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【よくわかるRWC2027】日本の対戦国はフランス、アメリカ、サモア。試合日程は来年2月3日発表。大会方式、エディーの声も。
大会は2027年10月1日から11月13日まで開催される。写真左上はウェッブ・エリスカップ (Photo by Mark Metcalfe - World Rugby/World Rugby via Getty Images)。写真右上はプール分け(World Rugby提供)、写真左下は抽選をするダン・カーター (Photo by Mark Kolbe - World Rugby/World Rugby via Getty Images)。写真右下は日本代表のエディー・ジョーンズHC(撮影/松本かおり)
2025.12.04
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【よくわかるRWC2027】日本の対戦国はフランス、アメリカ、サモア。試合日程は来年2月3日発表。大会方式、エディーの声も。

田村一博

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#RWC2027

 オーストラリアでフランスと戦うワールドカップは、2003年大会以来だ(29-51)。同代表とは2011年のニュージーランド大会でもプールステージで同組だった(21-47)。

 12月3日、2027年にオーストラリアで開催されるラグビーワールドカップ(以下、W杯)のプール分け抽選がおこなわれ、日本はプールEに入り、フランス、アメリカ、サモアと戦うことになった。

プールステージの組み分け。(World Rugby提供)
試合開催都市。(World Rugby提供)


 抽選はシドニーのナイン・ネットワーク(Channel Nine)のスタジオでおこなわれた。
バンド1〜4のボックスの中に、それぞれのバンドに属する6つの国名が記されているボールが入れられており、その中に手を突っ込み、各バンドの国々がどのプールに入るのか決めていった(プールF→E→D→C→B→A)。
※開催国のオーストラリアだけは、予めプールAと決まっている。

 バンド4から順に3→2→1と進んだ。それぞれのバンドの抽選者は下記の4人だった。
【バンド1】ブレット・ロビンソン(ワールドラグビー会長/元オーストラリア代表)
【バンド2】ジェームズ・スリッパー(オーストラリア代表最多キャップ/151caps)
【バンド3】アリシア・ルーカス(リオ五輪金メダリスト/元オーストラリア女子セブンズ代表)
【バンド4】ダン・カーター(元ニュージーランド代表/112caps/W杯2回優勝)

各バンドの箱から、チーム名が入ったボールが取り出されていった。(撮影/松本かおり)


 大会出場チームが20チームから24チームとなった大会は、2027年10月1日から11月13日まで開催される。
 開幕戦の開催都市はパース。試合日程は2026年2月3日に発表される。

 4チーム増となった今回から、新たな大会形式が用いられる。これまでは20チームが5チームずつ4プールに分かれてプールステージを戦い、各プール上位2チームが準々決勝(ノックアウトステージ第1ラウンド)に進出していた。
 今回から6つのプールで4チームずつが戦い、その後、新設の『ラウンド・オブ・16』(ノックアウトステージ第1ラウンド)を戦う。

『ラウンド・オブ・16』に進出するのは、下記の16チームだ。
・6プールの上位2チーム
・プール3位チームの中から上位成績の4チーム(勝ち点→得失点差→トライ数の順に適用され決定)

 大会の総試合数は前回大会の48試合から52試合となった。しかし、大会期間は2023年の50日間開催から43日間に短縮される。
 各プールが5チーム編成から4チーム編成となったため、各チームのプールステージの試合数が4→3となり、偶数チームとなったことで、試合スケジュールの無駄がなくなったからだ(プール内4チームが試合をしている時、どこか1チームが休む必要がなくなった)。
 今大会では最低5日間の試合間隔が設けられる。

プールA、B、C、Dの上位チームは決勝トーナメント1回戦で各プール3位チームと対戦
プールA、B、C、Dの2位チームの中には他プール1位と対戦するチーム、他プール2位と対戦するチームもある。
プールEとFの上位2チームは各プール2位チームと対戦

※上記について大会側は「やや不公平に思うかもしれないが、この不均衡は次のラウンドで解消される」とし、下記のように説明している。
「プールAとプールEを例に挙げると、プールAの1位はラウンド・オブ・16で3位チームと対戦、準々決勝では仮にプールBの1位がラウンド・オブ・16を勝ち抜けば、そのチームと対戦する。一方プールEの1位は決勝トーナメント1回戦で3位チームではなく2位チームと対戦するが、準々決勝では他の2位チーム同士の勝者と対戦する。つまり、プールAの1位は3位チームと対戦→上位チームと対戦する可能性がある一方、プールEの1位は両試合とも第2位チームと対戦することに。したがってプールステージ終了時の順位に関わらず、有利・不利は生じず、最終的には均衡が保たれる」


 大会の組み合わせ決定を受け、日本代表のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(以下、HC)は、「ワールドカップのドローが決まり、誰と対戦するのか明確になりました。ここから対戦相手に対してしっかりフォーカスすることができる。この3試合だけを意識し、初戦が決まったら(試合日程の決定により対戦順が明確になれば)さらにそこに意識を持っていくだけです」と話した。

「フランスは大きなフォワードがいて、22メートルラインの中に入ったらオフ9から(9番から直接ボールを受けたその選手たちが)ディフェンスの間を突破してくる。それを2人で(ダブルタックルで)止めなければいけない。ラック周りのディフェンスも非常に大事」
 チームの顔、SHアントワンヌ・デュポンについては「(トゥールーズで)一緒にプレーしている選手(齋藤直人)がいるので情報を得たい」とした。

 また、サモアに関しては「大会ギリギリにならないとメンバーは揃わないので、本性はそこまで分からない」。アメリカについては、新しいヘッドコーチ(スコット・ローレンス)になって時間も経ち、キックを多用している印象と言い、最近のラグビーのトレンドの中でキックの重要性が高まっていると話した。

 アタックではコンテストキックの再獲得からふたたび攻めるスタイルを高めていきたいと話した。蹴られた際の現在のクリーンキャッチ率は約30パーセント。そこを改善していけば勝機も高まると考える。

2027年大会がヘッドコーチとして5回目のW杯となるエディー・ジョーンズHC。(撮影/松本かおり)


 キック同様にチーム力を高めるもう一つの要素をディフェンスとした。
「選手たちは、どの国に対してもしっかりディフェンスできる手応えと自信を感じていると思います。特にフランスに対しては、そこがとても大事。さらに強化を進めていく」とした。

 チームの成長過程については順調と語った。
 2024年を振り返り、「超速ラグビーを体現できてはいたが20分しか持たなかった」。それに対し2025年は「試合の状況に応じて違うスタイルでもプレーできるようになり、それによって相手からすると手強い相手になったと思う。そこに継続していきたい」。手応えをそう伝えた。

 11月24日におこなわれた欧州ツアーの総括会見では、現在のスコッドメンバーを2年後の大会に臨むスコッドの70パーセントとし、2026年には80パーセントとするイメージを口にした。
 先の欧州ツアー、ジョージア戦では20キャップ超の選手が先発だけで8人いた。ジョーンズHCは2年後のW杯では試合メンバーの総キャップ数が600前後になるようなイメージでチーム作りを進めているようだ。

 2015年のW杯に日本代表を率いて挑んだ際は初戦の相手が南アフリカ代表と決まってから、常にその相手を想定した練習を徹底して準備を進め、世界を驚かす勝利を挙げた。しかしこの日は、「初戦の相手が決まったら、まずそこに勝つための準備を進める」と話した。

 ヘッドコーチとしてW杯に臨むのは今回が5回目(2003年/豪州、2015年/日本、2019年/イングランド、2023年/豪州)。
「その経験から、先のことを考えるべきではないと思っています。2015年の時は南アフリカが初戦の相手と分かったのでそこに集中して取り組みました。なので、今回もまず対戦相手が決まってから、いろいろ進めたい。選手自身も、目の前の相手に対し一つずつ集中したいと思います」
 プールステージ→ラウンド・オブ・16→ノックアウトステージと続くプロセスについても、「どことどうなったら次は……など考えず、まずベスト8にいくことだけに集中します」

「残り2年、やるべきことをやり尽くす」。(撮影/松本かおり)


 ターゲットは2019年大会を超えるトップ4。「そのためにもこれからの2年間、やるべきこと、やれることをすべてやり尽くします。選手たちは、いま持っている力以上のものを発揮しないと(目標は)達成できないと思います。並大抵のエフォートでは足りませんが、できないわけはないと思っています」と指揮官は覚悟の強さを伝えた。

 フランス代表のファビアン・ガルチエHCは、プールEに欧州勢がおらず、「比較的戦いやすい相手と当たる」と問われ、「ワールドカップは非常に長い大会。オリンピックやサッカーのワールドカップと比べても長い。極めて過酷」と答え、「我々のプールでは日本をよく知っていますし、アメリカともワールドカップで対戦したことがあります。一見すると手が届きやすいプールに見えますが、どの相手にも大きな敬意を払っています」と続けている。

 来年2月3日に試合スケジュールが発表された後は2027年10月まで、駆け足で日にちが過ぎていきそうだ。





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