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はじめてのワールドカップとなる選手が12人。3大会連続が4人。最年少は20歳のWTB松村美咲で、最年長は33歳のNO8齊藤聖奈だ。
そして、ヘッドコーチのレスリー・マッケンジーは2大会連続で女子日本代表の指揮を執る。また、有水剛志ナショナルチームディレクターと齊藤聖奈は2大会前、2017年のW杯ではヘッドコーチとキャプテンとしてチームを率いていた。
7月27日の午前、8月、9月にイングランドが舞台となるワールドカップへ向かう女子日本代表登録メンバーが発表された。
32人の代表スコッドの先頭に立つのはFL長田いろは主将。同主将は3大会連続出場選手の中のひとり。「こういう記者会見やメンバー発表もあり、本当にもうすぐワールドカップだな、っていう実感が湧いています。ワールドカップは私たちが準備してきたことを出すチャンスです。サクラフィフティーンの準備してきたことをしっかり出し切ってプール戦を突破し、ベスト8以上を目指していきます」と話した。


マッケンジーHCは、プールステージの初戦で対戦するアイルランドについて警戒している。2023年のWXV(2023年、2024年に開催された女子国際大会)ではディビジョン3だった同代表は、翌年の同大会ではディビジョン1へ。そこでニュージーランドに勝つなど著しい進化を見せている。
「アイルランドは運動能力が高いチーム。セブンズのスター選手がたくさんいて、シックスネーションズで培ったセットピースも強く、そういったものをベースにして、スピードがあり、フィジカリティが高く、スキルにも長けている。キッキングゲームも得意でディフェンスも強い。プールステージは最初から強烈な試合になると覚悟しています」
2戦目のニュージーランドは9回開催の大会の歴史の中で、6度優勝し、前回大会まで2連覇中の強豪。マッケンジーHCは、そんな強大な相手との対戦を控えて「とても気合いが入り、盛り上がる」とし、3戦目で戦うスペインについては、7月19日、26日の対戦で連勝はしたものの、「修正力の高いチーム」とリスペクトしていることを示した。
W杯メンバーに選ばれた選手たちの顔ぶれを見ると、SHは津久井萌と阿部恵の2人のみ。専門職だけにスコッド中に3人を用意するケースが多いが、スペインとの第1テストでユーティリティーの安尾琴乃が負傷、離脱したこともあり、明確なカバー選手不在のチーム構成となったようだ(それでもカバーできる選手はいる)。
非常事態となった場合には、ここまで代表スコッドに加わり、共にトレーニングしてきた妹尾安南(東京山九フェニックス)が招集されるようだ。

また、プールステージでは初戦がノーサンプトン、2戦目がエクセター、3戦目がヨークと、長距離の移動が続く。しかし、この点については日本国内で繰り返しおこなってきた合宿の中でトレーニング、実戦、移動などのシミュレーションをおこなってきており、不安はない様子。自分たちの力を出し切る環境作りを用意し、プールステージ突破を目指す。
マッケンジーHCは「(出場国の)それぞれが質の高いプレーをしてくる覚悟は、私たちにも対戦相手にもある。それもワールドカップがわくわくできる点」と話し、長田主将は、「どこのチームもワールドカップに向けてしっかり準備してきていると思うので、どの試合もチャレンジな試合になると思っています。ただ私たちも、他の国に負けないぐらい、しっかりと準備をしてきました。自信を持って戦いたい」と頼もしかった。
記者会見場に勢揃いした選手たちの表情は、誰もが晴れやかで、そのお陰で会場には穏やかな空気が流れた。マッケンジーHCも選外となった選手たちがこれまで重ねてきた努力に敬意を払いつつ、共にイングランドへ向かう選手たちの姿を穏やかな表情で見つめていた。

W杯行きの切符をつかんだ選手たちは、いろんな形で当確を知ったようだ。
スペインとの第2戦に出場しなかった選手の中には、試合当日の早い時間にHCに呼ばれ、イングランド行きを伝えられた選手もいた。
「選考に関するストレスは、もう考えなくていいよ、と。呼ばれた時にはダメだったか、と思って本当にこわかったです」
特に何も告げられることなく昨晩の試合を終え、翌日のメンバー発表会見に出席するよう促された選手もいた。「会見の時に(HCから)名前を呼ばれた時は嬉しかった」と表情を崩す選手もいた。
3度目のW杯出場となる津久井は41キャップを重ね、最近も試合出場が続いているものの、それでも選出が確定したことが分かるまでは安心できなかったという。
チーム内の競争の高さ、一人ひとりの向上心が伝わってくる。
こんな空気の中で、求めているような結果をW杯で手にできれば、サクラフィフティーンに新しいカルチャーが生まれるだろう。

【女子ラグビーワールドカップ2025イングランド大会 女子日本代表試合日程】
プールC/日本、ニュージーランド、アイルランド、スペイン
8月24日(日) vsアイルランド(ノーサンプトン/現地時間12:00キックオフ)
8月31日(日) vsニュージーランド(エクセター/現地時間14:00キックオフ)
9月7日 (日) vsスペイン(ヨーク/現地時間12:00キックオフ)
【女子ラグビーワールドカップ2025イングランド大会 女子日本代表登録メンバー】
PR加藤幸子 (横河武蔵野アルテミ・スターズ/セコム/164、90/25/29)
PR北野和子(PEARLS/住友電装/167、92/25/21)
PR小牧日菜多(東京山九フェニックス/山九/165、78/24/21)
PR永田虹歩(PEARLS/誠文社/162、80/24/29)
PR町田美陽(日本経済大3年/172、90/21/3)★
PR峰 愛美(日体大4年/163、77/21/11)★
HO公家明日香(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/後藤衛生コンサルタント/164、78/30/21)★
HO小鍜治 歩(東京山九フェニックス/OSPホールディングス/160、80/25/11)★
HO谷口琴美(横河武蔵野アルテミ・スターズ/エヌケイエス/163、75/30/25)
LO櫻井綾乃(横河武蔵野アルテミ・スターズ/NTTファシリティーズ/167、73/29/22)
LO佐藤優奈(東京山九フェニックス/山九/170、76/26/23)
LO吉村乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/埼玉縣信用金庫/174、83/24/28)
BR川村雅未(横河武蔵野アルテミ・スターズ/東京リゾート&スポーツ専門学校/173、 75/26/21)
BR向來桜子(日体大4年/168、73/22/21)
BR齊藤聖奈(PEARLS/エイワテック/164、72/33/49)
BR長田いろは(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/関東食糧/168、70/26/39)◎
BR細川恭子(PEARLS/住友電装/164、71/26/17)
BRンドカ ジェニファ(北海道BBディアナ/メディカルシステムネットワーク/168、80/24/14)★
SH阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/アールディーシー /147、55/27/31)
SH津久井 萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ/リベスト/153、53/25/41)
SO大塚朱紗(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/ワンロジスティクス/163、65/26/35)
SO 山本 実(YOKOHAMA TKM/169 、70/28/37)
CTB安藤菜緒(BRAVE LOUVE/バリュエンスホールディングス/169、64 /24/12)★
CTB小林花奈子(横河武蔵野アルテミ・スターズ/湘南鎌倉総合病院/164、68/26/20)★
CTB畑田桜子(日体大4年/161、65/22/8)★
CTB古田真菜(東京山九フェニックス/NTTファシリティーズ/167、70/27/35)
CTB弘津 悠(ナナイロ プリズム福岡/九州風雲堂販売/169、71/24/16)★
WTB今釘小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/オキナヤ/ 158、60/23/30)
WTB香川メレ優愛ハヴィリ(ナナイロ プリズム福岡/セルソース/171、75/23/5)★
WTB松村美咲(東京山九フェニックス/早大3年/169、72/20/12)★
FB西村蒼空(PEARLS/長工/167、68/24/20)★
FB松田凜日(東京山九フェニックス/TOPPAN/171、74/23/14)
※カッコ内は所属チーム、在籍先、身長・体重、年齢、キャップ数の順。◎はキャプテン。★は初選出
※北海道BBディアナ=北海道バーバリアンズディアナ