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【サニックスワールドラグビーユース交流大会】桐蔭学園敗れる。王者撃破の大阪桐蔭と、御所実、東海大大阪仰星、佐賀工の日本勢で4強独占。
プールAの全勝対決は大阪桐蔭が20-10で桐蔭学園を破った。(撮影/松本かおり)
2025.05.02
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【サニックスワールドラグビーユース交流大会】桐蔭学園敗れる。王者撃破の大阪桐蔭と、御所実、東海大大阪仰星、佐賀工の日本勢で4強独占。

田村一博

 国内主要大会のファイナルに近い空気があった。
 4月28日に競技が始まった『サニックスワールドラグビーユース交流大会2025』は、5月1日がプールステージの最終日。各校が、順位決定戦をどのステージで戦うか決まった。

 冒頭の緊張感に包まれたのはプールA。2勝同士の桐蔭学園、大阪桐蔭がそれぞれ今大会3試合目で激突し、大阪桐蔭が20-10のスコアで勝ち、最上位の1位〜4位決定戦で戦う。
 昨年大会の優勝校は連覇まであと2勝に迫った。

 この試合最初のトライは、互いにPGを1つずつ決めて迎えた前半18分過ぎだった。
 桐蔭学園は相手反則で得たPKで敵陣へ入り、ラインアウトから攻めた。モールを押した後に近場でフェーズを重ねた後、HO堂園尚悟主将が巧みなランコースで前進。最後は、フラットパスを受けて防御ラインを突破したFL長尾峻がトライラインを越えた。

 大阪桐蔭は前半23分に敵陣でのスクラム後のフリーキックから攻めて、FWが突進。できたラック横のスペースでパスを受けたPR國分僚太がゴールポスト下に入った。
 前半は10-10で終えた。

 最終的には20-10のスコアで大阪桐蔭が勝利を手にしたこの試合。勝者は後半、冬春王者に得点させず、自分たちは2トライを追加した。

大阪桐蔭×桐蔭学園。(撮影/松本かおり)


 後半8分過ぎのトライは、22メートルエリア内で終始圧力をかけていたスクラムからだった。ムーヴを仕掛け、NO8竹﨑司→WTB上原健新で勝ち越しトライを挙げた。

 大阪桐蔭はディフェンスで前に出て、相手を下げ続けた。
 攻め入られる局面もあったが、タックルシチュエーションで圧力をかけて反則を誘い、すぐに地域を挽回した。

 後半24分過ぎ、相手反則→PKで得たラインアウトの位置は、右サイドの22メートルラインの外だった。
 しかし、体をぶつけ合った体感で自信を持っていた白ジャージーのFWはモールで前進して25メートル近くを押し切る。最終スコアを刻んだ。

 チームを率いた大阪桐蔭のCTB手崎颯志主将は、「前半はしんどい時間があって焦るところもありましたが、ハーフタイムに、切り替えようと話しました。後半は、ディフェンスで桐蔭学園さんのアタックを我慢して止めることができて、自分たちの形を作ることができました」と振り返った。

 花園と選抜で頂点に立った相手に、チャレンジャーの気持ちで挑んだという。前半はミスも出て攻め込まれることも多かった。その時間帯を「自陣に放り込まれた」と言った。
 ディフェンスを含めたコリジョンでの優位性が勝因。
「後半は反則も少なくなった。全員がチームのために体を張って、タックルしてもすぐ立ち上がり、何度も向かっていた。自分も外からディフェンスしていて安心感がありました」

 敗れた桐蔭学園の藤原秀之監督は、「完敗です。相手の方がフォワードもバックスも力強かった」と勝者を称えた。
「力比べで負けました。自分たちの弱さを露呈しました。いままで表に出ていなかっただけで、自分たちの立ち位置が分かったと思います。チャンスもありましたが、全然余裕がなかったからトライを取れる感じがしなかった。ベースが低い。積み上げていかないと」

試合終了間際に東海大大阪仰星のNO8米谷翔馬が同点トライ。コンバージョンキックも決まり、28-26と東福岡を下した。(撮影/松本かおり)


 東海大大阪仰星が東福岡に逆転勝ちした試合も好ゲームだった。
 東福岡は先制を許すも、高い個人技も使って逆転して前半を19-14として終える。後半に入ってすぐに追加点を挙げ、残り時間が10分を切るまで26-14とリードした。
 しかしそこから2トライを挙げられて26-28とスコアをひっくり返された。

 許したトライの前には、いずれも淡白なディフェンスがあった。そこが大事な時間帯に出た。
 藤田雄一郎監督は、「弱い。あれだけ相手が向かってきてくれているのに、向かっていけなかった。楽しちゃだめですよ。練習量が足りない。マインドも含め、ベーシックなことができていない」と振り返り、「選手たちがどうしたいか、です」と、選手たちの心に問いかけた。

 しかし今大会も、まだ2試合ある。
「そこで目の前の対戦相手に対し、向かっていけるか、です。勝っても負けてもそこを出して戦えないなら、ラグビーをしちゃだめです」
 プールCの3位となり、順位決定戦は9-12位決定トーナメントで戦うことになった。真価が問われる戦いとなる。

 終盤に逆転劇を見せた東海大大阪仰星のCTB東佑太主将は、「勝負は後半と分かっていました」と振り返った。
「この試合のテーマはやり切る。それを全員で、試合を通じて出せた。東福岡さんはパワフルなランナーもいました。僕たちは小さいけど、前に出続けて守ろうと言って臨みました。アタックでは、相手が嫌がることをやり続けようと」
 自分たちのスタイルを出して勝てたことを喜んだ。

東海大大阪仰星×東福岡。(撮影/松本かおり)


 プールBとプールDでそれぞれ3戦全勝、トップで勝ち抜いた御所実、佐賀工は、ともに完勝で1-4位決定トーナメントに進む。

 長崎北陽台に40-10と勝った御所実は、東海大相模、ハミルトン ボーイズ ハイスクールとの接戦、激戦を経ての3試合目で疲労もあった。ゲームキャプテンのLO津村晃志も、「前半は自分たちのラグビーができず、相手に合わせてしまいました。敵陣に入っても(思うように点を)取れず、相手にはいいランナーもいて、ディフェンスでも受けてしまった」と反省した。

 しかし後半については、「モールで取り切れたところもあったし、きょうはバックスがよくボールを動かし、外で取り切ってくれました」と仲間たちの奮闘に表情を緩めた。トーナメント戦に向けて、「前後半とも、最初の10分、終わりの5分を大事に戦いたい」とした。

 京都成章を完封し、26-0と勝利した佐賀工のNO8長谷川怜生(れん)主将は、フォワードで主導権を握り、押し切った試合を「自分たちらしくやれた」と喜んだ。

【写真左】佐賀工×京都成章。【写真右】御所実×長崎北陽台。(撮影/松本かおり)


 今大会初戦のラトゥ カダヴレヴ スクール戦(フィジー)に、ラストプレーで28-27と勝ち、チームは自信と勢いをつけた。
「あの試合で、スクラム、モールなど、フォワードプレーに自信を持ちました。その力を、きょうも最初から出せた」と主将は話す。
「佐工の、不撓不屈のディフェンスは世界でも通用すると感じました」
 この日、選抜準優勝の京都成章に勝ったことも追い風になる。順位決定トーナメントを勝ち切って「世界一になりたい」と気持ちは充実している。

 選抜4強の中で、今大会の最上位トーナメントに勝ち進んだのは御所実だけ。同校も含め、4校とも海外勢に勝ってこのステージに立つ。
 好ゲーム必至の残り2日間となるだろう。

【写真左上】京都工学院×バーカー カレッジ(豪州)。【写真右上】ラトゥ カダヴレヴ スクール(フィジー)×ベゼ ハイスクール(韓国)。【写真左下】SGSフィルトンカレッジ(イングランド)×ジエングオ ハイスクール(中華台北)。【写真右下】東海大相模×ハミルトン ボーイズ ハイスクール(NZ)。(撮影/松本かおり)


【順位決定トーナメント/5月3日】
◆1-4位戦 準決勝/スタジアム
13:30 御所実×大阪桐蔭
15:00 佐賀工×東海大大阪仰星

◆5-8位戦 準決勝/スタジアム
10:00 桐蔭学園×ラトゥ カダヴレヴ スクール(フィジー)
11:30 バーカーカレッジ(豪州)×ハミルトン ボーイズ ハイスクール(NZ)

◆9-12位戦 準決勝/フィールドA
13:30 SGSフィルトンカレッジ(イングランド)×京都成章
15:00 東福岡×長崎北陽台

◆13-16位戦 準決勝/フィールドA
10:00 ジエングオ ハイスクール(中華台北)×東海大相模
11:30 京都工学院×ベゼ ハイスクール(韓国)


【写真左上】東海大相模。【写真左下】ラトゥ カダヴレヴ スクール(フィジー)。【写真右】ハミルトン ボーイズ ハイスクール(NZ)。(撮影/松本かおり)


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