![【Just TALK】「悲しい。ジャパン上昇に貢献した選手に厳しい現状が突き付けられている」。ラファエレ ティモシー[コベルコ神戸スティーラーズ]](https://www.justrugby.jp/cms/wp-content/uploads/2025/05/20250517_QF_revs-steelers_06115_2.jpg)
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コベルコ神戸スティーラーズのラファエレ ティモシーは5月17日、ジャパンラグビーリーグワン1部のプレーオフトーナメント準々決勝にインサイドセンターで先発。静岡ブルーレヴズを35-20で下した。
試合後はミックスゾーンで攻撃への手応え、就任2年目のデイブ・レニーヘッドコーチについて語った。簡単な日常会話は日本語でできるが、今回は通訳を介して話した。
——会心の勝利でした。攻めては首尾よく外側のスペースを攻略していましたね。
「常にエッジ(両端)にチャンスがあるとは感じていました。そこを突けたのは、(接点の周りなどで)フォワードが仕掛け、スキルを使い、いいラインを走ってディフェンス(の出足)を止めてくれたからです。ただ、うまくいった点もあれば、もっとよくできた部分もあります」
——いま「もっとよくできた部分も」と述べられた通り、敵陣ゴール前に迫りながらスコアしきれないシーンもありました。改善点は。
「我慢強さが必要になります。チャンスでどう仕留めるかが大事。来週(後述)はチャンスが限られる。遂行力が問われます」
——チームは、旧トップリーグを制した2018年度以来のプレーオフを戦っています。チームを率いるレニーヘッドコーチの印象は。
「情熱があります。コーチンググループのなかでも本当に知識の高いコーチだと感じています。『チームのことを思い続けている』という趣旨の話をしていて、そこから人間性がにじみます」

身長186センチ、体重98キロの33歳。恵まれたサイズのほか多彩なパススキル、左足でのキックが長所だ。
サモア生まれで幼少期よりニュージーランドで育ち、2010年に来日した。山梨学大を経て、14年にいまはなきコカ・コーラレッドスパークスへ加わった。2016年、日本代表としてテストマッチデビューを果たした。
2019年にはワールドカップ日本大会で、ジャパンの全5試合をフルで出た。
2021年に引退した福岡堅樹さんのトライを複数アシストし、史上初の決勝トーナメント行きに喜んだ。
この国のラグビー界を盛り上げたひとりだが、いま、最近の機関決定を残念がっている。
リーグは5月13日、再来年度にあたる2026-27シーズンから選手登録の区分に変化を加えると発表した。
現在は出場枠の上限がない「カテゴリA(日本代表資格を持つ選手)」を、「カテゴリA-1」「カテゴリA-2」に分割。前者の定義を「小中学校の義務教育9年間のうち、6年以上を日本で過ごした選手」とし、先発メンバーのうち8名以上が「カテゴリA-1」となるようにする。
海外出身の日本代表資格保持者は、国籍を問わず「カテゴリA-2」とされる。現在も設けられる「カテゴリB(他国代表歴がなく、日本代表資格を持たない選手)」「カテゴリC(他国代表歴のある選手)」の面々と、7つのスターター枠を争うこととなる。
本来なら「カテゴリA-2」にあたるうち、日本代表30キャップ以上を持つ選手は「カテゴリA-1」に分類される。ただし、今季の現役選手でその該当者はわずか3名。日本大会で活躍した海外勢の多くは「カテゴリA-2」に遇される。
2022年までに28キャップ獲得のラファエレも然りだ。
——今回の決定についてどう感じますか。
「難しい判断だと感じます。ここまで日本のリーグを(外国から参加して)支えてきた選手がたくさんいるなかでこのような判断がなされ、悲しい部分もあります。正直、いまの日本がこの(準備次第で強豪国に対抗できる)立場になった裏には、こうした(A-2に該当しうる)選手の力もあったと思いますし…。日本に滞在期間が長く、貢献度が高く、帰化した人もいます。そんな人たちには、厳しい現状が突き付けられています」

——ラファエレさんも日本国籍を取得。登録名が苗字、名前の順になっているのはそのためです。
「(日本語で)はい。2017年!」
——今回の件について、ファンの多くはラファエレさんと同じような気持ちを表明しています。
「それはオンラインで見ています。ファンの方々が、日本のラグビー界へたくさん貢献してくれた選手にそう(好意的に)感じてくれていることへは、本当に感謝しています」
気を取り直す。5月24日、東京・秩父宮ラグビー場でプレーオフの準決勝に挑む。対戦する昨季王者の東芝ブレイブルーパス東京には、レギュラーシーズンの第14節で28—73と敗れている。
リベンジへの鍵を聞かれたラファエレは、「(自軍の)ディフェンスはここ数週間うまくいっているので、それをどこまで継続できるか。あまり東芝のことを考えすぎず、自分たちにフォーカスします」と展望した。