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山本実[女子日本代表/YOKOHAMA TKM]、ラグビー発祥国での激動の3シーズン。
やまもと・みのり。ポジションはSO。1996年12月9日生まれ。169cm、72kg。田園ラグビースクール→東海大相模中・高→日体大→三重パールズ→ウースター・ウォリアーズ・ウィメン→セール・シャークス・ウィメン。今季からYOKOHAMA TKM。日本代表キャップ31
2024.09.01
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山本実[女子日本代表/YOKOHAMA TKM]、ラグビー発祥国での激動の3シーズン。

ジャスラグ編集部

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 ラグビーワールドカップ2025イングランド大会まであと1年。
 そのタイミングでイングランドでのチャレンジを終えて、地元へ帰って来た選手がいる。
 女子日本代表のプレーメーカー、山本実(みのり)だ。
 ラグビー発祥の地、イギリスでの3シーズンを経て、地元・横浜のYOKOHAMA TKMへ入団した。

 8月11日、17日に行われたアメリカ代表との国内2連戦でもメンバー入りした(17日の第2テストに出場)サクラフィフティーンのプレーメーカーが、3シーズンを過ごしたラグビー発祥国イギリスでの挑戦と葛藤について振り返った。

 2021年にイングランド女子最高峰国内リーグ、プレミアシップ・ウィメンズ・ラグビー(旧:プレミア15s)のウスター・ウォリアーズ・ウィメン入りのために渡英した山本は、2シーズン目を迎えた昨年、予想だにしない出来事と直面した。
 所属クラブの財政破綻である。

 同クラブの男子はイングランド男子最高峰国内リーグ、プレミアシップでプレーしており、イギリス全土に衝撃が走る一大ニュースとなった。

 その一件により、急遽新チームを探すことを強いられたが、山本本人も「不幸中の幸い」と語るように同リーグのセール・シャークス・ウィメンから声がかかった。

セール・シャークス・ウィメン時代の「mino」。(Getty Images)

 ただ、所属先が決まってから真のチャレンジが待ち受けていた。

 一つは、環境面である。
 グラウンドは近くの大学の設備を使用する日もあり、それ以外のグラウンドでも照明は移動式などトレーニング設備は前クラブと大きく異なる。
 天候に関してもイングランド中部にあるウスターから約160km北上した位置にあるセールは、雨がより多いという。
「君のスパイクは、半年乾かない」とコーチに初回の練習で伝えられた、と山本は笑いながら話す。あながちジョークではないと疑うほど雨の日が続いた。

 もう一つのチャレンジは、2023年に行われたリーグの再構築に伴い各チームに課されたイングランド代表有資格選手を一定数試合メンバーに入れることを求める制度の導入による出場枠の競争激化である。
 日本出身の山本は、イングランド代表無資格選手として、これまでより少ない出場枠をチーム内で競争し、出場機会を勝ち取る必要が出たのだ。

 そんな挑戦の中でも山本はポジティブな面を見出した。
 イングランド、スコットランド、アメリカ、イタリア。国際色豊かなチームメートたちと日々切磋琢磨できるグローバルな環境。
 また世界屈指のリーグで戦い続けることで得られる世界トップ層のレベル感の把握。「上手いなとは思うけど、倒せないことはないな」と本場のラグビーに3シーズンもまれた山本は世界トッププレーヤーとの距離感をそう表した。

 タフな状況にも負けずに異国の地で戦い続けた山本を支えた存在の一つに『Footballmark』がある。
 サポートは、日本体育大学在籍時から続く。

先のアメリカ代表との第2テストマッチ(8月17日)では、セール・シャークス時代のチームメートと再会した。左が12番で出場のカターナ・ハワード、右は1番で出たキャサリン・ベンソン。(撮影/松本かおり)

 山本擁する日本体育大学がほかの強豪を抑えて、年間総合優勝した2018年の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズを『Footballmark』の吉澤実社長はこう振り返る。「(山本は)ピッチ上でボールを持つと、ゲームの流れを掌握し、チームを勝利に導くプレーヤーでしたね」

 サポートする理由についても「卓越したプレーヤーとしての魅力だけでなく、ピッチ上の役割と同様に、ラグビー界全体を俯瞰的に捉える力も持ち合わせています。ベテランの域に達した山本選手の言動は、今後の日本女子ラグビーの在り方を大きく左右する可能性を秘めているので、彼女の挑戦をサポートしています」と続けた。

『Footballmark』はラグビーチームのMD事業やチームサポート業務に携わり、企業理念は「FUNからFANへ」。「お客様と一緒に楽しむことにより、ラグビーや当社のFANになってもらい、お客様にとって『必要とされる存在になる』ことを志している」という。

 支援と期待を原動力に、山本も必要とされる存在になることを目指す。ラグビー発祥国で培った経験を、地元の横浜、そして日本の女子ラグビー界へ還元していくつもりだ。
 9月、10月には、WXV(女子の世界大会)が控えている。女子ラグビーを熱くする。

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