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【車いすラグビー日本代表/アジア・オセアニア選手権②】日本がタイに大勝し開幕2連勝!
スピードアップに取り組み、磨きのかかったランを見せた壁谷知茂。(撮影/張 理恵)
2025.11.23
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【車いすラグビー日本代表/アジア・オセアニア選手権②】日本がタイに大勝し開幕2連勝!

張 理恵

 タイの首都・バンコクで開催されている「2025 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ(以下、アジア・オセアニア選手権)」。
 大会2日目の11月21日には3試合がおこなわれ、日本は地元・タイとの一戦に臨んだ。

 2019年のアジア・オセアニア選手権以来となる両チームの対戦。
 日本は、立ち上がりから強度の高いディフェンスで相手の攻撃を封じ込め、7連続得点をあげ勢いに乗る。鉄壁の守備を誇る乗松聖矢と草場龍治のハードワークが光り、オフェンスでは橋本勝也と西村柚菜が相手を寄せ付けないスピードでトライを奪った。
 ベンチからの指示に4人が即座に反応し、次々とディフェンスを変化させる動きは、まるで職人技のようにも見え、それはメンバーチェンジをしても継続された。
 池 透暢と島川慎一、経験豊富な2人のハイポインター(障がいの比較的軽い選手)のリードで、公式戦初出場のローポインター(障がいの重い選手)も奮闘し、17-7で第1ピリオドが終了した。

草場龍治は持ち前のハードワークと守備力で勝利に貢献した。(撮影/張 理恵)


 徐々に相手がフィットしてきた第2ピリオド。
 タイが日本からターンオーバーを奪う場面もあったが、それをスコアに持ち込ませまいと、取られたら取り返し、ミスをミスで終わらせない意地としぶとさを見せた。
 そうして一度たりとも連続得点を許すことなく、8分間を戦い抜き、31-14とリードを広げた。

 試合後半に入っても、日本はコート内の4人が連係して戦うプレースタイルを貫いた。
 今大会でバイスキャプテンを務める橋本は、ベンチからも積極的にアドバイスを送り、コートに入れば、状況を判断しながらトライを重ねた。

 プレータイムをシェアしながら、出場メンバー全員がコートに立った日本は、54-28で勝利を収め、開幕2連勝を果たした。

 パリ・パラリンピックから1年あまり。
 車いすラグビー日本代表では、ロスとその先に向けた強化が進められている。
 今回の代表メンバー12名のうち、パリ出場組は8名。まだ2試合目ではあるが、ここまで、パリ出場組のみで構成するラインアップは登場しておらず、ベテランと若手を融合させた組み合わせで臨んでいる。
 戦術においても、多くのチャレンジが見受けられるなか、チームがコンセプトに掲げたのは選手同士の意思疎通だ。

パラリンピック6大会連続出場の大ベテラン、島川慎一は競技へのモチベーションについて率直に語った。(撮影/張 理恵)


「コートの中でとにかくコミュニケーションとり、短い言葉で伝え合うことをコンセプトに掲げた。スイッチのタイミングや、誰がどこにいるのか等、みんなでしっかり話しながらプレーすることを意識した」
 島川慎一はそう語り、みずからも率先して声を出した。

 2004年のアテネからパリまで、6大会連続でパラリンピックに出場した島川は、日本の車いすラグビー界をけん引してきたレジェンド的存在だ。
 20年以上にわたり、ひたすら追い求めてきた、パラリンピックの金メダルを獲得してからは、競技人生で一番長い半年間のオフをとった。

「いろんな人に2028年のロスを目指すのかと聞かれるが、そこは見ていない」と率直に心境を語る島川。
「自分がどこまでいけるのか。いけるところまでいって、その先にロスがあるのであれば、もちろん挑戦する。ただ、いまは一つひとつの大会に立つこと、そこでちゃんとプレーすることをモチベーションにしている」
 パフォーマンスアップに努める傍ら、日本代表のチーム最年長として、若い選手たちに自身の経験を伝えていく。

池透暢はキレのあるプレーで大きな存在感を示した。(撮影/張 理恵)


 開幕から2戦をたたかい、対戦国の強度は増していく。
 島川は気を引き締めて、今大会の意気込みを語った。
「韓国戦とニュージーランド戦をしっかりと勝ち切って、まずは世界選手権の切符を手に入れる。そのうえで、中谷英樹ヘッドコーチのもと取り組んできたことが、どれだけオーストラリアに通用するのか、積み上げてきたことをしっかり出したい」

 大会3日目の22日、日本は韓国と対戦する。
 アジア・オセアニアの頂点を目指す戦いが続く。








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