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1週間前の北九州では同じ相手にFWで5トライを奪い、32-19で勝った。
7月26日、女子日本代表/サクラフィフティーンは再び女子スペイン代表と戦う。そして、今度は30-19。奪った5トライのうち3つは、大きくボールを動かしてウイングがトライラインを越えるものだった。
8月下旬に開幕するイングランドでのワールドカップへの出場が決まっているサクラフィフティーンにとっては、日本を発つ前の国内での最終テストマッチ。秩父宮ラグビー場には、女子日本代表戦史上最多となる5244人のファンが足を運んだ。
チームは、8月9日に敵地でイタリア代表と戦った後、大舞台へと進む。

この日、サクラフィフティーンは前半を10-0とリードする。2トライを挙げたのはWTB香川メレ優愛ハヴィリだ。
先制トライは前半13分。やや右寄りのスクラムから近場を数回攻めて相手ディフェンダーを寄せる。
そこから左へ。CTB弘津悠、SO山本実、FB松田凜日と大きく動いたボールは香川に託され、背番号11がトライラインを越えた。
5-0で迎えた26分のトライは、敵陣左サイドでのラインアウトから生まれた。
相手ボールをターンオーバーしたサクラフィフティーンは7つのフェーズを重ねた後、スペースのあった左サイドにボールを運ぶ。CTB古田真菜、FB松田とつながれたボールは再び背番号11へ。香川が約22メートルを走り切って、スコアを10-0とした。

この日のスペイン代表は、サクラフィフティーンのテンポのはやい展開に手を焼き、前後半合計で23の反則をした(前半11、後半12)。
赤白のジャージーは後半に入り、FL長田いろは主将のキックチャージからのトライ(6分)、SO山本のPG(17分)で20-5とすると、20分にはラインアウトから攻めた。
BK陣がパスとランで防御を揺さぶり、FWがズドン、ズドンと前へ。最後は8フェーズ目、左サイドにぽっかり空いたスペースをWTB松村美咲が走り切って25-5。ほぼ勝利を決めた。
終盤に2トライを奪われ、自陣深いエリアでのディフェンスに課題は見えたけれど、30分には前戦同様にモールでトライを取る強みもあらためて見せた。
レスリー・マッケンジー ヘッドコーチは、「同じ相手に2連勝することはとてもタフなこと。1週間かけて戦い方を精査してくるスペインと戦うことについて覚悟はできていましたし、チャレンジングな試合で、前半はやはり均衡する展開となりました。しかし、我々らしいパフォーマンスを出し、信頼し合い、タックルを決めて試合を締めることができました」と80分を振り返った。
2トライを挙げてチームに勢いを与えた香川は、チームとして前戦の体感から、「外にスペースができるのは分かっていました」と言った。
内側の選手たちがハードワークしてくれたボールを必ずスコアに結びつけようと集中した。

セブンズ代表として活躍して9キャップを持つ。2024年のパリ五輪出場を目指していた。しかし、その夢は叶わなかった。
早大卒業後に所属していたナナイロプリズム福岡で15人制をプレーする時はNO8の位置で力を発揮していたが、サクラフィフティーンにはWTBとして期待が寄せられた。2024年5月の香港戦からこの日の試合まで、出場した5試合すべてWTBで出場。そのうち4試合でトライを挙げている(計5トライ)。
8番を背負ってタテに出るプレーが好きで、なかなかWTBでのプレーに馴染めなかった。
しかし、「本当は違うポジションのほうがよかったのになあ、と思いながらやっていてはダメだ」と気づき、その心の変化はパフォーマンスにも直結する。
スペインとの第2戦の国歌斉唱を終えた時、キックオフの笛が鳴るのを待っているとワクワクしている自分に気づいた。
何か月も仲間と一緒に、同じ目標に向けて、きつい練習に励んできた。やれることはやってきた。楽しくプレーしようと決めた。

父・トゥアナキ ハヴィリさんはトンガ生まれ。大塚刷毛でNO8としてプレーしていた。母は学生時代に世界を船で回る旅に出てトンガが気に入った。帰国後、国内のトンガコミュニティーと関わった際にふたりは出会い、娘を授かった。
秩父宮ラグビー場のバックスタンドには横断幕を掲げ、愛娘を応援する父の姿があった。2トライは最高の親孝行でもあった。
WTBで勝負するぞ。
そう決めて、ボールを呼び込む力が高まっている。
ハードワークで動き回る。トランディションの瞬間にコール。SHから直接ボールをもらえるように声出しの数も声量も高まる。
「ウイングです。トライを取り切る、という気持ちが強くなって、結果がついてくるようになったと思います」
サクラフィフティーンのWTBの中で、力強さで勝負できるのは自分だけの強み。「ワールドカップに行けたら、そこでもそれを出して、自分の成長につなげたい」と話した。
