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いつだって感じがいい。人懐っこい。
スクラムになると表情が引き締まる。そして無慈悲に前に出る。
コベルコ神戸スティーラーズの3番、具智元が2月15日の東芝ブレイブルーパス東京戦に先発して勝利に貢献した。
最終的に34-33という死闘となった試合は、前半は20-7とスティーラーズがリードした。27分までに20-0とした貯金が、最後の最後まで効いた。
具は前半の40分でプレーした。
今季は開幕戦の対クボタスピアーズ船橋・東京ベイに先発も、怪我をしてしばらく戦列を離れた。
第6節の横浜キヤノンイーグルス戦に途中出場して復帰すると、続く第7節の静岡ブルーレヴズ戦にも途中出場。そしてこの日、久しぶりに3番のジャージーを着た。
ブレイブルーパス戦でピッチに立った40分の間に、スクラムは7回あった。
3分過ぎのファーストスクラムで相手のコラプシングを誘い、28分過ぎにも押し切る。その時もレフリーのジャッジはブレイブルーパスの反則だった。7回の組み合いのすべてにおいて安定したプレーを見せた。

日本代表キャップ29を持つ。2019年、2023年とワールドカップに出場した強力なスクラメイジャーも31歳になった。
2023年W杯直後の2023-24シーズンこそ15試合に出場したが、昨季はコンディションがなかなか整わずに10試合の出場にとどまり、先発出場も4試合だけだった。
赤×白の代表ジャージーからも長く離れている。
次回W杯が2027年に迫っている。具本人は、ブレイブルーパス戦後のミックスゾーンで自身の体調について、イーグルス戦で復帰したあたりから「調子がいい」と話した。
「いま、元気です」
開幕戦こそ敗れたものの、その後7連勝中のチームについても好調さを伝えた。
「やっていることは(前シーズンと)そんな変わっていませんが、去年と比べると、練習から(全員が)精度高くやれています。試合での精度も、もちろん、それで(パフォーマンスと成績が)上がっているような気がしています」
その背景には、「うまくいかなかった時など、選手同士ですごく喋るようになったと感じます」と、変化がある。
チームとしてやろうとしているプランに対し、「最後までボールを持っていけている感じです」と話す。
自分自身の復調についても、対イーグルス、レヴズ、ブレイブルーパスと続いた3戦を振り返り、「すごく調子がいい。特にスクラムは」と言う。そして、「持ち味のワークレート(の高さ)も出せていると思うので、もっとアピールしていきたい」と続けた。
日本代表への思いについても、「復帰したいな、という心はすごく強いです」といつもの笑顔で口にする。
「今年から、ブレイクダウンに激しく入り、倒し切ることをすごく意識しています」と言う。
特に前節のレヴズ戦では手応えを感じた。「もっと(そのようなシーンを)増やさないといけないとは思っていますが、去年までより良くなっているとすごく感じています」。
最強の武器としているスクラムでも、さらに自信を深めているという。
「体の調子もいい。そして、自信がついたというか。スクラムに入る前に、『ここで絶対に押してペナルティを取るよ』、と話すときがあるんです。以前は、そんな話をすることはなかった」

ブレイブルーパス戦でも、ペナルティを取るよ、とバックローと連係を取る局面があったそうだ。
「そういうのがすごく自信になって、自分からもどんどん前に出られているような感じはしています」
経験を積み重ね、相手との間合いの取り方や仕掛けるタイミングなど、「塩梅(あんばい)が分かるようになりました」と、かけ引きも熟練さを増している。
ただ攻撃的にいけばいいというわけではない。力の入れ具合、さじ加減を深く理解できるようになった。
日焼けした顔が以前より精悍に見える。体重は116キロと以前と変わりはない。
「神戸はスクラムもそうですけど、フィールドプレーもできる、ワークレートをいっぱい出すプロップをすごく好みます。それに対応できるようにトレーニングをしてきたので、シャープに(感じられる体に)なったのかもしれません」
リーグワン2025-26のディビジョン1はレギュラーシーズン全18節のうち、まだ8節を終えただけ。
7勝1敗で3位の位置にいるチームにも、戦列に復帰したばかりのタイトヘッドプロップにも、より輝く時間は、たっぷり残されている。
「リーグワンで優勝したい。そして、(2027年の)ワールドカップに出たいです」
グーくんと多くの人に可愛がられる年齢も過ぎ、発する言葉の重みも増している。優勝チームのスクラムの要として活躍を続けたなら、いまは外れている日本代表候補のリストに名前が追加されても誰も驚かない。