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【Just TALK】同部屋は「アキチャン!」。ベン・ガンター[日本代表/PNC カナダ戦 6番]
8月30日に仙台でおこなわれるパシフィックネーションズカップのカナダ戦は、6番で先発する。(撮影/松本かおり)
2025.08.28
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【Just TALK】同部屋は「アキチャン!」。ベン・ガンター[日本代表/PNC カナダ戦 6番]

向 風見也

 ラグビー日本代表11キャップのベン・ガンターが8月22日、キャンプ地の宮崎で取材に応じた。

 この日は別メニュー調整も、「コンディションは悪くない。きょう(22日)はいくつかのチェックをしただけです。これからどんどんペースを上げていけます」。翌日、実戦形式セッションでは活躍することとなる。

 身長195センチ、体重120キロの27歳。タイ国籍を持ちながらオーストラリアで育ち、2016年に来日して現埼玉パナソニックワイルドナイツに入った。

 当初は練習生契約も徐々に頭角を現し、2021年にはジャパンに初選出された。2023年のワールドカップフランス大会では出番こそなかったもののスコッド入りし、昨年発足したエディー・ジョーンズヘッドコーチの体制下でも体調万全の折はメンバーに絡んだ。

 7月5日、12日に1勝1敗で終わった対ウェールズ代表2連戦では、いずれも途中出場を果たした。攻守で力強さを発揮した。
 8月30日に仙台でおこなわれるパシフィックネーションズカップの初戦、カナダ戦には6番で先発する。

1997年10月24日、タイ・バンコク出身の27歳。195センチ、120キロ。ブリスベンボーイズカレッジ(AUS)→埼玉パナソニックワイルドナイツ(2016〜)/ SRサンウルブズ(2019)。日本代表キャップ11。初キャップは2021年10月23日に大分でおこなわれたオーストラリア代表戦。(撮影/向 風見也)


——ジャパンは現体制2シーズン目を過ごしています。1勝3敗と苦しんだ昨秋と比べ、どんな変化が見られますか。

「去年まで代表におらず、今年復帰した選手がいます。一方、若い選手もたくさん入ってきている。全体的にはヤングチームとなった印象です。お互いに成長したいです」

——現職復帰2季目となる指揮官のジョーンズさんへの印象は。

「思っていることをすべてはっきりと言ってくれるので、そのフィードバックがとてもありがたいです。弱みを改善するというより、強みを発揮するようにと言われています。私の最大限の長所であるフィジカリティを活かすためにも、身体の状態を取り戻し、コンディションを上げ、80分間フルでプレーできるようになって欲しいと伝えられています。

 個人の能力を繋ぎ合わせるだけではなく、お互いに良好な関係を築くことがよいチームになる条件です」

——ワイルドナイツの先輩には、2015年までの第一次政権時に経験したジョーンズの厳しさについて証言する人もいます。

「(いまでも)全員が『少し怖いかも』と感じてはいると思います。ただ、それ以上にリスペクトし合っている」

——いまの日本代表の合宿や遠征では、なるべく日本で生まれ育った選手と海外出身の選手がホテルで同部屋になるよう配慮しています。

「いいアイデアです。チームはひとつ。しかし日本人同士、外国人同士が同じ部屋にいるとそれぞれで固まってしまう。国籍に関係なく繋がる場所を設けることは大切です」

——ちなみにガンター選手は誰と同部屋ですか。

「アキチャン! 奥井章仁です」

——トヨタヴェルブリッツから今年初選出された23歳のフランカーですね。

「適切なポジショニング、ブレイクダウン周りの動きと、バックローとしてよいものを持っています。グレートガイでもあります」

 現在は北米大陸勢、環太平洋諸国とのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)で優勝するのを目指す。8月下旬からの約4週間、リーグ戦とトーナメント戦を通して頂点を狙う。

 さらに…。

ウェールズ代表との2連戦ではチームに貢献(写真上)。写真下は8月15日から始まった、東京でのFW合宿時のもの。(撮影/松本かおり)


——11月1日はイングランドのウェンブリー・スタジアムで、ワールドカップ2連覇中の南アフリカ代表と激突します。

「大きなチャンスです。日本代表はトップチームになりたくて、そうなるにはトップチームと戦う必要がある。どんどん強い相手と試合がしたいです」

——その約1週間前には東京・国立競技場で、ガンターさんの出身国であるオーストラリア代表を迎えます。

「いろいろと特別な気持ちがあります。それ以上に、勝ちたい思いが高まっています。(オーストラリアでは)かつて私は成長できないと思われていた。実際にはここまで成長できたんだ、ということを見せつけたいです」

——オーストラリアは、次回のワールドカップの開催国です。

「その時にメンバーに選ばれるかはわからない。まずは毎年、毎年、頑張っていきたいです」

 結婚予定のパートナーとの間に子どもが生まれそうだ。「わくわくしています」と微笑む。

 出生予定日は11月。折しもジャパンは海外遠征の只中だ。本人は「(出産のタイミングと遠征が重なる)可能性はあります。ただ、どうなるかはわかりません。次のトーナメント(PNC)でどんどん勝ち続け、優勝したいです」と地に足をつける。

——あらためて、今度のPNCでの目標は。

「チームメイトからも、外から見ている人からも信頼される存在となることです。特に、フィジカリティにフォーカスします」


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