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【Just TALK】「藤原を止めないで」。堀越正己[立正大監督]
160センチに届かぬサイズながら、強靭な体躯で日本代表キャップ26と活躍した。(撮影/松本かおり)
2024.09.26
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【Just TALK】「藤原を止めないで」。堀越正己[立正大監督]

向 風見也

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#日本代表

 おもに90年代にラグビー日本代表として活躍し、26キャップを獲得した堀越正己・現立正大監督が、現役のジャパン戦士たちを激励した。

 9月7日の埼玉・熊谷ラグビー場でのパシフィックネーションズカップ(PNC)のプールステージ(プールB)の2戦目、アメリカ代表戦に向けたジャージィプレゼンテーションを託された。

 日本代表が試合を41-24で制した翌日、関東大学リーグ戦1部の初戦に臨んだ堀越本人が舞台裏について話した。

 現役時代にハイテンポなさばきで魅了してきた55歳は、いまのジャパンで躍動するSHの藤原忍をどう見るか。

強気が持ち味の日本代表SH藤原忍。ゲームコントロール能力も高まってきている。(撮影/松本かおり)

——ジャージィプレゼンテーション参加の経緯は。

「永友(洋司=日本代表チームディレクター/現役時代は堀越と代表で正SHの座を争ってきた)から話がありました。『レジェンド』なんて言われて、調子に乗って行ってしまいました! …(現場で選手には)後半からもう1回ギアを入れて、『超高速』にしてくれと言っています」

——エディー・ジョーンズヘッドコーチ率いるいまの日本代表は、集団的に動くスピードにこだわる『超速ラグビー』を唱えています。

「東芝の『PからGO』(1996~98年度に日本選手権3連覇)のほうが速かった…。昔のワセダでは、ペナルティキックから皆が一気に(横一列に)開いて、その後、タッチへ蹴る場合はタッチにする…。本当はそうしたことも言いたかったのですけど、それほど時間もなく、自分も緊張しながら喋ったので。

 前半終了間際に藤原が(ペナルティキックから速攻に)行ったのは、『あれは行かなくても…』と思いもしましたが、そういうこと(意識)は大切。若いので、勝って学べたと思います。勝つよりも大切なことがあるんじゃないかなぁと感じたので、(戦前には)『お願いだから(速攻を狙う)藤原を止めるようなことはしないでほしい』と(現代表の)皆には言っていました」

——藤原選手とは1対1でお話をされたと聞きます。

「というよりは、(終了後に)エディーが僕のところへ藤原を呼んでくれて、永友と3人を並べて『ワン、ツー、スリー。全員、スクラムハーフね』って。でも、彼(藤原)はいいキャラクターですね。普段、皆からいじられていて、試合になったらちゃんとファイターになっている。

最近、モールやスクラムでFWと一緒に戦えない選手が多いと感じるんです。実際には組みませんけど、そこでいかにFWを激励してのせていくかが大事なのですが。モールでは特に9番目の目にならなきゃいけない。その意味では、藤原は光るところがあります」

 藤原は接点から球を持ち上げる速さ、相手の急所を突くサイドアタックのほか、タフな守りでも定評がある。PNCでは全5試合に先発した。

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