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2025年を締めくくるトップ14第13節、そしてレギュラーシーズン前半戦の最終戦(12月27、28日)は、例年通り「ボクシングデー」として開催された。
これはキリスト教圏において、12月26日の祝日に「教会の募金箱(Box)」を開けて貧しい人々に配ったり、使用人が主人から「贈り物」をもらって休暇を楽しんだりした習慣に由来する 。現在のトップ14において、このイベントはスポーツのエンターテインメント、ファンの熱狂、そして社会貢献が融合した恒例行事となっており、プロラグビーの魅力を発信しながら社会への責務を果たすことが最大の目的である。
今年は「ラグビー。分かち合えば、もっと良くなる」というメッセージの下、障がい者の自立と社会参加を支援する団体「APFフランス・ハンディキャップ」と提携し、インクルーシブな社会を称えた。
同団体は、各クラブのアクセシビリティの現状調査、障害者アシストコーディネーターの育成、そしてスタジアムでの受け入れ態勢を向上させるための「ベストプラクティス・ガイド」の共同執筆などを通じて、プロラグビー運営団体LNRの「プロラグビー・アクセスビリティ推進計画」に協力している。

ボクシングデーの期間中、APFフランス・ハンディキャップを支援するためのPRキャンペーンや、ボクシングデーで使用された試合球や、選手、およびレフリーの着用ユニフォームのオークション販売、さらにトップ14のデジタルプラットフォームを通じた寄付の呼びかけが行われた。
ちなみに、昨年のボクシングデーが支援先に選んだのは、生活困窮者に食事と温かな場所を提供するチャリティ団体の一つ『レ・レスト・デュ・クール(心のレストラン)』で、18万2000ユーロ(約3000万円)の寄付金が集められた。
興行的にも盛り上げを狙って、好カードが割り当てられる。さらにクリスマス休暇で帰省した家族や友人と観戦に来る人でスタジアムも満員になる。カストル、バイヨンヌ(44試合連続!)、ポー、トゥーロン、トゥールーズでチケットが完売となり、クレルモンではスタッド・マルセル・ミシュラン史上最高観客動員数を更新する1万9073人を記録した。
また、試合開始時間も通常は、土曜日の14時30分に1試合、16時35分に4試合、21時に1試合、そして日曜日の21時5分に1試合のスケジュールで行われるところを、この日は土曜日の14時、16時、18時、21時、そして日曜日の16時、18時、21時5分と、すべて時間をずらして実施された。自宅のテレビの前で観戦する人にとっては、 全試合がじっくり観られるトップ14マラソンになる。

ボクシングデーの皮切りとなったラシン92は61-16でモントーバンに圧勝。カストルは地力を発揮して36-22でリヨンに粘り勝ち。バイヨンヌは緊迫した接戦を、LOルーカス・パウロスが80分に執念のトライを決め33-34とし、涙するパウロスを背に、SOジョリス・スゴンがコンバージョンを成功させて逆転に成功(36-34)。またしても「奇跡の逆転劇」を起こし、難攻不落の要塞を守り切った。
土曜日の最終戦となったクレルモン×ボルドーは深い霧の中で行われた。前節、最下位のペルピニャンに数的有利の状態にも関わらず敗戦を喫し、チャンピオンズカップ、トップ14と合わせて3連敗となっていたクレルモン。クリストフ・ユリオスHCは「この試合が分岐点になる」と、選手たちに奮起を求めていた。
クレルモンは、まずはラグビーの基礎を徹底し、フォワード陣のハードワークを頼りに戦った。チームの主力たちも、その責任を全うした。ここ数週間、本来の調子を欠いていた今季加入のオールブラックスのSOハリー・プラマーが、ゴールキックの精度はもちろん、ゲームメイク、そして自らトライを決めた(69分)場面のようなラインへの果敢なアタックなど、随所でその実力を発揮し、「カミーユ・ロペスのバイヨンヌへの移籍後、ようやくクレルモンは10番を見つけた」というサポーターの期待が本物であることを証明してみせた。

一方、SOマチュー・ジャリベールとWTBダミアン・プノーという2人の主軸を欠いたボルドーは、多くのハンドリングミスを犯し、サポートの遅れからプレーの連続性を欠き、スクラムでも苦戦を強いられるなど、本来の力を発揮することができず、34-19でクレルモンが意地の勝利を収めた。自信を失いかけていたグループにとって大きな勝利だ。
展開ラグビーを身上とするポーと、屈強なフィジカルでアグレッシブに攻めるモンペリエという対照的なスタイルのぶつかり合いとなった一戦は、前半を15-14でリードして折り返したポーが、後半、さらにテンポアップ。2トライ連取、さらにPGも成功させて32-14とした時には、相手を突き放したかのように思えた。
しかし61分、ポーはFLリース・ヒューワットが危険なタックルで10分間の退場となり、その間にモンペリエに2トライを奪われて32-26と6点差に詰め寄られる。さらに82分にも失トライ。35-33と逃げ切る展開だった。
WTB/FBテオ・アティソベ、CTBエミリアン・ガイユトン、SOジョー・シモンズ、HOフリアン・モントーヤら多くの負傷者を抱えながらも勝利を掴んだことから、ポーの選手層に厚みが出てきていることがうかがえる。

前週、敵地のボルドーで7-46と大敗を喫したトゥーロンは、ホームにペルピニャンを迎えた。
スタンドを埋めたサポーターに対し、勝利でチームの立て直しを見せなければならなかったトゥーロン。しかし、7-10でペルピニャンにリードされて前半終了の笛が吹かれると、チームのパフォーマンスに満足できないサポーターからブーイングが起こった。
後半、トゥーロンは2トライを挙げるが、ペルピニャンに1トライを返されて21-16と5点差に迫られる(67分)。75分にゴール前のラインアウトからモールを押し込んで再び突き放す(26-16)が、試合は簡単には終わらなかった。その直後、短めに蹴ったキックオフからペルピニャンに自陣22メートル内に攻め込まれたのだ。
しかし相手は落球。そのボールを素早く拾ったのは、今月イタリアのベネトンから移籍し、この日がトゥーロンでの初試合となったロス・プーマスの10番、トマス・アルボルノス。ディフェンスをかき分けハーフウェイラインまで進んだ。アルボルノスは、その後もボールを繋ぎ、ペルピニャンのゴール前まで前進した仲間から再びボールを受け、キックパスをタッチライン際へ蹴った。待ち構えていたWTBガエル・ドレアンをトライゾーンに送った。31-16。ボーナスポイントもゲットした。
敗れはしたが、ギリギリまでトゥーロンを苦戦させたペルピニャンからもチーム再建が進んでいる様子が感じられ、後半戦に向けて希望が感じられた。
2025年最後の試合となったトゥールーズ×ラ・ロシェルは、トゥールーズのホームのスタッド・エルネスト・ワロンからスタジアム・ドゥ・トゥールーズに場所を移して行われた。
トゥールーズは、チャンピオンズカップでの敗戦や、メルヴィン・ジャミネの移籍問題に伴う勝ち点2の剥奪という逆風の中におり、前週リヨンに勝利してもなお、その胸に収まらぬ怒りを抱えていた。サポーターの数は3万超。選手たちはボクシングデーを最高の祭りにすることを誓い、最上級のラグビーを披露する思いでピッチに立った。
その中心にいたのが復帰5試合目のSHアントワンヌ・デュポンである。スーパープレーヤーぶりを発揮し、まさに『デュポンした』のだ。相手にプレッシャーをかけるキック、自陣を脱出するキックと、いずれも理想的な飛距離を出し、見事な50/22キックも成功させた。昨季はこれがトゥールーズに欠けていて苦戦した。
また、巧みにテンポをずらして放たれるパスは数的優位とトライチャンスを生み出し、チームが挙げた9つのトライのほとんどにおいて、決定的な役割を果たした。自身も2つのトライを決めた。

まさに『デュポン祭り』。60-14とラ・ロシェルを完膚なきまでに打ちのめし、減点処分によりポーに明け渡した首位の座を早くも取り戻した。
「すべてが上手くいく日もある」と試合後、デュポンは会見で語った。「FWが前に出てくれると、9番や10番はスペースを見つけやすくなる。ラグビーの感覚はかなり早く取り戻せたし、自分の能力もすぐに発揮できるようになった。今は以前と同じような感覚で違和感もない。この状態が続いてくれることを願っている」
さらに、「復帰に向け、自分を最高の状態に追い込んできた。中途半端な状態で戻りたくはなかった。ここまでにハードに、そして長くトレーニングに励んだことはない。その努力が報われたことを嬉しく思う」と付け加えた。
果たして、デュポンは完全復活したのだろうか?
ユーゴ・モラHCは現地中継局のインタビューに対し、「復帰してまだ5週間です。彼にはまだ時間が必要です。出場時間も調整しながら慎重に管理してきました。1月には(イングランドのサラセンズ戦やセール戦といった)チャンピオンズカップも控えています。もちろん、彼は規格外の選手です。しかし、彼が特別なのは単に個の力があるからではなく、チームに必要な熱意を生み出せるからです。何より、彼は周囲の選手を活かすことができる。この競技において、それは本当に素晴らしい才能です」と語った。
敗れたラ・ロシェルのロナン・オガーラHCは「まるで(我々とトゥールーズは)別のスポーツをしているのではないか、という感覚さえ抱いている。トゥールーズのプレーのタイミング、精度、そしてアグレッシブさ……すべてに拍手を送りたい。トップチームによる、トップレベルのパフォーマンスでした。おそらく、クラブチームとしては世界最高でしょう」。
さらに、「このような試合の直後では、自分たちが今どの地点にいるのかを見定めることすら困難です。これは、私のコーチのキャリアにおいて最大の敗北です。私はかなり自尊心の強い男ですが、そのプライドも打ち砕かれました。たとえ相手が超一流のチームだったとしても、我々のミスが彼らを助けてしまった。あんな姿は本来の我々ではありません。ハイレベルなスポーツの世界において、あのような振る舞いは許されないことです。この経験から学べる興味深い教訓はあるはずです。それを自分たちのものにし、実践できるかどうか。いま問われているのはそこです」と続けた。
ラ・ロシェルは10位で前半戦を折り返した。
今季前半戦を振り返ったときに最も輝きを放ったのは、ボルドーの司令塔マチュー・ジャリベールだろう。インスピレーションに溢れ、献身的。正確かつ決定的な仕事を次々とこなし、毎試合のように傑出したパフォーマンスを連発している。
スペースを見つけるやいなや鋭く切り込み、距離の長いキックで陣地を挽回。自ら得点するだけでなく仲間のトライをも演出する。WTBルイ・ビエル=ビアレ、CTBヨラム・モエファナ、CTBニコラ・ドゥポルテール、WTBダミアン・プノーといった、「フランス空軍アクロバット飛行隊」に例えられるボルドーが誇る華麗なBK陣を見事に指揮するリーダーとなっている。批判されていたディフェンス面にも取り組み、果敢に相手をドミネートするタックルも見せており、この分野での苦手意識も克服した様子がうかがえる。

ボルドーのロラン・マルティー会長は「マチュー・ジャリベールは、まさに異次元の領域に達している。彼のスピードやヴィジョンは周知の通りですが、いまの彼はそれ以上にフィジカル面でも『怪物』へと変貌を遂げ、さらに凄みを増している。その進化には、ただただ驚かされるばかりだ。このパフォーマンスが、フランス代表という国際舞台でも正当に評価されることを願ってやみません」と語っている。
当然、「フランス代表の10番はジャリベールか、ンタマックか?」という議論が再燃する。
ジャリベールとフランス代表の関係はシンプルではない。ロマン・ンタマックの負傷していた2023年のW杯は、メンバーをローテーションさせたウルグアイ戦を除いてすべて10番をつけたものの、依然としてフランス代表の10番はンタマックであり、時にはジャリベールよりもFBトマ・ラモスが選ばれることもあった。
デュポンを中心にチームが作られており、トゥールーズでもコンビを組み、デュポンのプレーに合わせて自分を消すことができるンタマックが選ばれるのは理解できるが、例えば、南アフリカのようにハンドレ・ポラードとサーシャ・ファインバーグ=ムゴメズルの2人の異なるタイプのSOを、対戦相手によって、また一つの試合の中でも前後半で戦術を変えながら活用することはできないのだろうか。これほどの才能をクラブラグビーだけに留めておくのはあまりに惜しい。
2026年、ファビアン・ガルチエHCが、2人の天才を共存させる策を見出してくれることを願う。