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トヨタヴェルブリッツが苦しんでいる。
旧トップリーグ時代に長らく上位を争いながら、2022年に発足の国内リーグワン1部では徐々に順位を落としている。
前年度は12チーム中10位。今季も(開幕戦で三重ホンダヒートに勝利した後)第5節までに4連敗し、10位に甘んじる(1勝4敗)。
1月17日には敵地の東京・スピアーズえどりくフィールドで、クボタスピアーズ船橋・東京ベイの開幕5連勝を許した。前半に32失点を喫し、10-39で敗れた。
「まずはクボタさんが強かった。僕たちが至らなかった。ただ今週の練習、試合へのアティチュードには満足しています。これは正しい道。もっと練習でハードワークし続けることで、もっと成長を促せる」
そう語るのは主将の姫野和樹。日本代表36キャップを持つフランカーだ。

「(前半は)受け身になってしまったところもある。クボタさんに圧力をかけられ、ペナルティが増え、ボールセキュリティーにミスが出始め、流れを掴まれてしまいました。(レフリーの指摘を受け、仲間に)自分から必要な情報を伝えたつもりでしたが、もっとクリーンにラグビーをするべきだった。ハーフタイムには『過去は変えられない。変えられるのは未来。いまに集中して役割をやり続けよう』と、あらためて伝えました」
不振の根本要因を問われれば、「それがわかったら苦労しないのですけど」と苦笑した。
「やるべきことを信じて前に進むしかない。今週の練習に関しては本当に出し切った。手を抜くとか、妥協するとか、そういったぬるい雰囲気(の有無)を主将として見ていく必要があると感じます。一日一日の積み重ねにフォーカスを置いて臨むことが重要です」
厳しい状況下で奮闘するひとりがマーク・テレア。今季新加入の29歳だ。
身長186センチ、体重94キロのウイングで、オールブラックスことニュージーランド代表で19キャップを重ねた。来日前から期待された通り、初戦から滑らかかつ強靭な走り、キック捕球時のジャンプ、接点の周りでどんどんボールをもらう意欲で存在感を示す。
スピアーズ戦でも前半26分頃に自陣22メートル線付近右で再三タックルを試み、結果的に攻守逆転を誘発した。
後半7分には自陣中盤右でボールをもらうや、タックラーの衝撃をいなすようなコンタクトをして身体を回し、倒れる瞬間に相手を下敷きにしてさらに前進した。
ワークレートと身軽さをアピールしながら、勝ち星は掴めなかった格好。もどかしい現状をどう捉えるか。

——今日の所感は。
「タフでした。スピアーズのフォワードが強かった。様々な機会(得点のチャンス)を掴むことができませんでした。ただ、(7-10のスコアとなった)後半(のパフォーマンス)からは自信を掴めます。トヨタラグビーが体現できました」
——ご自身は、防御に簡単に捕まらないランニングが光っています。
「単純に、ラグビーをプレーしているだけ。目の前の人に勝とう、と」
——別のゲームでは、持ち場のタッチライン際を離れて密集の周りでパスを呼び込む場面も目立ちました。
「フィールドのいろいろなところにスペースがあります。目の前にも、外側にも、ラックの周りにも」
——ここまで、そのテレアさんのよいプレーが勝利に繋がっていないケースが続いています。
「ラグビーとは、そういうもの。もちろんチームに勝利をもたらすことが選手としての目標ですし、1人のパフォーマンスがよかったとしてもチームがよくなければ何にもなりません」
——ヴェルブリッツが勝つチームになるには。
「毎日、前よりよくなるためにやるべきことをやる。個人競技ではないので、一体感を持つ必要はあります。選手がコーチたちの言うことを信じ、ドライブしていくことにフォーカスします。いまがそうなっていないわけではありませんし、いい感じですが、選手がゲームプランを信じて遂行するのは大事です」
ノーサイド後の公式会見では、かつてオールブラックスを率いたスティーブ・ハンセンヘッドコーチが努めて前向きに「現在のチームの傾向としてうまくいかない時間帯があるが、選手の努力、コミットメントはあります。ポジティブな部分に焦点を当てて改善したい」と発した。

テレアが話したのは、屋外に備え付けられたミックスゾーンである。帰路に着く前にメディアに応じた。
——噂によると、SNSをやっていないようですね。
「はい。あまりやりません。私はそれなしで成長してきたので」
スタッフが終了を告げに訪れたところで、自国のニュースにまつわる質問を受ける。
1月15日、オールブラックスのスコット・ロバートソンヘッドコーチの退任が発表された。世界中で話題となったこの件につき、ワールドカップ経験者でもあるテレアが所感を問われた。
「それに意見はないです。いまは日本にいるので」と述べ、辞去した。