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【with サクラフィフティーン/RWC2025 ⑧】殴られる前に殴りにいく。ブラックファーンズ戦メンバー決まる
2戦連続で先発する3番の北野和子(左)と加藤幸子。アグレッシブにスクラムを組む。(撮影/松本かおり)
2025.08.30
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【with サクラフィフティーン/RWC2025 ⑧】殴られる前に殴りにいく。ブラックファーンズ戦メンバー決まる

田村一博

 エクセター・サラセンズのグラウンドは、街の中心からバスで20分強のところにある。8月29日、2日後にワールドカップ2025の第2戦、ニュージーランドとの試合を戦うサクラフィフティーンは、同地でトレーニングをおこなった。
 大会の規定で冒頭15分の取材時間。それぞれの選手+チームでのウォームアップしか見ることができなかったが、選手たちの表情は明るい。初戦、アイルランド戦の敗戦から気持ちを切り替えられたようだ。

 現地の午後1時に次戦、ニュージーランド戦(8月31日)のメンバーが発表され、2時15分からチーム宿舎で記者会見が開かれた。
 ブラックファーンズの出場予定メンバーを見て会見に臨んだレスリー・マッケンジー ヘッドコーチ(以下、HC)は、「(日本を)手強い相手と見てくれている。リスペクトされていると実感できるメンバーを組んできてくれた」と話し、自チームのメンバーについては「エネルギッシュなところや、やる気を、態度を示せるようなメンバーを選んだ。我々のラクビーがどういったものかを示す。優勝経験のあるニュージーランドと戦えるのはエキサイティングなこと。そのチャレンジに対して精力的に準備を進めていく」とした。

【写真上】左から長田いろは主将、小鍜治歩、公家明日香。【写真中段左】レスリー・マッケンジーHC。【写真中段中】練習会場となったエクセター・サラセンズG。【写真中段右】左から、2戦連続先発のFL川村雅未、SO大塚朱紗。【写真下段左】ベンチ入りのンドカ ジェニファ(左)。右は安藤菜緒。【写真下段右】23番でベンチに入った小林花奈子。エクセター・チーフスでのプレー経験あり。(撮影/松本かおり)


 7番のジャージーを着る長田いろは主将も、「いい準備ができています」と続いた。
「(14-42と敗れた)アイルランド戦から学び、前に進めています。2連覇中のニュージーランドと戦う機会は楽しみでワクワクしています」
 試合序盤にモメンタムを作られた前戦を反省し、相手をリスペクトする気持ちながらも、自分たちにフォーカスする。「試合の最初から自分たちのラグビーを前面に出して戦いたい」と、キックオフ直後から全開で戦うことを誓った。

 前半26分までに0-21とされたアイルランド戦の展開の反省と、力のあるブラックファーンズを慌てさせるために、マッケンジーHCも「アグレッシブにいく。相手に殴られる前に殴りにいく」と言葉に力を込めた。
「待っていたらやられる。アグレッシブにラインスピードを上げないといけない」
 自分たちのシステムの中でディシプリンを保って対峙するも、「待っている余裕はない。トレーニング通りにプレーできればモメンタムを得られる。それを序盤からつかみにいく」と話した。

 先発メンバーは、アイルランド戦から14番に変更があった。コンディションが整っていない松村美咲の代わりに畑田桜子が先発に。HCは日体大4年生ウインガーのスピードと攻守ともにハードにプレーできる点を評価する。
 攻撃力のある相手に、防御の時間も少なくないだろう。ディフェンスの熱量が高い選手の起用により、「相手にスキを与えないようにしたい」と指揮官は話す。
 ベンチに入ったンドカ ジェニファについてはトレーニングを通して攻守両面の状態も良く、「準備万端」と期待を寄せる。

14番で先発する畑田桜子(写真中央)。攻守にハードに働く(撮影/松本かおり)


 マッケンジーHCはアイルランド戦について、自分たちの準備は万全だったものの、大一番への臨み方については相手の方が上回っていたとした。
 しかし、前を向く。直面した自分たちの課題と向き合いながらも、「準備してきたことができた時はいいラグビーができたし、通用した。それを強調しながらトレーニングを進めた」と、ニュージーランド戦への日々について話した。

 長田主将も「(完敗した)初戦が終わったあとは、個人としてもチームとしてもショックでしたが、週の最初の強度の高い練習の日のみんなのエナジーがすごかった。ノンメンバーのチームへの貢献もエナジーに溢れていて、すごくいい練習ができました。チームがコネクトできていると感じました」と話し、チームがひとつになって前へ進んでいることを伝えた。

 チームの一体感については、HC、主将に続いて会見場に姿を見せた加藤幸子(PR)も同意した。
 毎回の練習が情熱的におこなわれているが、特にニュージーランド戦のメンバー発表後、ノンメンバーからの鼓舞する声や気迫あるプレーに刺激を受けた。
「自分たちも(練習から)本番でやるようなパフォーマンスをやらないと、という気持ちにさせてくれます。チーム一丸となって戦っていきたいです」

 エクセター・チーフスで2020-21シーズンから2シーズンプレーした加藤にとっては、思い出の地での試合となる次戦。試合には当時のホストマザーやチームメートが応援に駆けつけてくれる。「たくさんの会場がある中で、もともと自分がいたところで試合ができるのは嬉しい」と表情を崩した。

サイズで上回る相手に、低さと鋭いヘッドスピードでスクラムを制したい北野(左)と加藤。(撮影/松本かおり)


 3番で先発する北野和子はブラックファーンズについて、「すべてのプレーにおいてアグレッシブで勢いのあるチーム。私たちはそれを絶対に受けず、相手以上に攻撃的に、自分たちのラグビーをしたい」と話した。
 アイルランド戦でのスクラムについては「自分たちがやってきたことを出せた面もありましたが、相手が勢いを増した時にモメンタムを取り戻せなかった」と反省し、次戦では相手以上に攻撃的なスクラムを組むと誓った。「これまで私たちがやってきたことを、もっと精度よくプレーすることにフォーカスして練習してきた」成果を出す。

 日本×ニュージーランドで笛を吹くのは、フランス協会所属のオレリー・グロワズロー レフリー。同レフリーにとって今大会は、前回大会に続き2回目のワールドカップだ。
 36歳の同レフリーは、「試合の継続性を保ち、選手たちがプレーを続けられるようにサポートできる」という理由から、アドバンテージルールを気に入っている。継続性重視のレフリングを味方につけられるのは、どちらのチームか。サクラフィフティーンのペースに持ち込んで振り回し、僅差で勝利を得たい。

【RWC2025 ニュージーランド戦 女子日本代表登録メンバー】
①加藤幸子 (横河武蔵野アルテミ・スターズ/セコム/164、90/25/31)
②公家明日香(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/後藤衛生コンサルタント/164、78/30/23)
③北野和子(PEARLS/住友電装/167、92/25/23)
④佐藤優奈(東京山九フェニックス/山九/170、76/26/25)
⑤吉村乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/埼玉縣信用金庫/174、83/24/30)
⑥川村雅未(横河武蔵野アルテミ・スターズ/東京リゾート&スポーツ専門学校/173、 75/26/23)
⑦長田いろは◎(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/関東食糧/168、70/26/41)
⑧齊藤聖奈(PEARLS/エイワテック/164、72/33/51)
⑨津久井 萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ/リベスト/153、53/25/43)
⑩大塚朱紗(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/ワンロジスティクス/163、65/26/37)
⑪今釘小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/オキナヤ/ 158、60/23/31)
⑫弘津 悠(ナナイロ プリズム福岡/九州風雲堂販売/169、71/24/18)
⑬古田真菜(東京山九フェニックス/NTTファシリティーズ/167、70/27/37)
⑭畑田桜子(日体大4年/161、65/22/10)
⑮西村蒼空(PEARLS/長工/167、68/24/22)

⑯谷口琴美(横河武蔵野アルテミ・スターズ/エヌケイエス/163、75/30/27)
⑰峰 愛美(日体大4年/163、77/21/13)
⑱永田虹歩(PEARLS/誠文社/162、80/24/30)
⑲櫻井綾乃(横河武蔵野アルテミ・スターズ/NTTファシリティーズ/167、73/29/24)
⑳ンドカ ジェニファ(北海道バーバリアンズディアナ/メディカルシステムネットワーク/168、80/24/15)
㉑阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/アールディーシー /147、55/27/33)
㉒山本 実(YOKOHAMA TKM/169 、70/28/39)
㉓小林花奈子(横河武蔵野アルテミ・スターズ/湘南鎌倉総合病院/164、68/26/20)

※カッコ内は所属チーム、在籍先、身長・体重、年齢、キャップ数の順。◎はキャプテン

【RWC2025 女子日本代表試合日程】
プールC/日本、ニュージーランド、アイルランド、スペイン
8月24日(日) 日本代表 14-42 アイルランド(ノーサンプトン)
8月31日(日) vsニュージーランド(エクセター/現地時間14:00キックオフ)
9月7日 (日)  vsスペイン(ヨーク/現地時間12:00キックオフ)

取材後は「THE STAND OFF」というパブへ。昼ごはんのタイ料理店での焼きソバは約3000円! ビール3杯分と、ほぼ同じ値段
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