![次のターゲットは、スーパーラグビーで優勝。その前にウェールズ撃破。原田衛[日本代表]](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2025/06/KM3_0505_2.jpg)
新しい日記に書き込む来年の目標は、スーパーラグビー優勝とするつもりだ。
6月16日から宮崎で合宿に入っている日本代表が同20日、報道陣に練習を公開した。
チームはマオリ・オールブラックス戦(6月28日)、ウェールズとの2つのテストマッチ(7月5日、12日)に向けてディフェンスに注力し、アタックも、昨年までのものから進化させた点をチェック。整備を進めている。
トレーニング後には選手たちが取材に対応。リーグワンを連覇した東芝ブレイブルーパス東京で活躍した原田衛(HO)らが現状と、この先について話した。
ブレイブルーパスを退団し、スーパーラグビーのチームに移籍することが決まっている原田は、チーム名こそ「いずれ(所属することになるところから)発表されると思います」としながら、希望の詰まった胸中について話した。
2023年の春から日記をつけている。1年後の目標を定め、週ごとに行動計画を立てる。月ごとに目標設定を書き込むこともある。
最初に立てた目標は、2024年6月にイングランドとのテストマッチがあると知ったから、「その試合に出て、勝つ」を年間ターゲットにした。日本代表に選出される前のことだった。
その目標を半分実現し(出場するも敗戦)、2024年に書き込んだ2025年の年間ターゲットは「(リーグワン)連覇」。それは現実のものとした。2026年は冒頭のように「スーパーラグビーで優勝」と書き込み、それを目指そうと思っている。

このタイミングで海外に出る理由は明快だ。
「(ラグビー選手として)成長できる年齢は、そんなに長くないと思っています。なので、海外に挑戦できるのは今しかない、と自分で判断しました」
ブレイブルーパスでプレーすると決めたのは少年時代から好きなチームを再び王者にしたいと思ったからだった。その夢は2023-24シーズンに叶えた。
そして今シーズン、連覇を成し遂げる。躊躇する理由はなくなった。
日本代表に選ばれ、戦う舞台が世界になった。より高いレベルを求める自分がいた。
「優勝できていなかったら東芝を出るのに後悔が残るかな、と思いましたが優勝できたので、次のステージに行こうかな、と」
リーチ マイケルに相談すると、「海外挑戦は楽しいし、いい経験にもなるから行ってきたら」と言われた。
「エディーさん(ジョーンズ ヘッドコーチ)は、いいチョイスと。(優勝もして)天井の見えているリーグワンとは違うところで、自分の可能性をあげられるチャンスを選択したのはいい、と」
世界最先端のアタッキングラグビーが展開されるリーグで揉まれる。すべての面を伸ばさないと戦えないことは分かっている。
ゲームのテンポやフィジカルの強さも、リーグワンとは違う。「強い人たちとコンタクトをくり返すこと、レベルの高い中でプレーすることを続ければ体も大きくなっていくと思います。精神的なタフさも求められる」
ただ、自分のことばかり考えるわけではない。
「すごくチャレンジングなことだけど、自分の強みを出して、チームに貢献できればいいな、と考えています。チームが勝つこと、結果を残すことを優先させたいと思っています」
新天地のチーム名は明言しなかったものの、「エージェント曰く、(周りの選手より)僕の方が英語はうまい、と」など、ヒントになるような情報を口にした。
地域にこだわらず、ヨーロッパも含めて全世界に移籍先を求めた結果、必要としてくれたのがスーパーラグビーのあるチーム。
「4月ぐらいに決まりました。できるだけ長く(複数シーズン)プレーしたい」と話す。
そのためにも今秋は、所属予定チームのプレシーズンの活動を優先するつもりだ。「初めてのシーズンです。そこで結果を残さないと次の契約をもらえないので」と言い、ジョーンズHCにもその意志は伝わっているという。

新たな可能性が未来に広がる。
しかし、その前にやらなければいけないことがある。マオリ・オールブラックス、ウェールズと続く戦いで勝利を得て、昨季11テストマッチに4勝7敗と大きく負け越し、誇りを失いかけている日本代表のプライドを取り戻さなければ。「全員でウェールズに勝つことにフォーカスしています」と言葉に力を込める。
現在のスコッドにフッカーは3人。江良颯、佐藤健次は日本代表キャップを持っていない。昨季の初めてのテストマッチ出場から10キャップを重ねた原田は、年齢、実績を考えても、若いふたりをリードする存在。力を合わせ、「みんなで成長していきたい」と、力を束ねる役を担う自覚を見せる。
連覇を果たすシーズンを終えた後、3日間はラグビーから離れ、クラブハウスにも行かなかったけれど、それ以降はルーティーンに戻り、戦う準備を進めてきた。
合宿が始まってからは、スクラム、ラインアウト、ディフェンスと、チーム力を高めることに注力する。
「スクラムについてはオーウェン(フランクス アシスタントコーチ)と、日本の強みである高さ(低さ)にこだわっていこうと話しています」
まだ見ぬ新しいチームメートたちに、ウェールズに勝った日本の2番として迎え入れられたら気持ちいいだろうな。
レッドドラゴン戦での勝利は、日本ラグビーと自分の未来を明るくする。