後に梶村も話した。

1995年9月13日生まれ、30歳。(181センチ、95キロ。日本代表キャップ7。(撮影/向 風見也)


——新しいチームは「ベストなアタッキングチーム」を目指すとのこと。前年度までのイーグルスも、複層的な波状攻撃が魅力のひとつでした。

「昨季まではコネクション——ボールを動かしてゆくなかでの選手間の繋がり——を意識してきました。今年はそこに加え、フィジカリティのところを上げていくという話です。より、力強さは増してゆくのかなと。各局面で1対1の状況を多く作っていって、そこでのフィジカルで勝っていくことでチームにモメンタム(勢い)を生み出すと、ミーティングで言われました。

 セットピースからはある程度の決まった形は、今後できてくると思います。ただ、それ以上に、各局面で選手ひとりひとりがフィジカルなプレーを選択できる状況を作っていくと話がありました」

——マクドナルド新ヘッドコーチの印象は。

「『自分はこういうチームを作っていくんだ』という熱量、プライドみたいなものは見えています。チームの軸はしっかりしていきそうだなと。アタックのほか、選手やスタッフの繋がりにも力を入れたいと話しています」

——クラブのSNSでは、選手同士で小グループを作って対話するシーンが見られます。

「コーチ陣から落とし込まれるだけじゃなく、選手同士で話し合う。いままで発言がなかった選手が聞くだけではなく発信する機会も、作ってくれています」

——昨季までは沢木監督が組織に緊張感を伝播させていましたが、これからはそうでなくなります。

「前体制では、どちらかというと強烈なリーダーシップに導いてもらう形でした。いまは、選手が前に出てかないとうまくは進んでいかないようなシステムになっている。より自発的に取り組んでいかないと。

 現段階では主将が決まっていない。(役目が)割り振られたなかで、各自が意識的にリードしていく。それが、できることかなと」

——主将が未定であることへはどう感じますか。

「決まっていないことでそれぞれに責任感が生まれる。(実質2年目となる武藤)ゆらぎなどの若い選手がリーダーシップを持たないといけなくなる。あえて、そうしているのかなと。

(現時点でも)アタック、ディフェンスのリーダー、ブランドリーダーという去年からあるチームカルチャー作りの役職は大まかにあります。アタックのリーダーグループに(既存のリーダーに加え)ゆらぎ、(移籍2年目の)古川聖人と去年まで入っていない選手が入るなど、変化はあります。ディフェンスでは(来日2季目の)ビリー・ハーモンも」

——ご自身のことを伺います。昨季途中に肩のけがで離脱しましたが。

「10月半ばに復帰予定で、いまのコンディションは80パーセントくらい。コンタクトのレベルが上がってくれば、フルに」

——受傷直後は。

「入院自体は 1 週間くらい。その後、最初の3か月くらいはトレーニングができない状態でした」

——何もすることができないまま、仲間の戦いを見ていた。

「チーム状況も決していいわけじゃなかったので、その状態でいるのは苦しかったです。ただ、自分自身がグラウンドに出てどうこうすることはできない。この新しいシーズンに向けて準備してきました」

円熟味を増すプレー。キャプテン経験が、自分を成長させている。(撮影/松本かおり)


——閉幕後、長らくともに戦ってきた沢木前監督が退任しました。託されたことは。

「託された、というか…。

『お前を何でキャプテンにしたかわかるか?』

 …という話をされて。僕も少しはわかっていたので、そのことについていろいろと話をしました。

 イーグルスには敬介さん、(司令塔の田村)優さん、去年までいた(爆発力のあるアマナキ・レレイ・)マフィさんと、強烈なキャラクターが多く在籍していた。

『そんな彼らにしっかり自分の意見を言えるようになって、選手としてもう 1 段階レベルアップしてほしかった』

…という意図を、最後に伝えてもらいました。

 きつかったですよ、とは言い返しました! …でも、ハードな3年間があったので、いまも考えながら行動できている。チームで集まる時、どうしても先に話すようになりました。いい癖になっているなと。

 3年間、主将をやらせてもらったので、今後はイーグルスの軸になっていかなきゃいけない。より強い責任感が芽生えました」

 今後の選手としての目標は。そう聞かれれば、イーグルスの「軸」として、もしくはいちアスリートとしてのチャレンジを口にした。

「3年前に初めてプレーオフに進んで3位になり、その次は4位。去年は8位。イーグルスにとって今季がすごく重要になるのは、クラブとして全員が意識しています。大きく変化していく、楽しみなシーズンになる。

 このシーズンオフで自分の身体を見つめ直して、結構、変えてきたんです。自分がどこまで通用するかは楽しみ。個人的には、ワンシーズンを通してハイレベルなパフォーマンスを残したことがあまりない(と感じる)。そこに、こだわっていきたいです」




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