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サモア戦快勝の自信と勢いで決勝へ。前戦と22人変わらぬ日本代表、フィジー戦勝利をつかむ
7番で持ち味発揮の下川甲嗣。フィジー相手にもタフに戦う。(撮影/松本かおり)
2024.09.19
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サモア戦快勝の自信と勢いで決勝へ。前戦と22人変わらぬ日本代表、フィジー戦勝利をつかむ

ジャスラグ編集部

 ベストメンバーが揃っているわけではないが、フィジーは2023年に開催されたワールドカップでトップ8に入ったチーム。その相手に勝ち、大会の優勝も勝ち取れたなら、得られる自信は大きい。
 そして、若いチームの成長のスピードも高まりそうだ。

 9月21日(土)、パシフィックネーションズカップの決勝、日本×フィジーが東大阪市の花園ラグビー場でおこなわれる。16時キックオフの3位決定戦、サモア×アメリカに続いて19時5分のキックオフだ。

 9月19日に実施された出場予定メンバーに関する記者会見でエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、「我々から相手に戦いを挑みにいく」と宣言した。
 
「ボールを持っている時には、どんどんとアタックをしていく。フィジーは(防御時の)ビッグヒットが好きなチームなので、相手のディフェンスラインにどんどんプレッシャーをかけるようなプレーをしたい」
 相手がボールを手にしている時も前へ出る。「ディフェンスラインを自分たちから上げて圧力をかける」。そして、アタック力の高い相手に対し、「自分たちの方が(攻撃でも)うわてだというところも見せたい」とした。

 その点については立川理道主将も「自分たちから仕掛けることが大事。テストマッチでは追いかける展開になると苦しい。なので、最初から自分たちが準備してきたことを出していきたい」と同意する。

 23人のメンバー中、22人が前戦のサモア戦と同じメンバーとなった。
 変更は、ベンチスタートの23番に濱野隼大が加わっただけだ。髙橋汰地が怪我でスコッドから離脱したため、濱野が初キャップを得るチャンスをつかんだ。

 ジョーンズHCは準備の1週間を振り返り、「それぞれのポジションでの競争は激しいものがあったが、コーチ陣で議論した結果、このメンバーになった。これが、いまもっとも強い」と言った。

 今大会に入り3戦連続で9番を背に先発するSH藤原忍に関しては、「アタックが得意だがディフェンスでも頑張っている。サモア戦では相手の大柄な6番、マクファーランドをチョップタックルで倒していた。また、後半に怪我をしてもやり続ける姿勢を見せてくれた」と高く評価した。

防御面でも力を伸ばすSH藤原忍。(撮影/松本かおり)

 攻守に好調なFL下川甲嗣については、ジョージア戦の週にコーチ陣と話し、7番として起用していくことを決めたことが本人に好影響を与えたとした。
「(複数の位置でプレーしていた頃と比べ)そのポジションにフォーカスできるようになったことが大きい。もともと運動量の多い選手。ファーストフェーズで働いた後、その後のリンクプレーでもいい働きをしている」
 S&Cコーチのジョン・プライヤーと特別なトレーニングに取り組んでいることも奏功していると言った。

 新しく加わった濱野については、「スピードもパワーもある。(怪我から復帰して招集した後は)よくトレーニングしているし、まだまだスピードを上げられるし体が強い。熱心な姿勢も評価している」と期待を寄せる。

 日本とフィジーのテストマッチは過去に19回対戦し、通算成績はフィジーが14勝5敗と大きく勝ち越している。
 昨年8月、W杯前に秩父宮ラグビー場で戦った際にも35-12のスコアで勝ったのはフィジー。日本の勝利は直近の10戦を振り返ってみても、2019年のW杯前に釜石で34-21と勝ち、2011年に敵地で24-13と2度だけだ。

 今大会に入り、ここまでの3試合で86回タックルブレイクと、フィジーの攻撃力は参加6か国中最強と言ってもいいだろう。
 しかし高い個人技に対し、日本は組織力とテンポのはやさで上回り、勝利をつかむイメージで戦いに臨む。

 若い選手の多いチームにとっては、多くの経験値を積める一戦。しかし立川主将は、必ず勝利を手にする覚悟。「(この若いチームは)2027年という大きな目標に向かって進んでいますが、いまを大事にしないと先はないと思っています。いまの選手たちが、いまの環境の中で、全力でやれることをしっかりやって得られるものを得ていきたい」と話す。

 キャプテンは、この試合で60キャップに到達する。節目の試合での勝利は、チームを大きく進化させるジャンピングボードとなる可能性を秘めている。

【パシフィックネーションズカップ2024/日本代表 フィジー戦試合登録メンバー】

①三浦昌悟(トヨタヴェルブリッツ/東海大/29歳/180cm、115kg/13)
②原田 衛(東芝ブレイブルーパス東京/慶大/25歳/175cm、101kg/6)
③竹内柊平(浦安D-Rocks/九州共立大/26歳/183cm、115kg/9)
④エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ/FIJI・ラトゥ カダヴレヴスクール/28歳/196cm、122kg/1)
⑤ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京/流経大柏/22歳/201cm、117kg/17)
⑥ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京/大東大/29歳/195cm、118kg/9)
⑦下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス/早大/25歳/188cm、105kg/9)
⑧ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/天理大/27歳/187cm、112kg/11)
⑨藤原 忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/天理大/25歳/171cm、76kg/5)
⑩◎立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/天理大/34歳/180cm、94kg/59)
⑪マロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ/スコッツカレッジ/28歳/182cm、91kg/3)
⑫ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ/帝京大/28歳/188cm、93kg/3)
⑬ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ/豪・ボンド大/27歳/187cm、102kg/23)
⑭長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ/早大/24歳/179cm、90kg/13)
⑮李 承信(コベルコ神戸スティーラーズ/大阪朝高/23歳/176cm、86kg/17)

⑯松岡賢太(コベルコ神戸スティーラーズ/明大/27歳/175cm、100kg/1)
⑰岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス/関西学院大/29歳/180cm、105kg/3)
⑱為房慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/明大/23歳/180cm、108kg/6)
⑲アイザイア・マプスア(トヨタヴェルブリッツ/慶大/23歳/191cm、112kg/3)
⑳ティエナン・コストリー(コベルコ神戸スティーラーズ/IPU環太平洋大/24歳/192cm、102kg/5)
㉑小山大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ/大東大/29歳/171cm、74kg/5)
㉒梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス/明大/29歳/181cm、95kg/3)
㉓濱野隼大(コベルコ神戸スティーラーズ/ロトルアボーイズ高/23歳/180cm、93kg/-)

※カッコ内は所属、出身校、年齢、身長・体重、キャップ数の順
※◎はキャプテン

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