logo
【Just TALK】「ライバルは増えたけど、簡単には代わらない」。リーチ マイケル[日本代表]
パシフィックネーションズカップ開催時はチームを離れるも、この秋、日本代表に復帰。増えたライバルの存在にも「簡単には代わらない」(撮影/向 風見也)
2025.10.10
CHECK IT OUT

【Just TALK】「ライバルは増えたけど、簡単には代わらない」。リーチ マイケル[日本代表]

向 風見也

 ラグビー日本代表が10月6日、ポジション別の合宿を始めた。

 フォワードの多くは大分で始動した。そのうちリーチ マイケルが、地元メディアらに所感を述べた。

——別府での代表合宿は約3年ぶりです。

「飛行機を降りた瞬間からずっと携帯を見ずに景色を見てきました。もう、ホテルの温泉に入った」

——この地での目標は。

「まずは個人のコンディションを仕上げていこうかなと。ハードな練習をしつつ、温泉や別府の施設を利用してメンタルも整えて、(10月10日以降に全体合宿のある)宮崎に行きたいです」

左端はパシフィックネーションズカップで共同主将を務めたワーナー・ディアンズ。リーチの指揮官への進言もあった。(撮影/松本かおり)


——10月25日からは5連戦。オーストラリア代表、南アフリカ代表、アイルランド代表、ウェールズ代表、ジョージア代表と、世界ランクで上位か日本代表に接近した国とばかりぶつかります。

「一戦、一戦が大事。結果に繋がる準備をしたいです。自分たちの強み、弱みがわかる5連戦です。フィジカル的に、メンタル的に鍛えられる5週間になります」

——日程が進むほど、リーチさんのような熟練者が頼りになりそうです。

「いつも通り頑張っていきたいです。チームがいい方向に進むようにサポートしたいです」

——7月の対ウェールズ代表2連戦では主将を務めました。約9年ぶりに復帰し、今季が2年目のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチとは、今回のキャンペーンにおける役割やリーダーシップについて話し合うことはありましたか。

「特にないです。宮崎に着いてからいろいろと話をしていこう、となっています。まずはフォワード合宿なので、細かい詳細を詰める。皆といいスタートを切れるようにしたいです」

 身長189センチ、体重113キロ。おもにフォワードの第3列を任され、インパクトと運動量で光る。ワールドカップには過去4度出場し、そのうち歴史的3勝を挙げた2015年のイングランド大会、初めて8強入りした2019年の日本大会では、船頭役を務めた。

 2023年のフランス大会ではプールステージ敗退を喫した。2027年のオーストラリア大会は、今後の日本ラグビー界を左右するターニングポイントになるとリーチは考えている。

——その重要局面において必要なものは。

「結果。まずは結果。ひとりひとりが世界のトップ4に勝つ準備を一生懸命にして、そこからもう1回成長するのが大事。いまはいろんな新しい選手、経験を積んだ選手がいて、(現体制の目指す)『超速ラグビー』が形になってきている。2027年のワールドカップで結果を出すために、(今秋の)こういう試合ができるのは凄く嬉しいです」

7月のウェールズ代表との試合ではチームで一番のタックル数だった。(撮影/松本かおり)


——「勝つ準備」の質を上げるべく、リーチさんはスタッフに選手側の意見を述べることもあるそうです。

「お互いに勝ちたいから。それを伝えるためのプロセスです」

——個人的事情で参加できなかったパシフィックネーションズカップ(PNC=2大会連続で準優勝)を前後し、チームの雰囲気に変化はありますか。

「喋る人が増えた印象です。意識してリーダーシップを取っている人が多い。まだ1日目ですが。
 ベン(・ガンター)、TK(竹内柊平)、ワーナー…。下川甲嗣も雰囲気が出てきた。
 すごくいいことです。僕、明日で37歳なので」

 その言葉通り、10月7日にひとつ年を重ねた。
 10月6日の問答ではこうも語った。

——37歳にして、世界一を争う国と戦う感触は。

「…うーん。限界は、いつ来るだろうなと思ったりはします。

 周りの足を引っ張るような行動だけはしたくない。練習に入れないとか」

——代表戦出場数を意味するキャップは「89」にまで積み上がりました。歴代最多は「98」。リーチさんが所属する東芝ブレイブルーパス東京のOB、大野均さんが持つレコードです。それを突破したら、国内史上初の100キャップが見えてきます。

「ここまで来たら(記録は)気にしないですね。まず、レギュラー争いに勝つことですね」

常に体を張るプレーで仲間を鼓舞する人。(撮影/松本かおり)


——ふたつのウェールズ代表戦で両軍最多のタックルを放ちながら、そんな危機感を持っているのですか。

「PNCで(ファカタヴァ)アマト、マキシ(ファウルア)、甲嗣、ベン、ジャック(・コーネルセン)が出ていて、今回は新しく(タイラー・)ポール、デーヴィッド・ヴァンジーランド……。一気に、ライバルが増えました! これで落選したら、それはそれ。ただ、簡単には代わらない!」

——リーチさんがプレーできるロック、フランカー、ナンバーエイトの位置では他にティエナン・コストリー選手、ハリー・ホッキングス選手、奥井章仁選手もいます。後輩から刺激をもらうこともありますか。

「負けたくないなと思います。きょうも、奥井のダウンアップ(接点で低い姿勢となり、相手を鋭く突きあげる動き)のスピードに驚いた。真似しようと思います。章仁は身体もどんどんシャープになってきた」

 この人の競争心に「限界」はない。



ALL ARTICLES
記事一覧はこちら