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2024-25シーズンはレギュラーシ―ズン18戦+入替戦2戦、チームが戦った20試合のうち17試合に出場したものの、先発は5試合のみだった。
浦安D-Rocksのプロップ、竹内柊平の名前が、6月1日に同チームが発表した追加退団選手の中にあった(他にLOローレンス・エラスマスとNO8トゥクフカ トネ)。
エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ率いる日本代表において、2024年シーズンにテストマッチ10戦に出たタイトヘッドプロップは通算13キャップ。九州共立大から2020-21シーズンに加入し、5シーズンを過ごしたチームを離れる(入団した時はNTTコミュニケーションズシャイニングアークス)。
5月31日におこなわれた豊田自動織機シャトルズ愛知との入替戦(ディビジョン1/ディビジョン2)には、18番のジャージーを着て後半29分からピッチに立った。
16節の東芝ブレイブルーパス東京戦以来、4試合ぶりの出場が決まり、試合の2日前には「めちゃくちゃ光栄です」と話した。
「このジャージーをもう一回着られる。このチームへの感謝や思いを背負って戦いたいですね。激しくプレーしますが、自分がこうしてやる、とか(気負うの)ではなく、チームから与えられた役割を全うします。それが、18番の僕に与えられた役目だと思います」

自分が思い描いていたようなシーズンにできなかった理由を、「チームにアジャストできていなかった」とした。
チームの勝利より、もっと強くなりたい、もっと目立たないといけないと、自分への意識の方が上回っていたかもしれない。
その一方で、プレータイムは少ないままだった。
「その事実に対し、ストレスをためてしまい、マインドの部分がうまくいきませんでした」
自分ファーストのスタンスになってしまったのは、赤白のジャージーを着て世界と戦い、まだまだ足りないと感じたことが原点にある。
今季はたくさん試合に出て、すべての面をレベルアップさせるつもりでいた。
しかし、自分とチームの評価にズレがあった。
「自分の中では自信があったのに、(代表から)実際チームに戻ったら、そうではなかった。その現実を受け入れるのが難しくて」と話す。
「他人と自分を比べたりもしました」
例えば、スピアーズのオペティ・ヘルや為房慶次朗について。
「オペティは、国内でもいちばんの3番だと思っています。そんな彼と(代表では)しのぎを削り合っていたのに、自分は試合に出られていない。為房(慶次朗)も活躍している。それと比べ、ディビジョン1でも下位のチームで、自分は試合に出られていないしチームは勝てていない」
悶々とした思いを抱えた時期があった。
しかし、シーズン終盤から変わった。葛藤していた自分を、「そういうことじゃないよね」と思えるようになった。
「(心の)整理がつきました。チームのために動く。チームが勝つために準備をして、勝利の一部となれるようにすべてを出し切るんだ、と」
「自分の期待と結果がまったく伴わなかった。過去一悩んだシーズンでした。チームへのフォーカスか、個人へのフォーカスか。僕の場合は、自分が足りないという思いから個人にフォーカスして空回りしました。チームにフォーカスできておらず、役に立てなかったのだから、(出られないのは)当然なんですよ。チームスポーツである以上個も大事ですが、そこを高めながら、もっとチームメート、コーチとコミュニケーションを取り、チーム力を上げていくために、もっとチームの一部になることが大事でした」
「今シーズン学んだことは一生自分の中で生きる」と言う。
遠い先を考えるのではなく、目の前の仲間と、一つひとつの勝負を戦ってこそ先へ進める。
分かっていたはずのことを、あらためて身をもって知った。
退団の意思は、出場機会の有無、プレータイムの長さから決めたことではない。
「海外に出たいと思ったのは、昨年の日本代表のヨーロッパ遠征の時でした(2024年秋)」

オールブラックスやフィジー、サモアなど南半球のチームと戦った時には、自分のフィジカル面が通用するような体感だった。
しかし欧州へ向かい、特にフランス代表と戦った時には大きな差があると感じた。
その結果を受け、「自分のフィールドプレーはもっと伸ばせる。(海外に)行きたい」と前向きに考えられるのは、この人のポジティブさゆえ。北半球でプレーしようと決めた。
移籍先は決まっていない。
しかし、ふたたび日本代表で活躍する、2027年のワールドカップでチームの勝利に貢献する、世界一のタイトヘッドPRとなる、という目標に届くためにも、思いを貫くつもりでいる。
今季を振り返り、「ジャパンに呼ばれるパフォーマンスを出せたかどうかと言われれば、絶対に出せていない」と言う。
「目の前の結果を受け止めて、一歩一歩前に進みます」
日本代表活動への招集の有無も、まだ明確にされていない。
ただ、さらに進化するために、今季の経験を生かして生きていくことは決めている。