ワールドランキング通りの点差、試合内容となった。
つまり、驚きのない結果に終わった。
7月21日(日)、札幌ドームでおこなわれた日本代表×イタリア代表は、サモア、トンガを巡るパシフィックツアーの最終地として日本で戦ったイタリア代表が42-14と快勝した。
奪ったトライは5つ。日本代表は2つだった。
6月22日のイングランド戦から始まった、日本代表のサマーシリーズ。JAPAN XVとして戦ったマオリ・オールブラックス戦2試合も含め、前週のジョージア戦まで4試合は、すべての試合で日本が先攻してきた。
しかし、この試合は立ち上がりの3分にPGで先制を許すと、8分にはラインアウトからの攻撃でフェーズを重ねられ、仕上げはFBアンジュ・カプオッツォ。好ランナーがトライラインを越えた。
13分には攻撃の途中、ラックからこぼれたボールを足にかけられ、FLロス・ヴィンセント→SHマルティン・パジェレロと繋がれてインゴールに入られた。
キックカウンターからFBカプオッツォに走られたのは37分。最後はLOアンドレア・ザンボニンに5点を追加した。
スコアは0-24まで開いた。
日本代表がいつものように序盤にペースをつかめなかったのは、超速ラグビーの芽を摘んできたからだ。
青いジャージーの男たちは忠実にダブルタックル。ボールキャリアーのクリーンな球出しを遅らせた。
また、ブレイクダウンでの攻防で日本が少しでも停滞すると、第二波の圧力もかけた。
日本代表は途中、自分たちの時間を作ることはできた。
ハーフタイム直前、自陣深い位置で相手がこぼしたボールをすぐに外へ運ぶ。CTBディラン・ライリーがロングを走り切った。SO松田力也のコンバージョンキックも決まり、7-24としてハーフタイムを迎えた。
後半の序盤も攻め続けた。
2分にインターセプトからCTBディラン・ライリーがトライを奪う(Gも決まり14-24)。7分にPGを決められて14-27とされるも、その後、敵陣深くで攻め続けた。
日本代表は後半9分から8分間に、イタリアのゴールライン前で13フェーズ、12フェーズと攻め続けたことに加え、10メートルと22メートルライン間でも10フェーズを超える継続を見せた。
ただ、それでもインゴールにボールを置けない。エディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、「ゴール前のエリアの決定力を高める策を考えなければいけない」と試合後に語った。
結局日本代表は、19分にPGを追加され、その後の時間帯でも2トライを奪われた。
1万7411人のファンを熱狂させることはできなかった。
リーチ マイケル主将は試合後、前半のPGチャンスにショットを選択しなかったことに触れ、「後半20分からの勝負に持ち込むためには、(PGを)狙ってスコアを重ねる方がいいのかもしれない」とした。
試合後の記者会見でジョーンズHCは一貫性が足りないと言い、「うまくいった時間帯はあったものの、ハンドリングやラインアウトでミスが出てスコアできなかった。これが自分たちの現状」と話した。
新体制として動き始めて約2か月。テストマッチ3戦を含む、5試合を戦った。
若い才能を見つけ、伸ばしているのは事実だ。指揮官は、選手たちの取り組む姿勢も評価する。
成長を続けているのも真実だ。
だから、自分も含め、報道陣、ファンが結果をほしいことはよく分かるが、本当に手に入れたいものを掴むにはプロセスが必要だと言った。
約2か月前の始動の時期をチーム誕生の時とするなら、いまはまだ「幼稚園児」と言った。先は長い。
「テストマッチでプレーすることに慣れることが大事。たとえば、ジョージアとイタリアではスクラムの組み方も違う。そういう経験が糧になる」
力は伸びている。
しかし困難にぶつかった際、試合中に自分たちで解決策を見つけられないのが現在の力だ。
ジョーンズHCも選手たちも悔しさをぐっと噛み締め、少しずつ前に進んでいる状況だ。
8月、9月にはパシフィック・ネーションズカップが開催される。その準備が8月には始まるだろう。
進化のスピードを高めるためにも、晩夏には勝利を重ねたい。