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東芝ブレイブルーパス東京が試練に直面している。
2連覇中のジャパンラグビーリーグワン1部で、現在6連敗中。5勝7敗で12チーム中6位と、何とかプレーオフ進出枠内に踏みとどまっている状況だ。
3月22日、東京・秩父宮ラグビー場。直近の第12節で9位の三重ホンダヒートに屈した。22-24。ラストワンプレーで逆転され、今季の同カードを2戦2敗とした。
互いに順位が変わらぬまま迎えた公式会見で、胸中を明かしたのは敗軍のリーチ マイケル主将。観客への感謝から切り出した。
「皆さんこんにちは。きょうもたくさんの方に試合を見に来てもらい感謝しています。ブレイブルーパスファンからしたら、『どうしたの?』と心配しているかもしれない。『優勝したのに6連敗。何で?』という質問が多くあると思います。
自分たちもその『何で?』を一生懸命考えて、チームのなかでは少しずつよくなってきています。
正直、いまの状況は苦しい。ここをどう抜け出し、勝っていけるかを、選手とコーチが一丸となって考えないといけない。(周りに)指をさしたり、ああだこうだと言ったりするのが一番、簡単です。ここで、優勝に向けてやるべきことをしっかり考えてやっていくしかないです。
ファンへのメッセージは…。
選手のなかでは、一生懸命に準備をしている。勝つ準備をしている。結果を出せなくて申し訳ない気持ちはあります。ただ、優勝は諦めていないし、次のクボタ戦(後述)に向けてもう 1 回、勝つ準備をしていきたいです。自分たちの強みを出せるようにしたい。
リーグワンでは、下のチームが上のチームに勝つようになってきた。ちょっとの差で負けることも、勝つこともあるから、リーグとしてよくなっているなと選手として実感します。
毎週、毎週、東芝のファンには感謝しています」

——この日に向けては。
「サントリー戦(3月15日、秩父宮で東京サントリーサンゴリアスとの第11節を21-60で落とした)のゲームプランを、継続しました。大きく変えることはなく、エリアごとの戦い方を少し変更していきました」
身長189センチ、体重113キロの37歳。日本代表92キャップを持ち、過去にワールドカップを4度経験のナンバーエイトは、この日、怪我から戻って6度連続での先発フル出場を果たしていた。
復帰後に白星から遠ざかる現状に、ジレンマを抱く。
「正直、僕が出てから負けているので、リーダーとしての(力)不足を考えていて。でも、それを(過剰に)考えてもしょうがない。自分のパフォーマンスに少しずつ仕上げていくしかない。正直、いまは苦しい状況です。でも、ここで下を向いても周りにいい影響を与えない。とにかく勝つ準備をやっていくしかない。長いキャリアを通し、ずっと強いという保証はないです。こういう経験から得るものも多い。こういう時こそ、リーダーの役割が重要になります」
質疑を通して振り返ったのは、ラストワンプレーまでの流れだ。
ブレイブルーパスは後半37分、ペナルティゴール成功で22-21と勝ち越した。しかし、その後の相手ボールキックオフを蹴り返してから防御で反則を連発。39分、42分と長距離のペナルティゴールを狙われ、最後の1本を決められた。
「(問題は)その前、ですね。(19-21で2点差を追って)攻めて、攻めて(ペナルティキックを獲得)。ここからスクラム、クイックタップ、ラインアウトモール(でトライを目指すのではなく、ペナルティゴールを)蹴って…。それが正しかったのか、正しくなかったのか…。負けてから『トライをしにいくべきだった』と思うし、次の機会はトライを獲りに行くかなと思います。
(実際に22点目を奪ってからの)残りの2分は、とにかく『我慢、ペナルティをしない』と(意識)。ただ、それができず、試合終了です。
その前のキックオフ。相手のフランコ・モスタートゲーム主将がヒートのキッカーに『奥にいるウイングのほうへ蹴ろう』と言っていたのかな。それで(自陣から)脱出できないようにさせようと。そこでもうちょっと冷静になって、いい状態で蹴れるようにしたかったなと。
この試合でのいくつかの選択肢について、リーダーとして反省しています。ただ、『勝つ試合で負けた』と、チームとして受け止めないといけないです」
件の流れについては、フルバックで副将の松永拓朗も自らの立場で悔やむ。
リードを奪ってからのキックオフを自陣で確保し、陣地を取り返す際、キックした味方のウイングに違った声掛けができればよかったという。
「相手が点数で負けていたなかでも奥に蹴り込んできたということは、『(キックの落下地点へ)プレッシャーをかけたかったんだろうな』と『蹴り返させて、アタックがしたかったんだろうな』です。そこで、僕のなかでは早く蹴り出し、中盤のディフェンスでプレッシャーをかけたかった。だから(捕球した)ウイングの選手に『蹴り出して』のコールをしました。ただ、その時の体勢は難しいものでしたし、(残り)時間のことも考えて、ひとつ(接点を)作って…(からキック)にしてもよかったかなという反省があります」
シーズン序盤にゲーム主将を務めた身長172センチ、体重81キロの27歳は、タフな状況で踏ん張るリーチを信頼する。

「マイケルさん自身、責任を感じているとは思います。僕たちの想像できないプレッシャーを抱えて試合に挑んでいる。ただ練習中から覚悟を感じますし、誰よりも身体を張ろうとしてくれている。僕たちはその背中ついていくだけです」
その言葉通り、リーチはこの日もハードワークした。世界中のゲームスタッツを網羅する「ラグビーパス」によれば、タックル数は両軍最多タイの「15」だった。
後半35分頃には、自陣の深い位置から約40メートルの距離をゲイン。19-21と2点差に迫った直後のことだ。
リーチ本人はあらためて、「優勝に向けてやるべきこと」について掘り下げる。
「過去の試合ではセットプレーから自分たちのボールをうまく出せなかった。きょうはスクラムとラインアウトが安定した。その辺は、よくなっている感じがあります。ここからは、優勝を諦めるマインドにならない状態にするのが大事。まずはトップ6に入って勝負をかける。ここをターゲットにします」
——仲間たちに諦めさせない。そのためには。
「ネガティブにああだこうだと言うのではなく、いまの試合が何でだめだったかを振り返り、次の試合でどうやって勝っていくかを考える。5パーセントでも、10パーセントでもよくする意識です。サントリー戦から少しずつよくなってきているのは間違いないです。いつか結果がついてくる」
3月28日には都内のスピアーズえどりくフィールドで、3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイとぶつかる。1月24日の第7節(秩父宮)で24-20と下して以来の対戦だ。