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【Just TALK】「こわいけど、それだけ期待されているんだ、と」。藤原忍[日本代表]
2024年6月のイングランド戦で初キャップを獲得。昨年だけで10キャップを重ねた。(撮影/松本かおり)
2025.07.05
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【Just TALK】「こわいけど、それだけ期待されているんだ、と」。藤原忍[日本代表]

向 風見也

 ラグビー日本代表は7月5日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州で対ウェールズ代表2連戦のファーストマッチに臨む。

 先発のスクラムハーフは藤原忍。クボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属の26歳だ。身長171センチ、体重76キロで運動量と判断が光る。

 今年6月までの国内リーグワンでは、攻守で活躍した。優勝した一昨季以来となる決勝進出を果たした。エディー・ジョーンズヘッドコーチから期待される。

「藤原はリーグワンでナンバーワンの9番(スクラムハーフ)。ベストフィフティーンに選ばれなかったのはなぜかと疑問に思うくらいです(リコーブラックラムズ東京のTJ・ペレナラが受賞)。昨季と比べて成熟しており、チャンスを見極め、気づく力があります。コミュニケーション力も上がっているので、ここからさらに成長を遂げるでしょう」

 本人は宮崎合宿中の6月21日、複数のメディアに応じた。

 6月16日からのキャンプへは、体調不良もあり他選手と比べ遅れての合流。久しぶりに宮崎入りした感想は「落ち着いています」だった。ジョーンズ体制が約9年ぶりに始動した前年度から代表に参加しており、勝手を知るからだろう。

 7月のビッグマッチへ意気込みを語った。

1999年2月8日生まれの26歳。茨田北中→日本航空石川→天理大→クボタスピアーズ船橋・東京ベイ。(撮影/向 風見也)


——今年度のジャパンについて。

「ディフェンスはコーチが変わり、いろいろと新しいことを採り入れている最中です。早く覚えて、しっかりコミットしていきたいです。

(防御は)やり方が新しいというより、『名前』(立ち位置ごとについた名称)が違っています。自分のやることも変わらない。立ち方は、クボタのシステムにもちょっと似ています。やり方(飛び出すタイミングなど)は違いますけど。

 アタックはあまり変わらない。そこは自分の強み。活かしたいです」

——チームは攻守の切り替えの早さを求めます。

「きょう(の練習で)も実際、キックがあった後のトランジションでコーチに『遅い』と言われ、何人かが歩いている場面があった。これからは(指導陣に)言われないように、自分たちでスタンダードを上げていきたいです」

——実戦形式のトレーニングでは、藤原選手が周りに指示を出すシーンが印象的でした。

「僕は(防御ラインの)後ろでたくさん見られる立場にいる。声で(リード)したい。練習前にはエディーさんにも『そこを見せてくれ』と言われています」

——前年はテストマッチ4勝7敗と負け越しました。特に秋は1勝3敗で大量失点のゲームも重なりました。それを受け、今回のキャンペーンにはどう臨みたいですか。

「去年はサインを覚えて、『どうしよう…』と、いろいろと考えながらやっていたんですけど、今回はもっと新しく入ってきたメンバーとコンビネーション取りながら、いい時間を過ごしたいです」

——対ウェールズ代表2連戦の位置づけは。

「向こうも17連敗中。気合いも入っていると思う。倒したいです」

——ウェールズ代表にはどう勝つか。

「速さ。全部においての、速さですね」

——藤原選手と同じスクラムハーフの齋藤直人選手は、所属するフランスのトゥールーズがトップ14で勝ち進んでいるために合流までに時間がかかります(結局3連覇してジャパンには7月1日にジョイン)。

「帰ってきたらいいライバルとしてやっていきたいです。(後に離脱する福田)健太さんもいますし、(土永)旭、北村(瞬太郎=初招集)君もいい選手。負けないように頑張りますし、いいところは共有する。お互いにレベルアップをしていけたら」

コミュニケーション能力抜群。試合中は、この人の声がピッチに響き渡る。(撮影/松本かおり)


——あらためて、指揮官との個人面談はもうしましたか。

「きょう(取材日)の夜です。緊張します!」

——ジョーンズさんは、メディアを通して藤原選手を賞賛しています。直接、褒められることはありませんか。

「ありませんね。(アシスタントコーチの麻田)一平さんからは(リーグワンのシーズン中も)連絡が来て、『継続していいパフォーマンスを』とは(伝えられる)。

 エディーさんに(問題点などについて)言われる時は本当に緊張しますけど、自分の求められているパフォーマンスを代表でやり続けたいです。

 そんなに(難しく)考えずに、自分のいまのパフォーマンスを出す。それで何かあれば言っていただいて、改善していけたらと思っています」

——ジョーンズヘッドコーチに何らかのことを「言われる」。よくあることですか。

「練習中も、終わってからも(ある)。怖いですけど、それだけ期待されていると思いながらやっています」

 では、これまで「言われ」たなかで胸に秘めたフレーズは。

 そう問われると、「9番(スクラムハーフ)はチームの中でボスであれと言われています。それはそうだなと思います」と述べ、囲み取材を締めた。





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