
この秋は『ウェンブリーの衝撃』を実現したい。
34-32。2015年9月19日。80分を戦って、より多く得点したのは日本だった。
同年開催されたワールドカップで日本は南アフリカを倒し、『ブライトンの奇跡』と呼ばれる勝利は世界に発信された。
その顔合わせが、2025年11月1日に実現することになった。
同日、ロンドンの中心部から北西に約13キロの場所にある、ウェンブリー・スタジアムで両チームが対戦すると決まった(16時10分キックオフ/日本時間11月1日、25時10分)。
同スタジアムではサッカー、イングランド代表の試合などがおこなわれ、最近はNFL(アメリカンフットボール)の試合もおこなわれた。
同スタジアムではこれまでもラグビーの試合が開催されている。2015年ワールドカップではニュージーランド×アルゼンチン(26-16)、アイルランド×ルーマニア(44-10)がおこなわれ、それぞれ8万9019人、8万9267人の観客を集めた。
日本と南アフリカの対戦は今回が4回目。直近では2019年のW杯直前と同大会の準々決勝で顔を合わせている(それぞれ7-41、3-26)。
2015年のW杯が初めての対戦だった。日本はその時に世界を驚かせる勝利を挙げたわけだ。

当時日本代表を率いていたのが、2024年から再度チームの指揮を執るエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ。同HCは今回の対戦が決まり、「あの10年前の南アフリカ代表との試合が、マイナーなスポーツだった日本のラグビーを、国民的なスポーツへと変えました。再び南アフリカ代表と対戦することは、すべての若い日本の選手にとって夢のような機会となることでしょう」とコメントを出した。
ジョーンズHCは8月中旬のブリーフィング時、南アフリカ戦実施が噂される中で、「素晴らしいチャンス。実現することを願っています。多くのことを学べる。これ以上の機会はない」と話していた。
対戦から得られるものとして、「(相手の強いプレッシャーを受けて)時間もスペースもない。フィジカル的にも圧倒されるのは分かっています。そういう環境でプレーしないと経験できないものがある。世界のベストのチームに対して、自分たちの現状を把握するいい機会。彼らはパワーゲームを新しいレベルまで引き上げています。我々は真逆のことをしないといけない。違うスタイルがぶつかり合う試合になる」とした。
同HCは2016年から6年間イングランド代表の指揮も執っただけに、ロンドンでの注目度も高い。
試合はその点でも、多くの関心を集めることになるだろう。
日本ラグビー協会の土田雅人会長は、「ブライトンの奇跡から10年を迎えた今年、イングランドの地で日本代表が再び南アフリカ代表と対戦できますことは大変名誉なことであり、関係者の皆様のご尽力に感謝申し上げます」とのコメントに続け、こう述べている。
「ラグビーワールドカップ2015イングランド大会での南アフリカ代表への勝利は、日本ラグビー界の歴史を塗り替えた1戦であり、当協会にとって新たな時代の幕開けとなりました」

2019年大会、2023年大会とW杯2連覇中の南アフリカは、8月16日のザ・ラグビーチャンピオンシップ初戦でオーストラリアに敗れ、ワールドランキングの1位から3位に後退するも、選手層の厚さも含め、世界のトップチームだ。
ロンドンでの試合経験も豊富で、2024年6月にはトゥイッケナムでウェールズに41-13と勝利し、同年11月にはイングランドを29-20と破っている。
その前年の8月、W杯直前にはニュージーランドに35-7と勝っており、ファンを喜ばせた。
チームを率いるラシー・エラスムスHCは、「ブレイブブロッサムズは、速く攻撃的で、ハイテンポなラグビーで知られており、過去2回のラグビーワールドカップでの対戦でも、そのスタイルは顕著でした。私たちは、ここ数年ロンドンで開催される試合でイギリスのラグビーファンの皆さまから素晴らしいサポートをいただいており、特に世界有数のスポーツ会場で開催される今回の試合も例外なく素晴らしいものとなるでしょう」と話している。
この試合のチケットは、現地時間の、8月22日(金)より一般販売開始となる。