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ラグビー日本代表17キャップのベン・ガンターが、12月21日、埼玉・熊谷ラグビー場で暴れた。
所属する埼玉パナソニックワイルドナイツのフランカーとして、国内リーグワン1部の第2節に先発フル出場。今季初の国内公式戦において浦安D-Rocksを37-19で下すまで、おもに防御で献身した。
再三、味方とのダブルタックルで走者を押し返し、向こうのミスを誘うハードタックルも重ねた。
23分頃には、敵陣22メートル線エリア右での相手ボールスクラムが解けるや走者を追ってタックル。すぐに起き上がり、スティールを決めてペナルティキックをもらった。
その後も要所でターンオーバーを重ねた。ラストワンプレーの局面でも、自陣22メートル線上右で地面の球に絡んだ。
身長195センチ、体重120キロの28歳が、持てる力を発揮した。

——素晴らしいファイトでした。特にスティールが見事でした。
「昨シーズンを終えて(夏から秋まで)代表活動があり、その後、再びこうしてパナソニックでプレーできたことを嬉しく思います。(周りの)タックルがよくないと、ジャッカル(スティール)には入れません」
——とはいえ前半23分頃には、ご自身がタックルで倒した相手にスティールを決めていました。
「デービッド・ポーコック選手(かつてワイルドナイツでともにプレーした元オーストラリア代表フランカー)から、ずっと前に教わったスキルです。できる時にはやろうと心がけています。ただ昨今は、相手が強くなっている。タックルして、起き上がってからジャッカルすることは難しくなってきています。これが見られるのは、かなりレアなのではと感じます。
ジャッカルを決めるには、やはり仲間のタックルがよいのが条件となります。チームメイトを頼って、信じて戦っていきたいです」
2016年に来日。練習生からキャリアをスタートし、いまやジャパンに欠かせぬハードヒッターとなった。
2027年には故郷のオーストラリアで、出場すれば自身2度目となるワールドカップがある。
競技人生を豊かに彩るさなか、幸せなターニングポイントを迎えた。
この秋、第一子が誕生したのだ。
「(日本語で)ありがとうございます。3週間前です」

——それまで日本代表のキャンペーンに参加していましたが、11月10日に「個人事情」による離脱が発表されていました。
「(以下は英語で)潜在的にスコッド(試合の登録メンバー)となる可能性もあっただけに、(チームを離れることに)複雑な気持ちはありました。ただし家族を第一に考え、決断をしました。私にとって初めての赤ちゃんが生まれることを、見逃すわけにはいかなかった。エディー(・ジョーンズヘッドコーチ)ら日本代表のスタッフの皆さんも『来年以降、再びジャパンにフォーカスできるように』と理解を示してくれました。感謝しています。
子どもは男の子です。名前は、ガンター・世海・リヨンです。私のパートナーは日本人でありながらフィリピンで育っています。オーストラリア出身の私もタイで生まれました。すべて大事な国。それぞれの世界は、海で繋がっています」
——素敵な由来です。父親としてプレーする感慨は。
「大きく変わりました。これからより仕事とプライベートのバランスを取っていかなくてはならない。ワークライフバランスを重視する新しいチャレンジにわくわくしています。これにより、もっとよい人間になれると感じています」
この日はチームの開幕2連勝も喜んだ。12月28日には神奈川・相模原ギオンスタジアムで、三菱重工相模原ダイナボアーズとの第3節にスターターとして臨む。