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【サニックスワールドラグビーユース交流大会】「最後は全員でラグビーを楽しんだ」。大阪桐蔭、佐賀工との激戦制して連覇成る。
大会連覇に喜び弾ける大阪桐蔭。(撮影/松本かおり、以下同)
2025.05.05
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【サニックスワールドラグビーユース交流大会】「最後は全員でラグビーを楽しんだ」。大阪桐蔭、佐賀工との激戦制して連覇成る。

田村一博

 優勝トロフィーをもらった大阪桐蔭高校が、それを天に突き上げる。
 プシューッと黄金の紙テープが弾ける。『サニックス ワールドラグビーユース交流大会2025』が終わった。

 4月28日から試合が始まった高校生のワールドカップは、5月5日が最終日。1位から16位までの順位を決める順位決定トーナメントもこの日が最後。最上位の1〜4位のファイナルでは大阪桐蔭と佐賀工が戦い、20-17で大阪桐蔭が勝った。
 同校は昨年大会で、史上初めて日本チームが王者となる快挙を成し遂げた。今回の優勝で連覇となった。

 ともにコリジョンにプライドを持つチーム同士の戦いは、ハーフタイムを10-10で迎える接戦となった。
 大阪桐蔭は前半6分にPGで先制されるも、13分にボールを動かす。SO矢守勇生のパスを受けたWTBモレノ経廉ザンダーが前進。トライライン近くでできたラックからSH福島悠右がサイドを走り、トライラインを越えた。

トライを挙げた大阪桐蔭FB須田琥珀


 前半23分過ぎにはSO矢守の50/22キックで敵陣に攻め入り、ラインアウトから攻める。順目にフェーズを重ねて防御を少しずつ減らし、最後はFB須田琥珀が5点を挙げた。
 しかし10-3とリードして迎えた前半28分過ぎ、佐賀工FWにラインアウト後のモールで押し込まれた後、ラックからNO8長谷川怜生にトライを許す。タイスコアとされて前半を終えた。

 前半は佐賀工の好キッカー、SO𠮷浦太我らに蹴り負けぬよう、エリアの取り合いに付き合った。しかし、大阪桐蔭は後半の開始10分間に2トライを奪って、自分たちの時間を作った。
 後半4分、敵陣ゴール前のスクラムから賢く攻めた。ディフェンダーが一人しかいないショートサイドをSH福島とWTBモレノで攻略。9分過ぎにはラインアウトから攻めて、FWのセンタークラッシュ後にBK4人でパスをつなぎ、またもモレノがトライラインを越えた。

 20-10とリードした大阪桐蔭だったが、ここからの時間がタフだった。
 ラインアウト後のモールで押され、ラックになった後、ピック・ゴーでトライ、ゴールを許したのが13分過ぎ(20-17)。そして、その後も自陣深くに攻め込まれた。

 しかしその後、一進一退の攻防を耐え切れたのは白いジャージーが全員でつながり続けたからだ。
 CTB手崎颯志主将は苦しかった試合終盤を振り返って、「最後は全員でラグビーを楽しんでいたと思います」と話した。

チームを牽引した佐賀工NO8長谷川怜生主将


 後半の最初に集中力を発揮した時間については、「前半はFWがしんどいことをしてくれて疲れているだろうから後半はBK全員で走って取り切ろう」と声を掛け合って用意したプレーを遂行したという。
「自分たちのラグビーを貫き通して連覇できたことは嬉しいです。今回の大会で得たものを秋、冬(のシーズンに)につなげたいと思います」と話した。

 チームを率いる綾部正史監督も今大会で戦った5戦の成果について、「今後につながる中身の濃い5試合でした」と手応えを得ていた。
 そして、「チームとしてやろうというテーマにこだわれる時間が長くなってきた。前までは10分、15分しか持たなかったのに、最近は30分以上に。それを冬までに60分以上維持できるようにしたい」と、先にあるチーム作りについてイメージを言葉にした。

【写真左上】WORLD XVフレンドリーマッチ
【写真右上】御所実×東海大大阪仰星
【写真左下】ハミルトンボーイズハイスクール×桐蔭学園
【写真右下】ラトゥ カダヴレヴ スクール×バーカーカレッジ


 準優勝の佐賀工も前向きだった。自らトライも奪ったNO8長谷川怜生主将は、FWの先頭に立って戦い、体感した感覚を、「自分たちは日本一のFWと自信がついた」と言った。
 またチームとして頂点に立つには、BKとディフェンスの強化が必要と、明らかになったのも収穫。まだ5月。力をつける時間はたっぷりある。

 昨年大会と同じジャージーがふたたび歓喜の時を迎えて幕を閉じた今大会。短期間にハードな戦いを5戦経験し、選手たちには疲れがあった。
 しかし、最終日に見せた選手一人ひとりの顔を見ると、みんな初日より精悍になっていた。この冬の花園までに、今大会OBたちはどれだけ成長し続けるだろう。

 フィールドの内と外で人を育てる大会は、また1年後に宗像の地で開催される。そして、新しい絆が生まれる。

【写真左上】東福岡×SGSフィルトンカレッジ
【写真右上】長崎北陽台×京都成章
【写真左下】京都工学院×東海大相模
【写真右下】ジエングオ ハイスクール×ベゼ ハイスクール

【最終順位】
優勝 大阪桐蔭(大阪)
準優勝 佐賀工(佐賀)
3位 東海大大阪仰星(大阪)
4位 御所実(奈良)
5位 ハミルトンボーイズハイスクール(NZ)
6位 桐蔭学園(神奈川)
7位 ラトゥ カダヴレヴ スクール(フィジー)
8位 バーカーカレッジ(オーストラリア)
9位 東福岡(福岡)
10位 SGSフィルトンカレッジ(イングランド)
11位 長崎北陽台(長崎)
12位 京都成章(京都)
13位 京都工学院(京都)
14位 東海大相模(神奈川)
15位 ジエングオ ハイスクール(中華台北)
16位 ベゼ ハイスクール(韓国)


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