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【太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ】8/17、札幌で優勝決定戦。今季は代表選手出場。観戦意欲高まる話題いろいろ
プレスカンファレンスに出席した選手たち。左から東京山九フェニックスの奥野わか花、岡元涼葉、ながとブルーエンジェルスの平野優芽、PEARLSの山中美緒、北海道バーバリアンズ ディアナの吉田鳳子、三枝千晃。(撮影/松本かおり)

【太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ】8/17、札幌で優勝決定戦。今季は代表選手出場。観戦意欲高まる話題いろいろ

田村一博


 2025年大会は、ついにドーム型スタジアムで試合がおこなわれる。
 6月11日、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025の本戦開幕前プレスカンファレンスが都内で開かれた。

 2025年の同シリーズは、6月21日、22日に熊谷ラグビー場で開催される第1戦に始まり、第2戦の北九州大会(7月20日~21日)、第3戦の花園大会(8月2日~3日)へと続く。

 そして今シリーズは、初めてグランドファイナル形式で優勝チームが決められる。
 8月17日の札幌大会は、今季第3回大会までの通算ポイント数上位8チームがトーナメント形式で頂点を争う。

 その頂上決戦と同時に、コアチームの下位4チームと5月に実施されたチャレンジャートーナメントの上位4チームが来季へ向けての入替戦を戦う。
 グランドファイナルと入替戦の舞台は大和ハウス プレミストドーム(札幌ドーム)だ。

 日本の女子ラグビーの急速な発展を支えてきた同シリーズは2014年に始まった。
 同年の記念すべき第1戦は竜ケ崎大会。流通経済大のラグビーグラウンドが会場だった。

 牧歌的な時代だった。
 各チームはグラウンドの周りにテントを張ったり、敷物を広げて自分たちの城を築いて一日を過ごしていた。

 そのときから今年で12年。2020年大会がコロナ禍で中止となったため、11回目の大会となる。ワールドクラスの選手も参加する世界に知られるようになった大会は、ドームを舞台に戦うまでになった。

5月5日、6日にJAPAN BASEでおこなわれたチャレンジャートーナメントでは、1位・日本経済大女子ラグビー部AMATERUS(写真左上)、2位・BRAVE LOUVE(写真右上)、3位・早稲田大学ラグビー蹴球部女子部(写真左下)、4位・アザレア・セブン(写真右下)が入替戦への進出権をつかんだ。(撮影/松本かおり)


 今シリーズには、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズが大会方式などを倣う『HSBC SVNS』の2025シリーズ、バンクーバー大会で4位に進出したサクラセブンズの選手たちも参加する。

 例えば、日体大ラグビー部女子の谷山三菜子もそのひとり。同選手が前述のバンクーバー大会、アメリカ戦で挙げたトライは、『HSBC SVNS 2025』の「トライ・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。
 キックもうまく、得点能力の高い選手。国内シーンも沸かせるだろう。

 プレスカンファレンスには、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2024の年間総合順位の1位・ながとブルーエンジェルス(以下、NBA)、2位・PEARLS(三重)、3位・東京山九フェニックスと、今季コアチームに昇格した北海道バーバリアンズ ディアナ(2024昇格大会優勝)の選手も出席した。

 NBAの共同主将のひとり、平野優芽は、「3連覇に向けてチームは一丸となっています」とし、「どのチームよりも勝ちにどん欲な姿を見ていただけたら、と思います」と続けた。

 グランドファイナルで優勝が決まることについては、「最後の大会(試合)が終わるまで結果(優勝)が分からないのは、観ている方々はおもしろいと思います。ただ、私たちにはプレッシャーです」と話し、会場の空気を和やかにした。

「一日でチャンピオンが決まる。最後まで気が抜けないフォーマットです。ラグビーのうまさもそうですが、最後は、気持ちやメンタルの勝負になるはず。そこでも負けないようにしたいですね」

 また平野共同主将は、京都成章高校から新加入の田中亜美について、「きつい練習をしながら山口大学に通い、(ラグビーと勉強を)両立させている」と紹介した。
 その姿は、周囲の選手たちに好影響を与えているそうだ。

楽しい話に花が咲いたプレスカンファレンス。(撮影/松本かおり)


 PEARLSの山中美緒主将は、チームに加わった新戦力の頼もしさについて話した。
 同チームには、ニュージーランドのセブンズ代表主将経験もあり、15人制代表でも活躍したサラ・ヒリニ(再契約)や、ブラジル代表の主力、タリア・コスタ、ガブリエラ・リマらが加入した。

 世界を知る選手たちについて、「練習だけでなく、オフフィールドでも高いスタンダードを見せてくれている」と話した山中主将は、新しく四日市の住人となった新人たちの存在についても頼もしそうだった。
 サクラセブンズでの実績も豊富な須田倫代(追手門学院大)、昨季の日体大ラグビー部女子の主将、樋口真央や大内田夏月らの活躍も期待される。

 石田茉央とともに今季共同キャプテンを務めるフェニックスの岡元涼葉も、サクラセブンズの一員として『HSBC SVNS 2025』で活躍した選手だ。同共同主将は、チームの現在地を「3年ぶりのシリーズチャンピオンを目指してみんなで切磋琢磨しています」と報告。新加入のカナダ代表、チャリティ・ウィリアムズについて、「チーム内での発言も多く、みんな刺激を受けている」と目を細めた。

 同じフェニックスの奥野わか花は、「個人としては2年ぶりにこの大会に出場できることにわくわくしています」。そして、新任の野田夢乃ヘッドコーチ(元15人制日本代表)について、「選手よりタフで、ハードワークをする。選手たちもそれに負けないようにトレーニングをしています」と話した。
「試合よりきつい練習をしています」

新しい方式でこの優勝カップを争う。(撮影/松本かおり)


 北海道バーバリアンズ ディアナの吉田鳳子(たかこ)主将は、「私たちにとって(この大会)は、2年ぶりのチャレンジ。他のチームとどれだけ戦えるのかドキドキ、ワクワクしています」と笑顔で抱負を口にした。
 サクラセブンズの核弾頭でもある三枝千晃は、「最終戦が地元の札幌でおこなわれるので、そこで、グランドファイナルで戦えるように一試合一試合ベストを尽くしたい」。
 爆発力ある走りが魅力のこの人は、九産大からやってきた米村妃菜について、「仕掛けとタックル、明るい性格でチームを引っ張ってくれている」とした。

 シリーズ創設イヤーの2014年、第1回大会のリポートを見ると、当時オリンピックセブンズ部門長を務めていた本城和彦氏の話がある。

「日本代表の強化に直結する大会にしたいですね。また、代表を支える選手層の厚みが増すことにもつながると思います。1日に3試合、それが2日間続くスタイルを多くの選手が体験できることも、この先につながる重要な要素」

 10年ちょっと経って、描いた未来が現実のものとなっている。

◆太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025
【第1戦】熊谷大会(6月21日~22日)
【第2戦】北九州大会(7月20日~21日)
【第3戦】花園大会(8月2日~3日)
【グランドファイナル】札幌大会(8月17日)

◆参加チーム
ながとブルーエンジェルス(2024総合1位)
PEARLS(2024総合2位)
東京山九フェニックス(2024総合3位)
YOKOHAMA TKM(2024総合4位)
日本体育大学ラグビー部女子(2024総合5位)
ナナイロプリズム福岡(2024総合6位)
ARUKAS QUEEN KUMAGAYA WOMEN’S RUGBY FOOTBALL CLUB(2024総合7位)
自衛隊体育学校PTS(2024総合8位)
追手門学院大学女子ラグビー部VENUS(2024総合9位)
チャレンジチーム(2024総合10位)
横河武蔵野Artemi-Stars(2024総合11位)
北海道バーバリアンズ ディアナ(2024昇格大会優勝)

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