
8月30日(土)、オーストラリア・NSW州のクラブラグビー選手権「シュートシールド」(Shute Shield)のグランドファイナルがおこなわれ、ワリンガがディフェンディングチャンピオンのイースタンサバーブス(以下、イースト)に37-24で勝ち、8年ぶり2度目の栄冠に輝いた。
今年のシュートシールドは、レギュラーシーズン終盤に熾烈なプレーオフ争いが繰り広げられたが、ファイナルシリーズでは、レギュラーシーズン上位4チームが順当に準決勝に勝ち上がり、また決勝も、その1位(イースト)と2位(ワリンガ)による対決となった。
イーストは、昨年の王者らしくシーズン通して安定した強さがあり、特に僅差のゲームで勝ち切る勝負強さが際立っていた。レギュラーシーズンでの両者の対戦は、イーストの2戦2勝、うち一つは1点差によるもの。ちなみにこの両チームは昨年の準決勝でも対戦し、イーストが残り10秒で逆転トライを挙げ決勝に進んでいる。
会場となったライカート・オーバルには両者のサポーターが多く詰めかけた。しかし、今回もシドニーのノーザンビーチを本拠地とするワリンガの熱狂的なサポーターが目立ち、会場を同チームのホームと思わせる程の熱気。チャレンジャーとして試合に臨むワリンガには心強かったに違いない。

【写真右上】トライを挙げたイーストのWTBダービー・ランカスター(ワラタス/ワラビーズ)。昨年の準決勝の最後、ワリンガから逆転トライを決めた。(撮影/YASU TAKAHASHI)
【写真左下】リザーブから出場、トライも挙げたワリンガPRテビタ・アラティニ。昨年のU20豪州代表でブランビーズ。(撮影/YASU TAKAHASHI)【写真右下】レアリーを務めたのはアンガス・ガードナー。RWC2023の準決勝も担当した。(撮影/YASU TAKAHASHI)
試合は開始10分にイーストがPGで先制したが、14分にこの日最初のトライを挙げたのはワリンガだった。
キャプテンのベン・マー(Ben Marr/FB)がイーストのディフェンスラインをこじ開けると、サポートの選手がテンポよくつなぎ、最後はNO8のクレイトン・フランス(Chlayton Frans)がゴールラインに飛び込む。 そして28分にもワリンガのFWはモールで押し込みグラウンディング、ゴールも決めて14-3と点差を広げた。
これ以上のリードを許すわけにいかないイーストは、豪州代表キャップホルダーである、ダービー・ランカスター(Darby Lancaster/WTB)が快足を飛ばす。タックルを受けて一度はその走りを止められたが、地面に置いたボールを自ら再度ピックアップし、ゴールラインまで駆け抜けた。
結局前半は、終了間際にPGで加点したワリンガが17-10とリードして折り返した。
後半は早々にイーストの強力FWがワリンガゴール前に迫る。そのまま押し切り、ついにイーストが同点に追いつく展開となった(17-17)。
ワリンガはPGで再度リードし、その後、両者が1トライずつ追加し、スコアは27-24。勝負は残り10分を切った。
イーストの試合巧者ぶりがじわじわと漂う感じがあったが、ワリンガの勢いは衰えなかった。
後半から投入されたテビタ・アラティニ(Tevita Alatini/PR)がイーストゴール前のラックからピックアンドゴーでディフェンスを突き破りトライを奪う(24-32)。さらに試合終了間際には、自陣でのターンオーバーからボールをつなぎ、NO8クレイトン・フランスが45メートルを走り切った。この日2つ目のトライで勝負を決めた(37-24)。

最後はワリンガがマイボールのラインアウトをしっかりと確保し、SHがタッチに蹴り出した。拳を天に突き上げる。会場のワリンガサポーターも歓喜とともにピッチになだれ込んだ。
ワリンガのヘッドコーチ(以下、HC)、ジョシュ・ホルムズ(Josh Holms)は2017年の初優勝のメンバー。2022年からコーチのキャリアをスタートし、2023年にワリンガの1stコルツ(20歳以下)を優勝に導くと、2024年から1stグレードのHCとなり、僅か就任2年目でシュートシールドのタイトルを獲得した。選手とヘッドコーチの両方で優勝を経験した人物となった。
この日の試合では、リザーブの選手たちの活躍が際立った。勝負どころとなる終盤に強いイーストのゲームプランを凌駕するほどのインパクトがあった。
まさにフィニッシャーという活躍を見せたリザーブの選手起用を含め、ホルムズHCの手腕が光ったゲームだった。
ワリンガは女子チームも優勝。今シーズンはアベックでのタイトル獲得となった。
【Shute Shield 2025レギュラーシーズン最終順位】
1. イースタンサバーブス(Eastern Suburbs)
2. ワリンガ(Warringah)
3. ノーザンサバーブス(Northern Suburbs)
4. イーストウッド(Eastwood)
5. ハンターワイルドファイヤーズ(Hunter Wildfires)
6. ランドウィック(Randwick)
7. ゴードン(Gordon)
8. シドニーユニバーシティ(Sydney University)
9. トゥーブルース(Two Blues)
- マンリー(Manly)
- サザンディストリクツ(Southern Districts)
- ウェストハーバー(West Harbour)
【NSW Premiership Competition 決勝結果】
◆Shute Shield(1st Grade)
Warringah 37-24 Eastern Suburbs
◆Colin Caird Shield(2nd Grade)
Eastwood 34-31 Manly
◆Henderson Shield(3rd Grade)
Eastern Suburbs 22-21 Sydney University
◆Henderson Cup(4th Grade)
Eastern Suburbs 22-21 Manly
◆W.Mcmahon Memorial Shield(1st Colts)
Randwick 62-40 Eastern Suburbs
◆Shell Trophy(2nd Colts)
Randwick 50-42 Sydney University
◆Bill Simpson Shield(3rd Colts)
Sydney University 41-10 Randwick
◆Gregor George Cup(Club Championship)
Eastern Suburbs
◆Sydney Women’s Rugby / Chikarovski Cup
Warringah 17-12 Wildfires Blue