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【Just TALK】荒ぶるへ向け、その時期、その試合で何を求められているかを感じながらやっていく。矢崎由高[早大3年]
意識してボールタッチを増やした。78-0と完勝した立教大戦より。(撮影/松本かおり)

【Just TALK】荒ぶるへ向け、その時期、その試合で何を求められているかを感じながらやっていく。矢崎由高[早大3年]

向 風見也

 ラグビー日本代表5キャップの矢崎由高が、9月28日、所属する早大の公式戦で今季初先発。後半18分に退くまでに4トライを決めた。

 東京・秩父宮ラグビー場での関東大学対抗戦Aの2戦目で、立教大を78-0で下してプレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲った。ミックスゾーンでは複数の記者の取材に応じた。

「しっかり自分のやるべきことを——80 分、出る予定だったんですけど——出ている時間はやり続けようという思いで出場しました。もっとできるところはありましたけど、悪くない点が多かったかなと」
 
 身長180センチ、体重86キロの3年生フルバック。さかのぼって9月13日には、北海道・月寒ラグビー場で日体大との初戦に後半18分より出場。2度のフィニッシュで59-7と勝った。

 この夜も持ち味を発揮した。

立教大戦では4トライを奪い、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた。(撮影/松本かおり)


 立ち上がりに自陣深くからのビッグゲインとキックの合わせ技で、敵陣ゴール前へ侵入した。その流れで迎えた前半5分、ペナルティキックからの速攻でオフロードパスを繰り出すや、その次の次にあたるフェーズで右中間のトライラインを駆け抜けた。

 続く12分にはラインアウトからの展開でパスを受け、左側の空間を約30メートル、走破。追いすがるタックラーもフットワークと衝突で制し、10-0とした。

——最初のトライまでの時間、球をもらう回数が多かった。

「ボールタッチを増やすことは、僕がラグビーをやるうえでずっと重要にしているところです。いつも通りに意識してやったプレーかなと」

——ランニングについてはいかがですか。

「これもいつも通りですけど、前のスペース、空いたところを見て、ボールを運ぶことを意識したので、それがうまくいったかなと」

——以前よりも速く見えましたが。

「…光のせいですね」

 ナイター照明のもとで17-0としていた29分には、スタンドオフの服部亮太の柔らかいキックを確保。ゴールポストのほぼ正面で20メートルほど走り、最後はタックラーを引きずりながらグラウンディングに達した。

 チャンスメイクをした2年生の服部も、今年度の対抗戦では初出場。大田尾竜彦監督は両選手について、こう話した。

「彼らが決定的な働きをし続けたの(事実)はあるのですが、まだまだチームとして、個人として、もっと力を発揮できる。10 番(スタンドオフ)、15番(フルバック)としての仕事があるなか、成長していくこと(を求めたい)」

 矢崎に関しては、かねての負傷から復帰する過程についても言及した。

「もともと力のある選手。自分がグラウンドに立てないなかでも、いろいろなトレーニングをしていて、その成果が出ている」

 本人はこうだ。

「コンディションは戻っているのかなと。なぜ僕の怪我が記事に出たのかはわからないですけど。怪我関連については言うつもりはないので、聞かないでもらえれば」

立教大戦の前半29分、SO服部亮太のキックに反応してトライを挙げたシーン。(撮影/松本かおり)


 観客をやや心配させたのは後半1分頃のワンシーンか。

 ハーフ線付近右でドリブルを試みたところ、相手のスパイクと交錯してその場にうずくまった。

 もっとも、その後も早大がフェーズを重ねるうちに攻撃ラインへ戻った。4年生センターで主将の野中健吾のキックパスをもらい、カットインを繰り出し29-0とスコアを広げた。ゴール成功で31-0。

「どういう感触でしたかと言われても難しいですけど…。痛かったですが、自分の前が空いたのでしっかりボールを呼んで。健吾さんがいいキックでお膳立てをしてくれて、獲り切れてよかったです」

——3年生になりました。

「ジャージーを着るのに学年は関係ないと思うんですけど、上級生になったことでチームからもプレーの面で引っ張ること、リーダーシップを求められる時期になってくる。これからシーズンが深まるうち、健吾さん、(副将の田中)勇成さんのサポートを、僕、(3年生フッカーの清水)健伸、(3年生フランカーの松沼)寛治でやっていけたら」

——チームの収穫と課題は。

「それは自分たちでフィードバックします」

——ご自身は、これからどんなプレーを見せたいですか。

「早稲田としての目標は変わらずに『荒ぶる』(大学日本一になった時のみ歌える第2部歌)。そこに向けて、自分がその時期、その試合で何を求められているのかを感じながらやっていきたいです」

 桐蔭学園高や年代別代表でスピード、運動量、判断力が評価されてきた21歳は、昨年6月22日、東京・国立競技場でのイングランド代表戦で初キャップを獲得。今後も国際舞台での活躍が待たれる。

「もちろん日本代表は、ラグビーをしていくうえで誰しもが目指す道だと思うので、僕もそこを目指していけたらなと思います」


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