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自分を毎日超える。桑山聖生[東芝ブレイブルーパス東京]
昨季オフも含め、プレシーズンから自分を進化させたから充実のシーズン序盤を過ごせている。(撮影/松本かおり)
2026.01.30
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自分を毎日超える。桑山聖生[東芝ブレイブルーパス東京]

田村一博

 昨季は第16節以降ピッチに立ち、プレーオフトーナメントの2試合を含む4試合でピッチに立った。
 今季は開幕からの6戦中5試合に出場し、そのうち4試合が先発。プレータイムはすでに前年を超えた。

 東芝ブレイブルーパス東京のWTB、桑山聖生(としき)が好調だ。トライは第6節、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で挙げた1トライだけも、その試合でも安定した力を発揮した。
 ボールキャリー10回で3回のラインブレイク。相手を押し戻すタックルもあった(RugbyPassより)。

 2連覇したチームは、開幕戦で0-46と埼玉パナソニックワイルドナイツに大敗するも、その後は5連勝。特にスピアーズ戦は全勝と快走していた相手からの勝利と、チームにとって追い風を生むものとなるだろう。
 昨季までの主力が抜け、怪我人も相次いでいる中で、一人ひとりが責任を果たしている。

今季は開幕からの6戦で5試合に出場。トライは1つ。(撮影/松本かおり)



 桑山が今季開幕からプレータイムを重ねられているのは、昨季終了後に自分を進化させることができたからだ。
 2025年6月1日、チームがリーグワン連覇を達成したファイナルに7分だけ出場した。その日から2週間後にはオーストラリアへ向かう。7月下旬まで、シドニーで暮らした。

 リーグワン閉幕後、すぐに行動を起こせたのはシーズン中、試合に出られない間から計画を立てていたからだ。
「プレータイムがほしいと考えました」
 決して安くない留学費用も自費。昨季からプロ選手として活動している。自分への投資は、道を切り拓くために必要なものだ。

 知人と話し、シドニーユニバーシティークラブでプレーする環境を見つけた。「できるだけ日本人が少ない語学学校に学びたい」の希望も協力者のお陰で叶った。
 キッチン、シャワー共用のフラットに住み、朝から午後2時ぐらいまで学校へ。夕方からクラブの練習に加わり、週末に試合に出るサイクルの中に身を置いた。

 自分で海外に出ることを決めた。現地に協力者がいるとはいえ、一人で目的地へ向かった。その行動自体、意欲の表れだ。
 人は自分の意志で動いた時に多くのものを得る。昨季終盤から今季序盤にかけての桑山の歩みは、それを証明している。

 シドニーにおけるクラブラグビー最高峰のシュートシールドで5試合に出場した。本人が「リーグワンに負けない強度だった」と振り返る中で体を張ってプレーしたことも成長を呼んだ。練習時からコンタクトの局面はハードだった。

 シドニー生活を終えて帰国してからは、藤田貴大アシスタントコーチとタックルスキルの上達に取り組んだ。
 同コーチは今季開幕前、「昨年の終盤から話し、取り組んでいます」と話した。

1996年6月6日生まれ、29歳。184センチ、95キロ。鹿児島オールブラックス(小4〜中)→鹿児島実→早大→東芝ブレイブルーパス東京。(撮影/松本かおり)



「タックルに入るタイミング、体の連動性についてやってきました。ヒットした後にどこを使い、どう絞めるのか、バインドのところなどです。実際に私がタックルを受け、フィードバックして、細かいところの改良を重ねました。本人も自分の映像やレビューを持ってきてくれて、私とディフェンスコーチの3人で意見を交換したり、実際に練習をしたりしてきました」

 自分で強い姿勢を持ったまま、相手に当たる。
 足で体を寄せる。
 そんなアドバイスを受けて向上したタックルは、プレシーズン終盤の試合でもパフォーマンスに反映されていた。

 桑山は今季に向けての準備の途中、自分のやるべきことを「何かを変えるのではなく、いまの自分のスキル、能力をどう成長させていくか(を意識しています)。毎日、自分を超えていくことをやめないようにトレーニングしています」と話した。

 昨季(2024-25シーズン)初出場となった第16節、浦安D-Rocks戦(4月25日)は、2022-23シーズンの第9節、2023年2月25日のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦に先発出場して以来、丸2年ぶりのものだった。

 ピッチに立てていなかった2年を空白としなかったからいまがある。
「準備をしてきていたので自信はありました」、「求められているレベルに到達する。(試合に)出ている選手をどう超えていくのか。そういったことをテーマに、自分を成長させる時間でした」と語っていたのが印象に残っている。

 昨季終盤のことを思い出し、「試合に出ていない期間にも積み上げてきたものを試合で発揮して、通用する部分があると分かりました」と今季開幕直前に言った。
 タックルされても前に出るボールキャリー。ボールを動かすハンドリングスキル。日々こだわってきたスキルが通用した手応えは自信になった。
 そこをさらに伸ばし、タックルを改善して臨んだのが今季だ。

積極的にコミュニケーションを取る。20代は長い髪を維持するつもり。(撮影/松本かおり)



 高められた能力には、語学力もある。1か月半のシドニー生活の中で英語に耳が慣れた。日本に戻っても、バックスラインの中で周囲の外国人選手とのコミュニケーション時に「(意思を)伝えるスピードがはやくなった気がします」。
 充実感が柔らかな表情に浮かぶ。

「毎試合、チームの勝利に貢献したい」と臨んだ2025-26シーズンはレギュラーシーズンの3分の1が終わった。
「リッチーの日本での最後のシーズン。彼と一緒に優勝を成し遂げたい」と定めた目標に、チームは少しずつ加速しているようにも感じられる。
 まだ1つだけのトライを、もっと重ねたい。
 タックルも、もっともっと精度高く、何度も。
 自分を毎日アップデートする意欲を持ち続ける。




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