![【Just TALK】気の緩みで、努力、積み上げが失われることもある。神鳥裕之[明大ラグビー部監督]](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2025/09/2KAM6017_2.jpg)
明大ラグビー部の神鳥裕之監督が、9月1日、関東大学ラグビー対抗戦およびリーグ戦の合同会見に出席。20歳未満の1人を含んだ5名の部員が飲酒した件について謝罪した。
当該の出来事は8月28日に発表され、その場にいた5名は当面の活動停止処分を受けている。部のホームページは、「本件に関して飲酒の強要等のハラスメント行為がなかったことを確認しており、20歳未満の者による事案であること及び、教育的配慮及びプライバシー保護の観点から、詳細についての公表を差し控えます」とする。
今度の会見後、指揮官が報道陣を前に事の経緯とその後の対応について説明した。
「まず、この度の不祥事でいろいろな方にご心配、ご迷惑をおかけしたことはしっかり謝罪したいです。チームとして深く反省して前へ進みたいと思っています。
5名の飲酒の場で1名、下級生のメンバーが混ざっていた。(上級生の飲酒は)成人していますので、『節度のあるなかで』と特に禁止していません。
合宿最終日(8月25日)に菅平で全体の打ち上げがあった後、各自が宿泊する部屋へ戻った時に起きた事案です。全体の場では私やシニアのスタッフがいて、未成年の飲酒は確認していません」
——関東ラグビーフットボール協会などへの報告は。
「はやいほうがいいという判断のもと——深夜の出来事でしたので——翌朝には大学、協会関係者へ報告しました」
——その後、チームにはどんな言葉をかけましたか。
「私自身に幹部として大きな責任があると伝えました。そのうえで、『ラグビー漬けの合宿の最終日という環境のなかだった。たまたま今回は5名の人間がそうなっただけで、他の人間にも一瞬の気の緩みはあったのではないか。全体の問題として受け止めるように』というメッセージを出しました。こういう気の緩みで、それまでの努力、積み上げが失われることもあるんだ、とも。やるべきことはやり、ひとつひとつ信頼を取り返していくしかない」

——5名の選手の謹慎はいつまで。
「期限については大学と話し合っているところです。今季中に戻って来られるようにはしたいとも考えていますが、大学の判断(次第)となります」
——皆、引き続き世田谷区内の寮で暮らしていますか。
「当然、もともと合宿所が彼らの生活圏です。一緒に過ごし、そのなかで管理したいと考えています」
——大学1、2年目の未成年学生がアルコールを口にすることがさほど問題視されていない時代もありました。
「支援してくださる身近な方には、そうした温かいというか、寛容なお言葉をいただいたのですけど、やはり我々もここに至るまでの間にコンプライアンス研修を通し、いまの時代の状況は伝えてきました。言い訳にならないと思っています」
神鳥監督は同部OB。卒業後はリコーに入社し、現役引退から時間が経っていた2013年よりトップリーグ時代のリコーブラックラムズ(当時名称)で8シーズン、指揮を執り、2021年6月に現職に就いた。
今季、部員の先頭に立つ平翔太主将は、この件については発生の翌朝に知ったという。
春先の不振を脱しつつあったクラブについて「春に帝京大さんに負けてから(関東大学春季大会で0-31)、ひとりひとりのラグビーへの意識が向上した。1対1のタックルは練習時間を取ったので、その成果は(夏の練習試合で)見られた」と語りながら、こう続けた。
「今年は寮則を明確にしていたんですが、少し、自分たちの甘えてしまったことが最悪な事態を起こした。幹部(部員のリーダー陣)は徹底しきれなかったと反省し、全員がこのことを受け入れないといけない。そのうえで下を向かず、前を向いていこうと(仲間に)伝えました」
2018年度以来14回目の日本一を目指すのに何が必要かと聞かれれば、「まず私生活を徹底しないと、それがラグビーにも表れる」と応じた。
明大にとって加盟する関東大学対抗戦Aでの今季初戦は、9月14日、茨城・ケーズデンキスタジアム水戸でおこなわれる。相手は筑波大だ。