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仲間のことを話すときの表情に人間味が出る。
静岡ブルーレヴズのいぶし銀でハードワーカーの大戸裕矢は、レヴズとチームメートのことが大好きだ。
スポーツライターの藤島大さんがパーソナリティを務めるラグビー情報番組「藤島大の楕円球にみる夢」が、7月1日(月)、夜6時からラジオNIKKEI第1で放送される。
今回のゲスト、「おおど・ゆうや」の優しさあふれるトークに耳を傾けてほしい。
1990年生まれ、埼玉県熊谷市出身。父親の影響を受け、小5から熊谷ラグビースクールで競技を始めた。
熊谷東中、正智深谷高、立命館大でプレーを続け、2012年にヤマハ発動機(現・静岡ブルーレヴズ)へ加入した。日本代表5キャップ(代表戦出場)を持つ。
身長187センチ、体重104キロ。ポジションはロック。2023-24シーズンは全16試合に出場し、そのうち12試合はフランカーで先発した。
タックルに信頼がある。視界に入ったターゲットには即座に反応、刺さっているのではないだろうか。
それは思い込みだ。
34歳になった仕事人は、ロックとフランカーではディフェンスの考え方が違うと話す。
6番を背負った今シーズンは、状況を読み、空いたスペースを埋めてから前に出た。エキスパートのディフェンス論がおもしろい。
レヴズの強さは絆の深さなのだろう。この人の話から、そう推測できる。
日本代表に招集され、イングランド代表とのテストマッチに出場した後輩、プロップの茂原隆由のことに触れた際、「自分のことのようにドキドキしました」と笑った。
JAPAN XVのロックとしてマオリ・オールブラックス戦に出場した桑野詠真を「痛いプレーを好んでする選手」と評する。
今季は怪我で戦列を離れたクワッガ・スミスの凄みも、この人の言葉を借りると分かりやすい。
表面上でない、一人ひとりの付き合いの深さがレヴズのたくましさの生命線だ。
アシスタントコーチ時代も含め、14シーズン所属したモセ・トゥイアリイは、師匠であり親友と言っていい存在だ。フォワードとしてのプレーの肝だけでなく、生き方も教えてくれた。
退団後も縁は切れず、このオフにはニュージーランドを訪ねる。
12年前、立命館大卒業後にジュビロに入ったのは、チームの練習に数日参加した際、地力が伝わり、誘ってもらえたからだ。
当時のチームは、前年に下部リーグとの入替戦に出場。強化が鈍っている頃だった。そんな時代も知っているからチーム愛は深い。
日本代表キャップは5も、実はもっと多く合宿には呼ばれている。派手な活躍はなくとも、困った時、指揮官の頭にはこの人の顔が浮かぶ。
信頼の理由は、手抜きとは無縁だからだ。
苦い記憶があるから、常に全力で生きている。
入学時から試合出場の機会を得た大学時代。しかし怪我で出遅れた4年生の時、そのまま定位置を失った。
当時を振り返り、「ふわっとプレーしていた」と言う。
どうせ出られるだろう。そうたかをくくっていた甘さを忘れない。
試合中の駆け引きや、「超速ラグビー」を掲げて活動する日本代表の分析も職人的。チーム作りやレヴズの未来も話した。
磐田のクラブハウスにいるような時間だった。
▽ラジオ番組について
ラジオNIKKEI第1で7月1日の夜6時から全国へ放送。radiko(ラジコ)のサービスを利用して、PCやスマートフォンなどで全国無料にて放送を聴ける。音楽が聴けるのは、オンエアのみの企画。放送後も、ラジコのタイムフリー機能やポッドキャストで番組が聴取できる。U-NEXTでも配信予定。7月8日の同時刻には再放送がある。