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【2027年W杯日程決定/エディー SAYS①】情報収集力でも上回る。
「(スケジュールは)受け入れるだけ」と、いつも通り、自分がコントロールできないことには争わない。(撮影/松本かおり)
2026.02.04
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【2027年W杯日程決定/エディー SAYS①】情報収集力でも上回る。

田村一博

 2003年のアデレードにはいい思い出がある。
 そう言ったのは、当時、自分が率いていたオーストラリア代表がナミビア代表相手に142-0と勝ったからだろう。それは、いまもワールドカップ(以下、W杯)史上最大点差試合として記録に残ったままだ。

 2027年におこなわれるワールドカップの試合スケジュールが発表された2月3日、日本代表のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(以下、HC)が記者会見に臨んだ。

 10月3日(日)、ニューカッスルでサモアとプールフェーズ初戦を戦う日本の戦いは、10月9日(土)のブリスベンでのフランス戦、10月15日(金)のアデレードでのアメリカ戦と続く。
 今回から24チームが出場する大会はプールフェーズの試合が3つになった。そこでの成績により、「ラウンド・オブ16」への進出、相手が決まる。

 タスマニア生まれ。そして2003年の大会以降、2011年以外は毎回大会に関わってきたから、オーストラリアにも大会にも精通している。そこはジョーンズHCの強みだ。
 2003年と2023年はワラビーズ、2015年大会は日本、2019年はイングランドと、各代表の指揮を執った。2007年は優勝した南アフリカのテクニカルアドバイザーを務めた。

スタジアムの収容人数はニューカッスルが3万、ブリスベンは5万2500、アデレードは5万3500。(WORLD RUGBY提供)



 大会でおこなわれる全試合の日程が決まったことについて指揮官は、「どこで誰とやるのか分かりました。それに向けて、準備をしていきます」と言って、それぞれの試合についてコメントした。

 サモアと戦うニューカッスルについては「ラグビーが盛んな場所」とした。ラグビー・リーグのニューカッスル・ナイツのホームで、過去にはワラビーズのテストマッチもおこなわれてきた。シドニーから車や公共交通機関で2時間強のところにある。

 フランス戦の舞台、ブリスベンのサンコープスタジアムについては、「素晴らしい競技場のひとつ」と話し、地域の乾燥した気候もあり(固いピッチ)、「はやい展開のラグビーが期待できる」とする。

 冒頭のアデレードオーバルの記憶同様、それぞれのスタジアムについての印象がおもしろい。
「ニューカッスルは伝統的に、試合の時に天候に恵まれないことが多いというデータがあるかと思います」
 確かに東海岸低気圧の影響で、ラグビー・リーグの試合が荒天の中でおこなわれたこともあれば、ワラビーズがひどい気候条件の中でスコットランドに6-9と負けたことがある。2012年、お互いノートライだった。

 ジョーンズHCがアデレードオーバルについて、「ブリスベン同様、はやい展開のラグビーを実現できると考えている」のは同競技場がクリケットにも使われ、芝が短く刈り込んであるからだ。
 そんな背景もあり、2003年のワラビーズはナミビア相手に22トライを挙げた(こちらもW杯史上1試合最多トライ)。

 日程発表について、「我々にとっては、それを受け入れるためのもの」と落ち着いた対応をするジョーンズHCは、「詳細が分かったので、ここから我々がフォーカスしなければならないことは、一連のゲームに向けてどう準備をしていくか。そこに注力することになる」と話した。

小さな文字を見るときにはメガネ。(撮影/松本かおり)


「ワールドカップというのは準備を整え、本当にベストの状態で臨まなければならないものです。そのためにはいろいろな面がある。開催都市に慣れること。開催会場に慣れること」
 ニューカッスルの天候が不安定なら、その点に関して備える必要もある。

「そういったすべてのことに関する準備がこれから始まります。スタッフもあらゆる機会を利用して、準備に注力していく」
 可能であれば事前にオーストラリアツアーを実施し、その時間、期間を有効に使って準備を進めていきたいとした。

 2027年大会のプールフェーズでは3試合が中5日でおこなわれる。
 日本を1991年大会以来24年ぶりの勝利に導いた2015年大会では、初戦の南アフリカ戦と2戦目のスコットランド戦の間が3日だった。ジョーンズHCは、強豪国とマイナー国の扱いが大きく違う時期を経験している。

 それだけに今回のスケジュールに大きな不満はない。日程発表後、夫婦で「ブリスベンからアデレードへ移動か」と話しながらも、「みんな同じぐらいの移動はしなければならない。中にはパースからシドニーに移動しなければならないチームもあるのかもね」と話したという。

「そういった意味で、ワールドラグビーもいろいろ工面して、かなり平等になってきていると感じます。2015年(の日本)は南アフリカに勝った翌日にバスで移動し、2日でスコットランド戦に向けた準備をしなければいけませんでした」

 ただ、2027年大会で気になるのは移動距離だ。
 ニューカッスルからブリスベンは直線距離で600キロ強。飛行機で1時間半前後も、ブリスベンからアデレードは遠い。直線距離で1600キロを超え、飛行機でも3時間弱かかる。また、時差も30分あり、気温も4度〜5度の差がある(アデレードの方が寒い)。

各チームとも長い移動距離を余儀なくされる。(WORLD RUGBY提供)



 2023年のフランス大会の時は、南フランスでの試合が続いたため、トゥールーズをベースキャンプに、同地から試合地へ向かう形がとられた。
 しかしオーストラリアでは大会前こそ拠点を作り、準備を進めることにするだろうが、大会中は前回とは違う動きになるだろう。

「おそらく試合会場から試合会場へ直接移動することになるでしょう。各都市において滞在するホテルはどこがベストか、練習施設はどこがいいのか。そのプロトコル(手順など)をよく考えていく必要があると思っています」
 情報収集力、交渉力でも他チームの上をいきたい。

 サモア、フランス、アメリカの試合順については、「決められたからにはそれを受け入れるだけ。初戦に100パーセント以下の状態で臨むわけにはいかない」と語り、サモアに勝つことに焦点をしぼり、開幕を迎える。




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