logo
【Just TALK】「興奮というか楽しい」。上ノ坊駿介[コベルコ神戸スティーラーズ]
第7節の静岡ブルーレヴズ戦、第8節の東芝ブレイブルーパス東京戦と、2試合連続で先発。デビュー戦で3トライを挙げた。(撮影/松本かおり)
2026.02.16
CHECK IT OUT

【Just TALK】「興奮というか楽しい」。上ノ坊駿介[コベルコ神戸スティーラーズ]

向 風見也

 2025年度の天理大ラグビー部で主将を務めた上ノ坊駿介が、年度が変わる前から国内リーグワン1部で躍動している。アーリーエントリーという、一定の条件を満たした大学4年生が、卒業前からリーグワンの公式戦に出られる制度を用いる。

 2月7日、入団したコベルコ神戸スティーラーズの一員として、本拠地の神戸総合運動公園ユニバー記念競技場での第7節に先発フル出場。最後尾のフルバックを担いながら、鋭いサポートで3トライを決めた。60-45で勝ち、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。

 続く2月15日には東京・秩父宮ラグビー場で2連覇中の東芝ブレイブルーパス東京との第8節に登場。フルバックとして80分間、フィールドに立ち、高い弾道のキックの捕球、防御の隙間へ駆け込む動きで光った。前半を20-7と大きくリードし、終盤に一時勝ち越しを許しながらも34-33で白星を掴んだ。
 
 期待の星は、秩父宮のスタンド下で共同取材に応じた。

ブレイブルーパス戦でも得意のランを何度も見せた。天理大では共同主将を務めた。4年時は全国大学選手権を含むチームの全8試合に10番のジャージーを着て出場。8トライを挙げた。(撮影/松本かおり)


——きょうはディフェンディングチャンピオンと戦いました。

「フィジカルチームに対して自分のフィジカルがどこまで通用するかが楽しみであり、緊張もしました。最初にハイボール(高いキックの捕球合戦)で持ち味を出せて勢いに乗れました。絶対にチームの力になって勝ちたい気持ちがあったので、勝ててよかったです。

 先週、天理(大)の記念式典に行きました。ここでは(大学のOBでブレイブルーパスのフルバックである松永)拓朗さんと話す機会がありました。『来週(このゲームで)、マッチアップするかもしれんなぁ』と」

——感触は。

「キャリーしてもすぐ倒れることもある。前進するフィジカルはまだ足りていない。そこは課題です」

——相手スタンドオフは2季連続MVPでニュージーランド代表56キャップのリッチー・モウンガ選手でした。序盤、陣地合戦でモウンガ選手がスペースへ蹴り込んでくるシーンが目立ちました。

「キックの種類が多く、いつ蹴ってくるかわからないので常に緊張感を持って準備しました。ノーバウンドでキャッチできないところもありましたが、そのあとに上手く処理できた。ミーティングで『モウンガは(個人の)判断で蹴ってくる。(周りが反応するのはそのあとのため、弾道を追いかける選手の)プレッシャーがあまり来ない』という話があった。ですので、落ち着いてキャッチして、蹴り返せました」

——終盤に追い上げられる展開で勝ち切りました。

「最後は(味方に)シンビン(10分間の一時退場処分)が出て、よりハードワークしなければいけない場面になった。足がつることもありました。何とか、走り切れた。大学と(リーグワンで)は運動量、フィジカルに違いがある。早くこの違いに慣れ、フィジカルをアップさせて、ガツガツいけるように、余裕を持ってできるようになりたいです」

——ロックでニュージーランド代表109キャップのブロディ・レタリック共同主将が後半7分に退いたなかでもありました。

「あの人の存在感が大きい。ただ、いなくなってからもアーディ(・サベア/ニュージーランド代表106キャップのフランカー)やタマさん(ティエナン・コストリー/日本代表11キャップのフランカー)がリーダーシップを発揮してくれました」

2003年9月29日生まれ、22歳。183センチ、88キロ。三田ラグビークラブジュニア→石見智翠館→天理大。高校日本代表、U23代表。


——いずれにせよ、大舞台で堂々としているように映ります。

「関西(大学Aリーグなど)ではこんなに人が入る試合はなかなかなかった。観客席から様々な声をいただいたので、興奮というか、楽しかったです。やることは変わらなかったので、グラウンドに慣れ、自分の持ち味を出していきたいと思っていました」

 身長183センチ、体重88キロ。球をもらう角度、フットワーク、パスやキックのスキルが際立つ。学生時代は司令塔のスタンドオフも担っており、昨春には日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチの動かす23歳以下日本代表にも加わっていた。

 もともと実力者として鳴らしており、いまはその才能を以前よりもハイレベルな舞台で発揮している。

——新天地ですぐに存在感を発揮しています。

「合流したらすぐにチームになじめるよう、頑張ってサインを覚え、馴染もうとしました。周りもウェルカムな感じだったので、それがしやすかった。アーディをはじめ、世界最高峰のプレーヤーがコミュニケーションを取ってくれる。同じバックスなのでアントン(・レイナートブラウン/ニュージーランド代表88キャップのセンター)とはよく喋ります。ブロディからも『もっとコールしていいよ』、『もし○○(位置)へ行ったら、俺は△△へ』といったようなアドバイスもいただけます。1日、1日、成長できます。今後も定着できるようになりたいです」

——スティーラーズでの学びは。

「大学では目の前のスペースにアタックすることを意識していたのですが、ここではラインのタメ、外からのコミュニケーションが(求められる)。試合中、細かいところまで喋っています。自分の好きなアングル(で走り込む)だけではなく、連係して周りを活かすことも大事です」

——いまはどんな目標を持っていますか。

「神戸でチームの勝利に貢献できるようにコミットする。それから、(共同主将でスタンドオフの李)承信さんのような中核となって頑張りたいです」

——2月2日、李選手を含む55名がラインアップされた日本代表候補のスコッドを見て思うことは。

「フルバックには1つ下の竹之下仁吾(明大3年)と矢崎(由高/早大3年)が、スタンドオフでは伊藤龍之介(明大3年)が入っている。エディーさんも大学生、若い世代を成長させようとしている。そこに(自身は)選ばれなかったのですが、考え込んではいないです。まずは神戸でいいパフォーマンスを発揮したいです」

 就任3季目のデイブ・レニーヘッドコーチは、抜擢するホープをこう評する。

「スキルはすでに非凡。ただ、知識は成長させないといけない」

周囲とのコミュニケーションも15番の仕事。クボタスピアーズ船橋・東京ベイのFL上ノ坊悠馬は兄。(撮影/松本かおり)


 前半29分頃、敵陣ゴール前で李の仕掛け、レイナートブラウンのフラットなパスを経て、上ノ坊がラン。右タッチライン際を駆けた。

 もっともその区画には、ウイングの松永貫汰も待ち構えていた。両者の走路が被った印象だ。相手の好守もありトライに至らなかった。

 レニーは、ここで上ノ坊がより深い位置に立つなどしていたら、その場の数的優位を活かしてスコアできたのではと言いたげだ。

 このシーンについては、本人も「貫汰さんとコースがぶつかってチャンスを潰した。周りの選手が走り込んでくるスペースを見て動けるように工夫していきたいです」と話す。

 指揮官は続ける。

「このようなことは、神戸で過ごすなかでリアクションできるようになるでしょう。彼は本当にいい選手だと思いますし、私たちも彼の将来を楽しみにしています。ただメディアの皆さんには、あまり高い期待値をつけないでいてくれるとありがたいです。まだまだ地に足をつけ、頑張ろうとしている段階です」

 チームはこれで7連勝して12チーム中3位。2月21日には本拠地の神戸総合運動公園ユニバー記念競技場に、首位の埼玉パナソニックワイルドナイツを迎える。




ALL ARTICLES
記事一覧はこちら