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押す。倒す。勝つ。食べる。李優河[清水建設江東ブルーシャークス]
開幕から4試合連続で3番のジャージーを着続けている李優河(写真中央)。左はHO田森海音、右はPR野村三四郎(撮影/松本かおり)
2026.01.22
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押す。倒す。勝つ。食べる。李優河[清水建設江東ブルーシャークス]

田村一博

 サメがすいすい泳いでいる。
 リーグワンのディビジョン2は昨年12月13、14日に開幕し、1月18日までに8チーム中6チームが第4節までの試合を戦った。
 その中で無敗、4連勝は2チームだけだ。

 昨季2位の花園近鉄ライナーズがトップの位置にいることに驚く人は少ないだろう。
 もうひとつの4戦全勝チームは清水建設江東ブルーシャークスだ。こちらは昨季の7位。目覚ましい進化を見せている。

 3戦全勝で迎えた1月18日の日野レッドドルフィンズ戦にも24-14と勝利した。
 奪ったトライは3つ。そのうち2つは昨季途中にアーリーエントリーで加入し、今季が実質1年目と言っていいWTB西端玄汰が挙げた。

 その背番号14が輝いた先制トライ(前半4分)は、SOビリー・バーンズの突破からラストパスを受けて走り切ったもの。テクニシャンの司令塔も今季からの新戦力だ。21分の2トライ目は、キックレシーブから好走して一人で決めた。
 後半6分のもう一つのトライは、今季来日のFLシオネ・タリトゥイがインゴールに入った。フレッシュな選手たちが躍動できているのは、周囲の選手たちがレベルアップしたのも理由のひとつだ。

プレシーズンに土台を大きくしたことが奏功し、ブルーシャークスは開幕から4連勝。(撮影/松本かおり)


 その中でもフォワード陣の頑張りがチームの躍進を支えている。すべてのラインアウトで圧力をかけたことも効果的だったが、優勢だったスクラムは戦況に大きく影響を与えた。

 レッドドルフィンズと対峙したフロントローは1番から、バイスキャプテンの野村三四郎、田森海音、李優河(り・うは)の3人。野村と李の両プロップは2022-23シーズン途中にアーリーエントリーで加わった。今季開幕戦から揃って4戦連続先発で、昨季もともに入替戦を含む全16試合に先発出場。チームの武器、スクラムを支えている。

 入団から短い期間でチームに欠かせぬ存在となった両プロップ。特に李は、2023-24シーズンから出番を重ねた。10試合に出場。そのうち6試合が先発だった(野村は6試合に出場)。

 フォワードの進化理由について李は、チームが今季掲げているスローガンを前提に挙げた。スローガンの『SP』には、「以前から力を入れているSetPieceにこだわること」が含まれている(他に『さらに上を目指すために個人がD2で通用するなにかしらのSPecialistになる』など)。

 レッドドルフィンズ戦を振り返り、「相手どうこうでなく、自分たちがやってきたプロセス、形を信じてやりました。結果、いいスクラムを組め、自分たちの強みを出して試合を進められた」と話す。
「1本目のスクラムからいい入りができました」
 HO田森のコールに合わせ、基本的にすべての局面でプレッシャーをかけた。

179センチ、114キロの体躯を使い、チームを前に出す。左から2人目が李。(撮影/松本かおり)


 8人が固まりとなって押し、前に出ることが大事も、やはりタイトヘッドプロップの役割は重要だ。
 李はヒットの時に前へ出ることと、うしろからのプレッシャーを伝えることを同時に意識して組み、押す。

 大学レベルからステージが上がっても戦えるようになったのは、先輩たちのお陰だ。菅原崇聖、吉川豪人らと練習で組むことで鍛えられ、地金を強くした。
「自チームの中でのやり合いのレベルが高かったと思います」
 現在も練習でのスクラムの組み合いは、試合以上のタフさと感じることが多い。

 さらに、昨季終了後のオフからプレシーズンとチーム全体で取り組んだ肉体改造が奏功していると感じる。
「去年はフィジカル面で受けることが多かったので、スキルや戦術でなく、体作りから始めました。それが良かった」
 プレシーズンの試合やシーズンイン後の試合で得た「当たり負けしない」体感から自信もついた。そんな感覚が、一貫性のあるチームパフォーマンスにつながっている。

 李は東大阪朝鮮中でラグビーを始めた。大阪朝高を経て、同志社大では法学部に学ぶ。簡単ではなかった文武両道を貫いた。
 卒業後もラグビー100、仕事100の環境を望み、その願いが叶うブルーシャークスを選んだ。

 現在は土木系の営業職に就く。スーパーゼネコン(大手総合建設会社)では担当する仕事で扱う金額も大きいから「気をつけています」。求めていた濃密な日々を全力で生きている。

 そんな中での息抜きは、趣味のひとつである食べ歩き。毎年、各ジャンルで変動がある『食べログ百名店』の中から気になった飲食店へ足を運ぶことを楽しみにしている。来店数はすでに500店を突破した。

2022年の春に入社。仕事もラグビーも100パーセントの生活。(撮影/松本かおり)


 レッドドルフィンズ戦の前日の土曜日も、滞在する宿泊先に少し早く入り、北府中の『ひら井』でリラックスしたようだ。
 勝利の立役者の一人となったスクラメイジャーは、「試合前日にラーメンはどうなんですかね」と笑う。179センチ、114キロの体躯は、ゆるキャラのように丸みを帯びているように見えるが、朝早くからジムに向かう姿の目撃情報も多い。

 第3節終了時点までに記録したタックル数はディビジョン2のランキング上位に入った。各チームのバックローが並ぶ中で唯一のフロントロー。そのことについて本人は、「特に得意とは思っていません。自分のところに来た相手にタックルしているだけ」と言う。

「寝ている時間を少なく、常に立つ。そしてディフェンスラインにはやく入ることを意識しています」
 多くの選手がそう考えてプレーする中で、「考えずにやるのではなく、次の行動、立ちあがったら、どこにポジショニングするとかそういうことを意識する」ことで違いを生んでいるのかもしれない。

 ラグビーも仕事も100パーセント。組み、倒し、そして食べ歩いて開幕4連勝。
 2月7日の次戦では、ホストスタジアムの江東区夢の島競技場で同じ全勝の花園近鉄ライナーズと戦う。その日は土曜だから、飲食店探訪は試合の夜か日曜だろうか。









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