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【Just TALK】将来、日本代表に選んでいただけたら頑張りたい。ラクラン・ボーシェー[埼玉パナソニックワイルドナイツ]
伸ばし放題のヒゲ。191センチ、104キロの30歳。(撮影/向 風見也)
2025.05.24
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【Just TALK】将来、日本代表に選んでいただけたら頑張りたい。ラクラン・ボーシェー[埼玉パナソニックワイルドナイツ]

向 風見也

 埼玉パナソニックワイルドナイツのラクラン・ボーシェーが5月20日、熊谷市内の本拠地で取材に応じた。

 加盟するリーグワン、ディビジョン1のレギュラーシーズンで12チーム中2位だったワイルドナイツは、5月25日、東京・秩父宮ラグビー場でプレーオフ準決勝に挑む。

 相手は同3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。5月18日には東大阪市花園ラグビー場で準々決勝に臨み、同6位の東京サントリーサンゴリアスを20-15で下している。

 かたやワイルドナイツは準決勝から参戦。スピアーズとは5月3日の第17節において、今季2度目となる激突で29-29と引き分けている(秩父宮)。ワイルドナイツ陣営は、自慢の防御面でのエラーを反省していた。

 堅実なタックル、スティールで光るオープンサイドフランカーのボーシェーは、第11節から5戦続けて欠場した。

 もっともレギュラーシーズン残り3戦で復帰し、力を誇示している。今度も出場すれば、守りのキーマンとなるだろう。注目の一戦を前に何を語るか。

今季はレギュラーシーズンの全18試合中13戦に出場。5月25日のスピアーズとのプレーオフトーナメント準決勝には7番で先発予定。(撮影/松本かおり)


——プレーオフが近づいています。

「チームとしてもっともエキサイティングな領域に入ってくる。楽しみにしています。今週末、自分たちの標榜するアタッキングラグビーを出せるように頑張りたいです。勝つか、負けるか、そのどちらかです。集大成をお見せします」

——前年度は、レギュラーシーズンは全勝でした。しかし今季は、ボーシェーさんが不在だった第11節から2連敗を喫しています。

「振り返ってみると、いいシーズンを過ごしていると思います。タフな試合もあり、シーズンそのものもタフな道のりでした。ただ、負け、引き分けをネガティブには捉えていません。チームとして成長した実感もあります。学びを積み重ねたことによる結果を、最後に示したいです」

——ワイルドナイツの命綱である組織防御については。

「正しい方向に進んでいます。東京サントリーサンゴリアスとの最終節(5月10日/熊谷ラグビー場/○60-17)ではいいパフォーマンスができた。特に直近の1か月、このエリアでの伸びを感じています。

 一時は被ラインブレイク、ミスタックルなどがありましたが、いまはタックルのテクニック、システム、互いの繋がり、ラインで上がる意識について改善してきています。

 今週末は大事な試合があります。我々のディフェンスから勝利を手繰り寄せたい。ディフェンスからアタックに繋がる我々の強みを発揮したいです」

——次戦では、大型フォワードの揃うスピアーズと対峙します。

「十二分に対抗できる。(衝突でも)前に出られます。2人がかりでタックルを仕掛けること、チームのディフェンスシステム内で機能すること、ラインを上げること、何よりフィジカルで圧倒することにおいて、我々は劣っていません」

——チームはトップリーグ最終年度から4シーズン続けて国内のファイナリストとなっていますが、一昨季から2度続けて決勝を落としています。

「振り返ることはたくさんありました。過去2回の決勝戦では自分たちのベストなラグビーを体現できなかった。その学びを経て(これから)強みを出せれば、自分たちの求めているものは手に入ると信じています。もっとも、まだその挑戦権は得られていません。まずは次の準決勝にすべてを懸け、ファイナルへのチケットを掴み取ります」

 身長191センチ、体重104キロの30歳。母国・ニュージーランドの名門であるチーフスで活躍し、いまは来日4シーズン目にあたる。

 現在はリーグの区分上「カテゴリB」に位置。限られた外国人枠を争う立場だ。ただし来季は「カテゴリA」に遇され、国内出身者と並列な立場で出番を伺える。

 その年度が終わったら協会登録5年をクリアし、ワールドラグビーの定めに沿って日本代表資格を得られるからだ。

 その件にも触れた。

相手ボールを奪い取るプレーが得意。(撮影/松本かおり)


——チャンスがあれば、日本代表になりたいと思いますか。

「もし(代表に)選んでいただけた場合は、頑張りたいです。ただし自分のフォーカスは、パナソニックのために自分の一番いいプレーをすることです。自分がカテゴリAになることは認識していますが、そこでいいプレーをして初めてジャパンへの道が開けると考えます。与えていただいている環境を当たり前なものだとは、決して思っていません。いまを頑張り、(国際舞台での)チャンスが来たらそこでベストを尽くしたいです」

 再来年度からは、リーグワンのレギュレーションが変わる。日本の義務教育を6年以上受けていない日本代表資格保持者は「カテゴリA-2」となる。

 先発15枠中8枠は、国内出身者が主体の「カテゴリA-1」で埋まる仕組みとなる。そのため「カテゴリA-2」となりそうなボーシェーは、再びタフな争いを強いられそうだ。

 本人は毅然としていた。

「個人的な意見はありません。なぜか。(試合のメンバーに)選ばれるかどうかはカテゴリ云々ではなく、(チームの)セレクターが決めることだからです。自分はベストなプレーをし続け、その結果として試合に出られれば本望です。レギュレーションの変更は、私が言って変えられるものではありません。自分はプレーヤーとして全力で頑張ります」

 随分とひげが長くなった。その点についてはこう笑った。

「数か月、伸ばしています。いまは家族がニュージーランドに帰っていて、帰宅しても『剃れ』と言ってくる人がいないのです。優勝するまではこのままでいこうかな」




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