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【サニックスワールドラグビーユース交流大会】決勝は大阪桐蔭×佐賀工。大会連覇か初優勝か。熱戦は最終日まで続く
1〜4位決定トーナメント準決勝の大阪桐蔭×御所実。激しいぶつかり合いを制したのは大阪桐蔭。(撮影/松本かおり)
2025.05.04
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【サニックスワールドラグビーユース交流大会】決勝は大阪桐蔭×佐賀工。大会連覇か初優勝か。熱戦は最終日まで続く

田村一博

 試合を終えてしばらく経っても、キャプテンたちは肩で息をしていた。
 ハードな試合とハートフルな友情の構築が繰り返される大会も、いよいよ大詰めだ。

 4月28日から競技が始まっている『サニックスワールドラグビーユース交流大会2025』は5月3日から順位決定トーナメントがおこなわれ、この日は各ステージの準決勝がおこなわれた。

 最上位(1〜4位)トーナメント準決勝の2試合は、大阪桐蔭×御所実と佐賀工×東海大大阪仰星。それぞれ19-17、24-19と、熱い戦いが続いた。

 大阪桐蔭×御所実は、互いのFWのプライドがぶつかり合う60分だった。
 前半5分に大阪桐蔭が挙げた先制トライは、相手が自信を持つモールで取ったもの。その直前に2分以上アタックを継続するも、御所実の粘りの防御を攻め切れなかった。
 しかし、この時はパワー全開。オールメンで押し、SH福島悠右がボールをインゴールに置いた。

 前半8分に自陣深い位置でキックチャージからピンチを招き、トライを返された大阪桐蔭は、12分には御所実FWにモールを10メートル近く押され、最後はPR仲井陸人に飛び込まれた(7-10)。
 しかし15分、相手ドロップアウトのキックレシーブから攻め、最後はFB須田琥珀のキックをチェイスしたWTB上原健新がインゴールで抑え、12-10とリードしてハーフタイムに入った。

 後半はお互いに1トライを挙げた。
 17分にインゴールへ入ったのは黒いジャージーの6番、ゲームキャプテンの津村晃志。大阪桐蔭はラインアウト後のモールでトライラインに迫られた後、最後は鋭く飛び込まれた。

 12-17と逆転されて迎えた後半21分だった。大阪桐蔭は敵陣左でのスクラムで圧力をかけ、御所実バックローの出足を止めた。
 NO8竹﨑司、SH福島と渡ったボールは、近場にタテに走り込んだ途中出場の北浦玲樹へ。背番号23は防御を突破し、そのままゴールポスト下へ飛び込んだ(Gも成功して19-17)。

 その後もフルタイムまで激しく体をぶつけ合う攻防が続いたものの、結局スコアは動かず。
 トライは互いに3つずつも、大阪桐蔭が勝利を手にした。

 試合後のCTB手崎颯志主将は、「ホッとしています」と安堵の表情を見せた。
「一昨日(桐蔭学園戦)の試合同様、前半にペナルティが多く、御所さんが得意としているモールの場面を自分たちで作ってしまった。後半もしんどい時に反則をしてしまった」と、勝利を喜ぶ前に反省を口にした。

 しかし、前の試合で出た自分たちの課題を反省し、御所実への対策を練って戦いに挑んだことが実った。よりハードに。しかし、戦況をよく見ながら戦ったことが奏功した。

 昨年の大会に続いての優勝にあと1勝と迫り、主将は「全員が、ここまで来たら優勝し切ろうというマインドになっています。やり切るだけ。試合を重ねるごとにチームは成長しています」と手応えを話した。

 キーワードは「元気」。「そうでないと自分たちのラグビーは始まらない。近藤(烈/13番)と僕、真ん中にいる選手が、FWとBK、両方に声をかけています」と言うリーダーは、「みんな、諦めない。気持ちが強くなった」とチームの成長を感じている。
 残り一戦、力を出し決る準備はできた。

1〜4位決定トーナメント準決勝の佐賀工×東海大大阪仰星は、攻守に前に出た佐賀工が競り勝った。(撮影/松本かおり)


 1〜4位トーナメントのもう1試合、佐賀工×東海大大阪仰星も好ゲームだった。
 前半、佐賀工は17点を先行。ディフェンスからリズムを作って得点に結びつけた。10-0とリードした後の前半22分のトライも、自陣ゴール前から攻める相手を前で止め続け、インターセプトからLO本田隆成のトライを呼んだ。

 後半に入って奮起し、3連続トライを挙げた東海大大阪仰星に一時は逆転を許すも(17-19)、そこで心が折れなかった。
 後半25分に奪った再逆転のトライは、ブレイクダウンでのターンオーバーから。ボールを手にすると前へ、前へと出てトライライン近くへ殺到。最後はFL石川樟樹のトライ、WTB岩屋武琉のGで試合を決めた。

 NO8の長谷川怜生主将は激戦後の疲労の中でも、「試合前からFWで勝とう、と言っていました。それを徹底できました」と勝因を振り返った。
 特に前半、全員で激しく守り、ブレイクダウンに圧力をかけ続けたことが勢いを生んだ。

 ハーフタイムに「守りに入るな」と指示を出した枝吉巨樹監督は、「最後は我慢くらべで我慢し切れた」と選手たちを愛でた。
 そして、「今年は突出した選手がいない分、全員で守る意識が強い」とチームの長所を話した。

 この試合以外にも、5〜8位トーナメントで桐蔭学園×ラトゥ カダヴレヴ スクール(フィジー)が30-29、ハミルトン ボーイズ ハイスクール(NZ)×バーカー カレッジ(豪州)が33-12(前半は7-5)と、力の入った試合が相次いだ。

5〜8位決定トーナメント準決勝/桐蔭学園×ラトゥ カダヴレヴ スクール(フィジー)。(撮影/松本かおり)
5〜8位決定トーナメント準決勝/ハミルトン ボーイズ ハイスクール(NZ)×バーカー カレッジ(豪州)(撮影/松本かおり)

 9〜12位トーナメントのSGSフィルトン カレッジ(イングランド)×京都成章も17-12と競った。13〜16位トーナメントの京都工学院×ベゼ ハイスクール(韓国)も最終的なスコアは38-19も、後半20分過ぎまで19-19だった。

 5月5日は大会最終日。最後の最後まで全チームが戦えるのがいい。
 1週間の内に、各選手とも、いいプレーもあれば、納得できないこともある。失敗をすぐに取り戻すこともできれば、新しいチャレンジもできる宗像での日々。子どもの日に輝くチームはどこだろう。

【写真左上】9〜12位トーナメント/SGSフィルトン カレッジ(イングランド)×京都成章。【写真右上】9〜12位トーナメント/東福岡×長崎北陽台。【写真左下】13〜15位6ーナメント/東海大相模×ジェングオ ハイスクール(台湾)。【写真右下】13〜15位6ーナメント/京都工学院×ベゼハイスクール(韓国)。(撮影/松本かおり)


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