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ラグビーニュージーランド代表109キャップのブロディ・レタリックが、存在感を示している。
2023年のワールドカップフランス大会を最後に代表から離れている身長204センチ、体重120キロの34歳は、同大会直後に約4年ぶりに入ったコベルコ神戸スティーラーズで共同主将を務める。
昨年12月中旬にデイブ・レニーヘッドコーチ体制3季目をスタートさせるや、第11節までに10勝と好調なチームにあって現状でリーグ最多の12トライをマーク。敵陣ゴール前でのパワープレーのほか、抜け出す味方への援護が光る。
「前を見て、ラインブレイクが起きる場所を、予測する。(互いの陣形や強力な同僚の立ち位置に基づき)そこかな、というところにいたら、サポートできます」
持ち場のロックでの務めも全う。接点の周りでゲインラインに亀裂を入れるパスや突進、高低のタックル、腰を落としてのスティールも光る。
とにかくタフだ。
2月15日には東京・秩父宮ラグビー場で、2連覇中の東芝ブレイブルーパスとの第8節で後半7分に途中交代。先発して退くまで攻守に活躍し27-7とリードも、コンディション都合でピッチを出たら一気に追い上げられた。
34-33で辛勝。レタリックの存在感の大きさを再確認させられたうえ、本人の状態が懸念された。
次の第9節、フル出場した。そして、対する埼玉パナソニックワイルドナイツの全勝を止める。40-24。
ブレイブルーパス戦後に復活した過程を聞かれ、とぼけたような言い回しで応じる。
「覚えていないなぁ。頭を打ったから」
話したのは3月17日。兵庫県内の拠点での練習公開後だ。
注目される今後の身の振り方についても、軽妙なやり取りで私見を示した。

——とてもコンディションがよいように映りますが、いかがですか。
「見た目よりはよいのかもしれないです。試合2日前には、調子を仕上げています」
——「見た目」の状態がすでによいのですが、それよりも「よいのかもしれない」。驚きです。
「(一言、日本語で)ありがとうございます。…フィジカル、フィットネスはばっちり。あとはしっかりとリカバリーして身体を整えるだけです」
——年齢を重ねながらもハイパフォーマンスを保っているところに感銘を受けます。
「練習後を含め、リカバリーがきっちりとできているのです。いいものを食べ、マッサージをしてもらい、自らもストレッチをします。そのおかげで毎週、プレーできるのかなと。試合後、自分がどうするのかで(未来が)変わる。だから努力をする。…あとは、しっかり飲んでいます。友達のダイジロウ(チームメディアマネージャーの田中大治郎。ちょうど目の前にいた)と!」
指揮官のレニーが、今年からオールブラックスことニュージーランド代表の新ヘッドコーチに就任した。今季終了後に帰国し、2027年のワールドカップオーストラリア大会をにらむ。
別の場所でレニーは、レタリックがいまなお世界トップクラスのセカンドローであると強調する。
こうなれば、自身の率いるオールブラックスでもレタリックを頼りにしたくなるのではないか。ただニュージーランドには、自国でプレーする選手しか代表を目指せないルールがある。いまのところ、レタリックのような国外クラブの実力者は選考対象にならない。

本人の所感は。
「現行ルールでは、ニュージーランドにいないと代表ではプレーできません。ただ正直、すぐに(母国に)戻りたくはない。急いでいません」
——スティーラーズにはいつまでいられるのでしょうか。今後の契約期間などは伺えますか。
「引き続き情報を待てということで」
——それとは別文脈で伺います。シンプルに、ワールドカップには出たいものですか。
「先ほども言った通り、急いでいません。ルールが変わり、自分が有資格者となれば是非プレーしたい。ワールドカップはいろんなラグビー選手が目指すところで、私にも国の代表として誇りを持ってプレーしたい気持ちはあります。ただ、現状のルールであれば、急いでいない、ということです」
——日本での暮らしやプレーも気に入っていると伝わります。
「前回に来た時(2019年度からの2シーズン)はルールの制約があって(2023年のフランス大会を見据えて帰国)。ただ、いまは(再来日から)3シーズン目です。(今回は)『ルールを変えてくれるかなぁ』という希望も持たず、(代表活動に)区切りをつけて、日本でいいプレーをするのだと決めていました」
ちなみにこのやりとりにあった「引き続き情報を待て」は、本人が「to be continued」と発したのを通訳担当者が表現し直したものだ。