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【Just TALK】「僕が弱気なら迷惑をかける。思い切ってやると決めていた」。服部亮太[早大]
2025-26シーズンはここまで、関東大学対抗戦6試合、全国大学選手権3試合に出場。(撮影/松本かおり)

【Just TALK】「僕が弱気なら迷惑をかける。思い切ってやると決めていた」。服部亮太[早大]

向 風見也

 歴代最多となる16度の大学日本一を誇る早大ラグビー部は1月2日、東京・国立競技場で大学選手権準決勝に臨み、同じ関東大学対抗戦A加盟の帝京大を31-21で下した。

 前年度の選手権決勝、今秋の対抗戦での敗戦からのリベンジを達成し、相手の連覇を4で止めた。

 大田尾竜彦監督は言う。

「帝京大さんに勝つために多くのことを1年間かけてやってきました。それがいろんな所に出た」

 殊勲者のひとりは服部亮太。身長178センチ、体重80キロの2年生スタンドオフだ。

「個人としてもチームとしても強気にプレーできたので、それが勝ちという形になったのは非常によかったです」

 前半5分には鋭いランで先制トライを決め、試合を通じて自慢のキック力でエリアを確保。10-14と4点差を追う前半20分頃には、自陣からハイパントを蹴り上げて敵陣22メートルエリア右のタッチラインの外へ飛ばした。

 これが「50・22」のキックとなり、自軍ボールを得た早大は25分に15-14と勝ち越した。

 20-14とリードを広げて迎えた前半38分には、連続フェーズの結末として服部がドロップゴールを決めた。23-14とした。

帝京大との準決勝ではゲームコントロールに加え、1T1PG1DGで11得点。勝利に大きく貢献した。(撮影/松本かおり)


 後半も味方の攻守や空中戦での好ジャンプに後押しされ、28-14としていた23分には自らのペナルティーゴール成功で31-14と差を広げた。

 終盤には追い上げを食らいながら、逃げ切った。

 司令塔が、取材エリアで大一番を振り返った。

——まずは最初のトライシーンについて。

「自分で行く、というよりは、後悔したくなかったので、強気にプレーする選択肢を取りました」

——その後の得点に繋がる「50・22」のキックについて。

「自陣から攻めるのにはリスクも伴います。ゲームプランに沿ったハイボールを蹴られた。『50・22』に繋がったのはたまたまと言いますか…。バウンドが(運)よくいった、みたいなところもある。ラッキーだと思います」

——総じて高い弾道を多用しました。再獲得を目指していたのか、落下地点の周りで守りを固めるつもりだったのか。どちらが主ですか。

「コンテストを蹴り、そこにしっかりプレッシャーをかける。それは全チームがしていることです。次の試合では僕たちも蹴られることがある。準備していきたいです」

——準決勝に話を絞れば、両ウイングの池本晴人選手、田中健想選手がハイボールの奪い合いで好捕を見せていました。

「ウイングの選手が捕ってくれることで、僕たちもゲームメイクがよりやりやすくなる。助かっています」

2005年12月9日生まれの20歳。180センチ、85キロ。帆柱ヤングラガーズ(幼小中)→佐賀工→早大スポーツ科学部2年。


——その「ゲームメイク」での意識は。

「1年間やってきたことを出す。落ち着いてプレーする。それを意識しました」

——「1年間やってきたことを出す」とは。

「アタックスピード、ひとりひとりのハンドリングスキルです。そこを全面的に出せました」

——エリアをよく獲得できた。

「裏や前のスペースを、余裕を持って見られて、判断できました」

——あらためて試合の流れに沿って聞きます。ハーフタイム直前にドロップゴールを放った意図は。

「天理大戦(26-21で勝った準々決勝)の時のミーティングで『(ペナルティゴール、ドロップゴールでの)3点の大事さ』がかなり出ました。なかなかトライが獲れないなか、(トライとその後のコンバージョンによる)5~7点ではなくても、3点でもかなり大きい」

——そのシーンでは、あれ以上攻め続けるよりも蹴り込んでしまったほうがよいと判断したのですね。

「そうですね。3点獲ったほうが、後々に効いてくるかと。あの判断が正解だったかどうかは、結果的に勝てたので、間違いではなかったと思っています」

——試合途中からゴールキックを蹴っていました。

「皆から『別に外していいよ』と軽い感じで言われていた。リラックスして蹴ろうと思いました。ずっと蹴る用意はしていた。(急遽キッカーに)代わったからと言って、焦ることはなかったです」

——終盤。かなりタフな状態でした。

「皆、きつそうでした。僕らリーダー陣が声掛けを。ここはやり切るしかなかった。我慢比べで勝てたのは、収穫です」

——昨年1月13日に東京・秩父宮ラグビー場であった昨季の頂上決戦では、帝京大に15-33で敗れています。

「去年の帝京大戦は強気でいけなかった。ただ、きょうの帝京大戦は強気でプレーできた」

——「強気」でいられたわけは。

「経験も積みましたし、いまの4年生とできる最後の試合になるかもしれないなか僕が弱気になっていたら迷惑をかける。思い切ってやろうと決めていました」

MUFGスタジアム(国立競技場)には2万7131人の観客が集まった。(撮影/松本かおり)


 現役時代に服部と同じスタンドオフだった大田尾は、好プレーのあった10番についてこう言及した。

「いいところはいいと思うんですけど、まだまだ安定感が足りないところが。(リードしている)後半20~30分にどうボールを使って(流れを)安定させるかに課題がある。彼にはそういうことを日頃から伝えているのですが。勝ってまたいい課題が出た。成長の糧にしてほしいです」

 当の本人も頷く。

「停滞したところでどのような選択をするのかはまだまだ。修正したいです」

——その他、現時点での課題は。

「敵陣22メートルエリアに入ってから(点を)獲り切ること。また、ペナルティキックをもらった時のペナルティゴールか、トライを獲りにいくかの判断は(今回は)少し難しかった。もっとミーティングをして、全員の意思がひとつになるようにしたいです」

 1月11日、国立での最終決戦では明大とぶつかる。12月7日にこの地であった関東大学対抗戦Aの直接対決では、19-25で敗れている。

 服部はカード未定の状態で話していたが、再戦が叶えば「借りを返せる」のが楽しみだと微笑んでいた。

「決勝はもちろん大事ですが、気負い過ぎずに。いつも通りのラグビーをすれば絶対に勝てる」

 次のゲームでも躊躇しないつもりだ。




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