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立ち止まらずいこう。豊島翔平[東芝ブレイブルーパス東京]
2016年のリオ五輪に出場。セブンズ日本代表が4位に躍進する中で力を発揮した。(撮影/松本かおり)
2026.02.19
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立ち止まらずいこう。豊島翔平[東芝ブレイブルーパス東京]

田村一博

 大事な時、チームが苦しい時に頼りにされる。
 豊島翔平が東芝ブレイブルーパスの戦列に戻ってきたのは今季第7節、2月7日の三重ホンダヒート戦からだ。

 宇都宮でおこなわれたその試合に途中出場(2025-26シーズン初出場)すると、翌週、2月15日に秩父宮ラグビー場が舞台となったコベルコ神戸スティーラーズ戦には今季初先発。38-44、33-34と連敗も、なかなかギアの上がらないチームの中でいい味を出している。
 2月21日のトヨタヴェルブリッツ戦(パロマ瑞穂ラグビー場/愛知)では23番のジャージーを着る予定だ。

 20点を先行されたスティーラーズ戦では、背番号14のジャージーを着て80分ピッチに立った。
 11回のボールキャリー、2回のラインブレイク。加速力は相変わらずだった。
 ボールキャリー83メートルは両軍トップの数値だ(Rugby Passより)。

 大きくリードを許したところから一度は逆転するも、結果的に1点届かなかった敗戦を受け、37歳のベテランは「特に前半の20分、自分たちのミスと無駄なペナルティがありました。チームとしてゲームの勢いをどうつかみ、どう継続するかという中で、それを実行できなかった」。

 そこで勝負が決まったわけではないと前置きした上で、「大事な(最初の)20分を失ってしまった」と立ち上がりを悔やんだ。

敗れはしたが、スティーラーズ戦でも持ち味のスピードを発揮するシーンが多々あった。この試合には自チームも含め、両チームの先発に5人の東海大出身がいて、ベンチも合わせると7人。「相手チームの東海出身者が誰かは、はっきり分からなかった」と言うも笑顔。(撮影/松本かおり)


「前半、神戸に対してアタックしたいスペースがあったのですが、そこを攻め続けることができなかった」という。
 その流れが後半に入って変わったのは、「ハーフタイムで修正し、後半はそのスペースに対してうまくアタックできました。それが、自分たちが勢いをつかめるようになった要因だと思います」

 キャプテンのリーチ マイケルと東海大時代からの同期で、同い年(PR三上正貴も同様。HO森太志も37歳)。チーム最年長のひとりとなったが、自分なりのスタンスで周囲を引っ張る。

「チームにはリーダーのマイケル(リーチ)や(副将の松永)拓朗がいるので、ゲームの中では本当に伝えたいこと以外はあまり喋らないようにしています」
 ただ、必要な時は話す。
「ホンダ戦の敗戦後、今回(スティーラーズ戦)は僕や桑山淳生が先発に入って、メンバーもガラっと変わったので、つながり、コネクションを保てるようなミーティングをしたいと思い、そうしました」

 2連覇を果たした2024-25シーズンも大事な時期に起用された。レギュラーシーズン全18節のうち、12節以降ピッチに立った。途中出場を4戦続けた後、15番のジャージーを3試合続けて着て、プレーオフトーナメントの準決勝では11番。決勝では23番だった。

 年齢を重ねても、「先発で出る。それが一番だと思っています」と言い切る。
「自分の中でその気持ちがなくなった時が、辞める頃合いなのかなとも思っています。いまは、試合に出続けたい、先発で出たい、ラグビーをしたい」
 その気持ちはまったく揺らがないから、昨季ファイナルのことを思い出し、「決勝は1分も出られなかった。ウォーミングアップしかしていない」と呟く。

 主将を務める同期、リーチの考えていることについて、「全然わかりませんよ」とおどけつつ、「なんとなく顔色で」察しがつく。
「(ベテランが)全力でやり続けている姿(をしめすこと)、それは求められていると思います」
 誰よりもハードワークに徹する主将同様、手を抜く、ごまかすなど、自分や仲間に嘘をつくような行動を拒否して生きる。

 強度が高まる一方の現代ラグビー。フル出場の体感を問えば、「もちろん疲れています」。
 そう笑いながら、「でも(疲労を)感じない、と思うようにしています」。
 若い頃より「リカバリーに時間をかけるようにしていますが、それ以外に特別なことはやっていない」そうだ。

 ただ長く続けることを目標としていない。実際、ピッチ上の動きを見ていてもキレがある。好機を逃さぬ感覚も。
「まだ強みはそのまま継続できていると思っています。それプラス、ゲームをコントロールできるようにもなりたい。いままでの自分の特徴を持ったまま、経験を活かして(さらに)ゲームをコントロールできるウイング、フルバックになりたいですね」と進歩の足を止めるつもりはないようだ。

1989年1月9日生まれ、37歳。北中野中→東海大相模→東海大→東芝ブレイブルーパス東京。セブンズ日本代表。(撮影/松本かおり)


 宇都宮でのヒート戦で、相手の37歳のFB、レメキ ロマノ ラヴァが「リーチ、豊島と一緒にプレーできて嬉しい」と言っていたことを伝え聞いて、「いろんなところに同期がいるので、彼らにも負けていられないという気持ちはあります」。
「山中(亮平/浦安D-Rocks)もすごくいいプレーが多いようですし、田村(優/横浜キヤノンイーグルス)もそう。引き続き頑張ります」と続けた。

 長く勝負の世界で生きてきて、いいシーズンもあれば、負けて、負けて、唇を噛んだことも。チームが上昇する時期、下降気味の時も経験している。だから、3連覇を狙うシーズンの途中に連敗を喫しても慌てないで言えることがある。

「(連覇した)去年、一昨年は、2連敗はなかったと思いますが、敗戦したところで成長を止めると、それ以上は勝ち続けられないと思います。悔しくて見たくない映像も多いけど、しっかり見直し、成長し続けることにフォーカスしないと。自分自身も個人のプレーを見て、こうできたらよかった、こういうコミュニケーションが取れたらよかった、という点を修正、(周囲と)共有していきたい」

 勝ち続けている王者にはいつの間にか包囲網が張り巡らされる。勝ち続けることは本当に難しい。
 そんな時に頼りになる人が誰なのか、指揮官は知っている。託された男のうちのひとり豊島翔平は、「自分たちのやってきたことが間違っていると思っている選手は誰一人いません」と言って、どうしてやりたかったことを出せなかったのかを検証し、「積み上げながら修正していく」。

 立ち止まってはいけない。
 自分の行動で、そんなメッセージを発していく。




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