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【オーストラリア】ワリンガ、8年ぶりV。NSW州クラブ選手権、シュートシールドを制す
大きな声援を受けて頂点に立ったワリンガ。1963年創設。(撮影/YASU TAKAHASHI)

【オーストラリア】ワリンガ、8年ぶりV。NSW州クラブ選手権、シュートシールドを制す

YASU TAKAHASHI

 8月30日(土)、オーストラリア・NSW州のクラブラグビー選手権「シュートシールド」(Shute Shield)のグランドファイナルがおこなわれ、ワリンガがディフェンディングチャンピオンのイースタンサバーブス(以下、イースト)に37-24で勝ち、8年ぶり2度目の栄冠に輝いた。

 今年のシュートシールドは、レギュラーシーズン終盤に熾烈なプレーオフ争いが繰り広げられたが、ファイナルシリーズでは、レギュラーシーズン上位4チームが順当に準決勝に勝ち上がり、また決勝も、その1位(イースト)と2位(ワリンガ)による対決となった。
 イーストは、昨年の王者らしくシーズン通して安定した強さがあり、特に僅差のゲームで勝ち切る勝負強さが際立っていた。レギュラーシーズンでの両者の対戦は、イーストの2戦2勝、うち一つは1点差によるもの。ちなみにこの両チームは昨年の準決勝でも対戦し、イーストが残り10秒で逆転トライを挙げ決勝に進んでいる。

 会場となったライカート・オーバルには両者のサポーターが多く詰めかけた。しかし、今回もシドニーのノーザンビーチを本拠地とするワリンガの熱狂的なサポーターが目立ち、会場を同チームのホームと思わせる程の熱気。チャレンジャーとして試合に臨むワリンガには心強かったに違いない。

【写真左上】ワリンガのキャプテン、FBベン・マーは、オーストラリア7人制代表経験者でワールドラグビー・セブンズシリーズでの活躍もある。(撮影/YASU TAKAHASHI)
【写真右上】トライを挙げたイーストのWTBダービー・ランカスター(ワラタス/ワラビーズ)。昨年の準決勝の最後、ワリンガから逆転トライを決めた。(撮影/YASU TAKAHASHI)
【写真左下】リザーブから出場、トライも挙げたワリンガPRテビタ・アラティニ。昨年のU20豪州代表でブランビーズ。(撮影/YASU TAKAHASHI)【写真右下】レアリーを務めたのはアンガス・ガードナー。RWC2023の準決勝も担当した。(撮影/YASU TAKAHASHI)


 試合は開始10分にイーストがPGで先制したが、14分にこの日最初のトライを挙げたのはワリンガだった。
 キャプテンのベン・マー(Ben Marr/FB)がイーストのディフェンスラインをこじ開けると、サポートの選手がテンポよくつなぎ、最後はNO8のクレイトン・フランス(Chlayton Frans)がゴールラインに飛び込む。 そして28分にもワリンガのFWはモールで押し込みグラウンディング、ゴールも決めて14-3と点差を広げた。

 これ以上のリードを許すわけにいかないイーストは、豪州代表キャップホルダーである、ダービー・ランカスター(Darby Lancaster/WTB)が快足を飛ばす。タックルを受けて一度はその走りを止められたが、地面に置いたボールを自ら再度ピックアップし、ゴールラインまで駆け抜けた。
 結局前半は、終了間際にPGで加点したワリンガが17-10とリードして折り返した。

 後半は早々にイーストの強力FWがワリンガゴール前に迫る。そのまま押し切り、ついにイーストが同点に追いつく展開となった(17-17)。
 ワリンガはPGで再度リードし、その後、両者が1トライずつ追加し、スコアは27-24。勝負は残り10分を切った。

 イーストの試合巧者ぶりがじわじわと漂う感じがあったが、ワリンガの勢いは衰えなかった。
 後半から投入されたテビタ・アラティニ(Tevita Alatini/PR)がイーストゴール前のラックからピックアンドゴーでディフェンスを突き破りトライを奪う(24-32)。さらに試合終了間際には、自陣でのターンオーバーからボールをつなぎ、NO8クレイトン・フランスが45メートルを走り切った。この日2つ目のトライで勝負を決めた(37-24)。

この日2トライを挙げたワリンガのNO8クレイトン・フランスはマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。(撮影/YASU TAKAHASHI)


 最後はワリンガがマイボールのラインアウトをしっかりと確保し、SHがタッチに蹴り出した。拳を天に突き上げる。会場のワリンガサポーターも歓喜とともにピッチになだれ込んだ。

 ワリンガのヘッドコーチ(以下、HC)、ジョシュ・ホルムズ(Josh Holms)は2017年の初優勝のメンバー。2022年からコーチのキャリアをスタートし、2023年にワリンガの1stコルツ(20歳以下)を優勝に導くと、2024年から1stグレードのHCとなり、僅か就任2年目でシュートシールドのタイトルを獲得した。選手とヘッドコーチの両方で優勝を経験した人物となった。

 この日の試合では、リザーブの選手たちの活躍が際立った。勝負どころとなる終盤に強いイーストのゲームプランを凌駕するほどのインパクトがあった。
 まさにフィニッシャーという活躍を見せたリザーブの選手起用を含め、ホルムズHCの手腕が光ったゲームだった。
 ワリンガは女子チームも優勝。今シーズンはアベックでのタイトル獲得となった。

【Shute Shield 2025レギュラーシーズン最終順位】
1. イースタンサバーブス(Eastern Suburbs)
2. ワリンガ(Warringah)
3. ノーザンサバーブス(Northern Suburbs)
4. イーストウッド(Eastwood)
5. ハンターワイルドファイヤーズ(Hunter Wildfires)
6. ランドウィック(Randwick)
7. ゴードン(Gordon)
8. シドニーユニバーシティ(Sydney University)
9. トゥーブルース(Two Blues)

  1. マンリー(Manly)
  2. サザンディストリクツ(Southern Districts)
  3. ウェストハーバー(West Harbour)

【NSW Premiership Competition 決勝結果】
◆Shute Shield(1st Grade)
Warringah 37-24 Eastern Suburbs
◆Colin Caird Shield(2nd Grade)
Eastwood 34-31 Manly
◆Henderson Shield(3rd Grade)
Eastern Suburbs 22-21 Sydney University
◆Henderson Cup(4th Grade)
Eastern Suburbs 22-21 Manly
◆W.Mcmahon Memorial Shield(1st Colts)
Randwick 62-40 Eastern Suburbs
◆Shell Trophy(2nd Colts)
Randwick 50-42 Sydney University
◆Bill Simpson Shield(3rd Colts)
Sydney University 41-10 Randwick
◆Gregor George Cup(Club Championship)
Eastern Suburbs

◆Sydney Women’s Rugby / Chikarovski Cup
Warringah 17-12 Wildfires Blue


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