![【Just TALK】「エディーさんは、もっとお堅い感じと思っていました」。北村瞬太郎[静岡ブルーレヴズ/日本代表候補]](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2025/06/0D4A0668_2.jpg)
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ラグビー日本代表の候補合宿に、今季の国内リーグワンで新人賞に輝いた北村瞬太郎が参加している。
立命館大学から静岡ブルーレヴズに加わり実質1年目の今シーズンは、持ち場のスクラムハーフでチームが戦った全19試合に出場し、持ち前のスピードを活かしてディビジョン1トップタイの計15トライを挙げた(プレーオフを含む)。
6月4日からの長野・菅平でのキャンプには、計35名が挑む。同16日に宮崎で始まる正代表の合宿へは、現在菅平にいないプレーオフ4強の選手たちも呼ばれそうだ。
サバイバルの只中、目下ブレイク中の北村は何を思うか。
6月6日の午前練習後に胸中を語った。

——5月17日にブルーレヴズのシーズンを終え、約2週間半のインターバルを経てこのキャンプに来ています。
「僕は結構、休みすぎると感覚とかを忘れちゃうタイプです。だから1週間くらい休んで、もうトレーニングを始めていました。別に『ついていけない…』とかはないです。ボーンと休みがあるより、『やって、ちょっと休んで、やって…』くらいがいい。ちょうどいいくらいのスパンでやれています」
——代表候補合宿は今回が初めてです。かつて日本代表のチームディレクターだったブルーレヴズの藤井雄一郎監督などから、何か助言を授かっていませんか。
「いや、特にそういう話はされず。レヴズのスタッフからは『頑張れよ、行って来いよ』というのもなく、個人として…(来た)みたいな感じです」
——菅平では、エディー・ジョーンズヘッドコーチの「超速ラグビー」を実践しています。
「面白いです。ただ、いままでやったことがないことをやっています。ポッド(左右にまんべんなく選手が散る攻撃陣形)ではなくシェイプ(球の動く方向に人が回り込む攻め方)というのが、新鮮。どんどん(パスコースに)フォワードが入ってくる。また、モメンタム(勢い)をつけるために(受け手の)少し前にパスを投げなきゃいけない。いつもならハンズ(手元)に…というところで、そのひとつ前の空間に放るようにも言われています。そのあたりのタイミングにも難しさがあります」
——いまのラグビー界では大別すれば「ポッド」が主流です。北村選手にとって「シェイプ」の思考軸は新鮮に映るのでしょうか。きょうの練習でも、接点から球を出して動かす練習でエディーさんが事細かに指導していました。
「フォワードに『身体はスクエア(ゴールラインと平行)で』と伝えていますね」
——ジョーンズさんの求めるスクラムハーフ像を踏まえ、取り組んでいることは。
「先ほど言った、空間に投げるパスの正確性です。たまに(弾道が)後ろにいったり、低くなったりしてしまう(のを改善したい)。あとはキックです。エディーさんにも、麻田一平さん(アシスタントコーチで現役時代はスクラムハーフ)にも練習しろと言われます。ハイボール、裏に転がすキックは磨かないといけないです」
——戦法上、蹴ることが少ないとしても、キックの精度を高めたいのですね。
「(防御ラインの)裏のスペース、狙えるところ狙っていかないと」
——ジョーンズさんは、2015年のワールドカップイングランド大会までの約4年間も、日本代表を率いています。印象は。
「もっとお堅い感じの人だと思っていたんですけど、ユーモアがあり、面白い人でしたね。ミーティング中のアイスブレイクも上手で、話の掴みにジョークを入れることもあります。もともと(現体制発足初年度の昨年から)いる選手、特にフォワードはいじられることが多いです!」
——あらためて、北村選手が「日本代表」と聞いてイメージする年代、選手は。
「田村優さん(横浜キヤノンイーグルス)の時のワールドカップが印象に残っています」

——初めて8強入りした2019年の日本大会ですね。その時の日本代表で司令塔だった田村選手は、北村選手がいた國學院栃木高校の先輩にあたります。
「(自身もちょうど)在籍していました。3年生でした。(大会後)学校にも来ました。
弟の熙さん(浦安D-Rocks)がよくしてくれていて、この間も(SNSで)DMをもらいました。高校の時は、熙さんがその時所属していたサントリー(東京サントリーサンゴリアス)の選手を連れて練習にきてくれたこともあります。熙さん、耕太郎(伊藤/今合宿にも参加中のFBで高校同期)の3人でミーティングもしました」
——2019年の日本大会。高校生だった当時と経験を積んだいまとでは、見え方が違いませんか。
「高校の時は自分が目指せる位置に来られると思っていなかったので、『憧れ!』くらいの『凄い!』。いまはああいう大舞台で、ああいう相手(アイルランド代表など)に勝って、ああいう結果を残すには…と、『目に見える凄さ』を実感できます」
——身体の大きな選手のいる強豪国を倒すのにどれだけの鍛錬と細やかさが必要か…。
「ここ(代表候補合宿)に来て、『目に見えない凄さ』が『目に見える凄さ』に変わっている感じです」
いまのチームは、2027年のオーストラリア大会をターゲットとする。そのうえで今年7月の対ウェールズ代表2連戦を見据え、コンセプトを落とし込み、然るべき人選をおこなう。
そのグループの内部に身を置くことで、かつて日本を盛り上げたヒーローたちの凄さにより共鳴できるようになった。
——もし、この夏のウェールズ代表戦に出場できたら。
「もし出られたら、ファーストキャップ。緊張もするだろうし、いつも通りのプレーができなくなるかもしれない…。それをしっかり乗り越えて、いままでのラグビー人生で学んできたこと、リーグワンでの1年で経験したこと、今回の合宿で学んだことを、全部、いつも通りに出してプレーしたいです」