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ファフ・デクラークが本領を発揮した。
ラグビー南アフリカ代表60キャップのスクラムハーフは、3月20日、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で加盟するリーグワン1部の第12節に先発フル出場。プレイヤー・オブ・ザ・マッチを受賞する活躍ぶりで、首位のコベルコ神戸スティーラーズを38-29で下した。
ワールドカップ2連覇中の強豪国で長らく主軸を張る身長172センチ、体重88キロの34歳は、加入4季目の今シーズンは12月14日の第1節で足首を故障(神奈川・日産スタジアムで静岡ブルーレヴズに27-39で敗戦)。その後はしばらく欠場し、チームの開幕6連敗に苦虫をかみつぶしていた。
しかし3月14日、栃木のホンダヒート・グリーンスタジアムでの第11節でカムバックするや攻守に躍動。三重ホンダヒートを31-26で破った。さらに金曜開催となった今度のゲームでは、今季初の連勝を記録した。

——…加えて、今回は復帰後初の80分フル出場でした。
「うん。いいよ! フィットネスはこれから上げていかないといけないけれど。きょうは、容赦なく80分間ハードワークし続けられた。これは自信になる」
——試合に出られない間、チームに負けが込んでいました。どんな思いでしたか。
「がっかりしていました。ただ、きょうベストチームに勝てた。レギュラーシーズン残り6試合で、いいフィニッシュをしたい」
——戦前は最下位。1位だったチームにどんな気持ちで臨みましたか。
「自信を持っていました。これまでの試合ではいいプレーを続けられなかったのが修正点でしたが、きょうは最後までいいプレーができた」
——チームにエネルギーが満ちているような。何かありましたか。
「よくわかりません。ただ、今週はショートウィークで2回しか練習がなかった。そのおかげかな!」
周辺への取材によると、今年度のイーグルスは新体制での足場を固めるさなかにやや足踏みしていた。
もっとも黒星が先行するさなか、選手たちがグラウンド内外での振る舞い、行動を見つめ直して復調の兆しを手繰り寄せる。流れが途切れるたびに次に選択するアクションを明確化するなど、ゲーム中のリーダーシップにも微修正を施していた。
一昨季までの2季連続4強入りをもたらした、団結力、粘りを取り戻しつつあった。

ここへ再合流したのが、デクラークだった。活力のあるグループへ名手がいたら、爆発するのは必然である。
金髪の背番号9は、鋭いキック、タックルで爪痕を残した。かつ、攻めては果敢に仕掛けた。密集近辺でボールを持ち出しては前進し、周りへ駆け込むフォワードを活かした。
その流れで自らも、前半11、31、42分にトライ。ハットトリックを達成した。
特に3本目は、敵陣ゴール前左の接点から狭い区画へ走って決めた。その場にいたタックラーの胸元を突っ切るような動きのあと、グラウンディングした。
24-10でハーフタイムに突入し、24-29と勝ち越されて迎えた後半30分には再逆転を促した。
敵陣ゴール前中央から右の空間へロングパスを放り、フランカーでゲーム主将のビリー・ハーモンにフィニッシュさせた。直後のゴール成功で31-29とし、35分の好機も組織でものにした。
——あらためて、デクラークさんの仕掛けが効いていました。
「神戸はディフェンスの際、フィールドを(広く)カバーするのがうまい。ですので、逆にラック周りには絶対に穴があるとわかっていた。また、味方のクリーンアウト(走者をサポートして相手のスティール役などをはがす役目)をしてくれた選手に感謝しています。そのおかげで(接点周りの防御が削れて)スペースが作られました。トライできたことは嬉しいです。その機会はあまりなかったので」
——後半35分に同僚の田畑凌選手がトライした瞬間、デクラークさんは身体を痛めていたような。
「タックルされた時に(芝に打たれて)背中を。ただ、もう大丈夫!」

3月28日には日産スタジアムで、トヨタヴェルヴリッツとの第13節に挑む。ホストゲーム初勝利をにらむ。
それと同時に求めるのは、来季以降の前向きな機会のようだ。開幕前に欧州移籍の可能性が報じられたこの人は、取材エリアで言い切った。
——今度のスティーラーズ戦のようなパフォーマンスを発揮されると、あらためてファンはファフさんが1日でも長くイーグルスでプレーするところを見たいでしょう。来季以降について、現時点でお話しできることはありますか。
「クラブ次第です。これまでも、これからも、話し合いを。いつもチームのためにいいパフォーマンスをしたい。日本を愛しています」
——であるとしたら、ヨーロッパに関するニュースがあったのは不本意だったのでは。
「…行かない!」